『ハートフル・カンパニー』

一条真也です。
今回の「一条真也による一条本」は、『ハートフル・カンパニー』(三五館)。
本書は、ペンネームの「一条真也」ではなく、本名である「佐久間庸和」として書いた本で、「サンレーグループの志と挑戦」というサブタイトルがついています。「サンレー創立40周年記念」として、40回目の創立記念日に当たる2006年11月18日に刊行されました。


ハートフル・カンパニー』(2006年11月18日刊行)



2001年〜2006年までの社内報に掲載したわたしの「社長訓示」、および「特別訓示」が収録されています。2段組み、約450ページという、この手の出版物としては異例の大部な書籍になりました。
いま手に取ると、書いた本人でさえ圧倒されるほどのド迫力です。


「心ゆたかな社会は、心豊かな会社から!」と書かれた本書の帯



帯には、わたしの顔写真とともに「心ゆたかな社会は、心豊かな会社から!」というキャッチコピーに続いて、以下のように書かれています。
「『エクセレント』も『ビジョナリー』も超える
ハートフル・カンパニーとは?
驚異のビジョンと大胆なアクションの『知行合一』。
21世紀の幕開けとともに誕生した、
青年社長の魂のメッセージ。
すべてのサービス業関係者の究極のバイブル!」
最後は〈株式会社サンレー創立40周年記念出版〉と記載されています。


カバー前そでには、わたしの想いが・・・・・・



カバー前そでには、「結婚は最高の平和である」「死は最大の平等である」というわが社の2大テーゼに続いて、「まえがき」で述べたわたしのメッセージの要約が以下のように書かれています。
「私は、人間の愛と死をみつめる『魂のお世話業』として、
冠婚葬祭業ほど、奥が深くて価値のある仕事はないと思っています。
本当に心の底から、誇りを持っています。
私たちは、『人間尊重』の旗を掲げ、
地球上のすべての人々が
幸福になることを願ってやみません」


サンレー創立35周年記念式典で「S2M」を発表



本書の「目次」は、以下のようになっています。
「人類愛に奉仕する」(佐久間進
「まえがき」
「社長訓示」
S2M 宣言」
(1)2001年――21世紀とともにはじまる
社長就任挨拶
S2Mの精神をもって21世紀にチャレンジ!!
(2)2002年――とにかく、いい会社にしたい!
ワールドカップに学べ!!
「万物は数である」、数と仲良くしよう!
知識社会の到来で、サンレーの存在感が大きくなる
サンレーの愛をもって、お客様に最高の真実の瞬間を!
冠婚葬祭業は実践心理学 EQカンパニーをめざせ!
(3)2003年――人間尊重を求めて
新S2Mを掲げ、社会的使命に向かって突き進もう!

空に太陽、地上にサンレー 今年、陽はまた昇る!
ハートレスは心の貧乏人、笑顔でハートフルになろう!
ハウステンボス倒産に思う ハウスウエディングは恐くない
紫雲閣は孔子の精神的末裔 サンレーの商品は「人の道」
モラルハザードが会社をダメにする 悪の誘惑に負ける者は去れ!
礼経一致のサンレー哲学 論語とソロバンでこの道を行く!
太陽・祭り・礼楽の島で冠婚葬祭 おかげさまでサンレー沖縄30周年
感動の提供こそがビジネスを制する 東京ディズニーリゾートに負けるな!
「もてなし文化」といえば金沢 「一期一会」の心でサービス業北陸トップ
何のための結婚式か? めざせ!冠婚ルネッサンス
前例のないイノベーションで、グランドシティのモデルづくりを
哲学こそが勝敗を決める! いま、世に問うサンレーの思想
(4)2004年――この仕事のかたち
イノベーションの時来たる! 大いなる飛躍をめざそう!

新年行事にみるサンレーの「儀式力」 プロ集団として、さらなる磨きを!
前代未聞のイノベーション サンレーグランドホテル誕生!
21世紀は心の時代 お客様の心に響くサービスを!
人類最大の謎とは? 哲学産業としての冠婚葬祭業
ARTの本質とは? 芸術産業としての冠婚葬祭業
大いなる宗遊に向かって 宗教産業としての冠婚葬祭業
結婚は最高の平和、死は最大の平等 冠婚葬祭やめますか、人類やめますか?
人としてふみ行なうべき道とは? 「礼」の力でサンレーは勝つ!
部下に奉仕すれば、成果上がる! サーバント・リーダーシップとは何か?
陽の下に新しきものなし 古代ローマの知恵に学ぶ
世界を救う仏教の思想 葬儀こそ日本仏教の核心
トップアスリートに学び、コーチングの意味を知る
(5)2005年――この会社のかたち
いよいよ心の時代! ハートフル・ソサエティを実現しよう!

サンレーは太陽を追う会社 この1年も大いに輝こう!
神道は日本人の心の柱 産霊は万物創造の秘力
神と仏はロミオとジュリエット 偉大なる日本のハイブリット文化
松柏は不易の常緑樹 2つの庭園で和洋共生
月を見よ、死を想え! 魂のエコロジーを取り戻せ!
白い雲をめざして歩き、紫の雲に迎えられる旅
気は宇宙のエネルギー 気功はサンレー文化そのもの!
マナーは人間関係の潤滑油 小笠原流礼法は最強の護身術
人は老いるほど豊かになる 長寿祝いの習慣を大いに広めよう!
いま甦る、武士道の美学 真のラスト・サムライとは誰か?
七五三が日本人の心を救う 少子化時代に合ったセレモニーを!
クリスマスの秘密とは何か? いま考える、キリスト教の大いなる愛
(6)2006年――不惑に向かって
心ゆたかな社会は、心ゆたかな会社から! 

正月そして成人式とは何か? 年中行事と通過儀礼の意味を知る
わたしは、なぜ歌を詠むのか? 詩とは志を語るものである!
会社は誰のものか? そして、どこに向かうのか?
会社を動かす歯車となれ 会社が動けば社会が動く!
思いやりこそ人類共通の宝 ホスピタリティが世界を動かす
感謝の心が人生を切り拓く 冠婚葬祭業は、ありがとう産業だ!
感動は、どこから生まれるのか? 愛と死をみつめる者は誰か?
癒しとは、心を修繕すること デラックスからリラックスへ
笑う門には福来たる すべての人に笑顔を!
丹波哲郎さんが教えてくれた 大霊界に持っていけるもの
40周年、おめでとう! 祝いの心が人生に意味を与える
特別訓示
サンレーは魂のお世話をする会社 結魂と送魂で、いま雄飛のとき!
ホテルと百貨店は資本主義の華 西武とダイエーが見た夢の跡
恋愛も結婚もローマに通ず! ROMAN ROMANとは何か?
心の社会とは何か? これがハートフル・ソサエティだ!
終戦60周年に思う 月面聖塔は人類の平等院
真宗王国を築きあげた蓮如 その組織づくりの超ノウハウを学ぶ
始皇帝の夢、アレクサンダーの志 東西2大英雄の心を読む
世界平和は冠婚葬祭から! 多神教プロジェクトが人類を救う
すごいぞ!ドラッカー マネジメントは、人が主役だ!
加速するインターネット社会 だからこそ冠婚葬祭が必要だ!
人は、かならず心で動く これが、ハートフル・マネジメントだ!
助け合いは人類の本能だ! 互助会から互助社会をつくろう!
冠婚葬祭が宗教を結ぶ アンドフル・ワールドに向かって
「社長のおススメ本リスト」
一条真也著書一覧」
S2M MAP」
参考文献一覧


「わが生ける先考」である佐久間会長と



本書の巻頭には「わが生ける先考・佐久間進会長に捧げる」と記されています。刊行直前に本書の内容を読み返してみると、「礼経一致」をはじめとしたわたしの考えのすべてが、父であり、創業者である佐久間進会長から受け継いだものであることを再確認しました。安岡正篤によれば、中国では亡くなった父親のことを「先考」というそうです。まさに佐久間会長は私の考えのほとんどすべてを先に考えていたことから、この言葉を用いて本書を捧げたいと思いました。しかし、いまだ健在であるため、また、この先も健在であることを願っているため、「生ける先考」とした次第です。
なお、佐久間会長の根本思想を凝縮した「人類愛に奉仕する」を本書の冒頭に掲載しました。これは変わらないサンレーの経営指針となるものです。この指針があれば、わが社がハートフル・カンパニーとなり、その大なるミッションを果たせることを確信します。



さて本書は、佐久間庸和としての私の処女出版でした。ペンネームの一条真也としては、すでに多くの著書を上梓していましたが、本名、そして、サンレーの社長としては初の出版でした。2001年10月1日に代表取締役社長に就任してから、右も左もわからないわたしは、無我夢中で走ってきました。ようやく、社長就任から5年を経過し、無事に創立40周年を迎えることができました。これも、ひとえに社員各位、関係者の皆様、そして、サンレー会員様、お客様のおかげであり、めでたく会社として不惑の年に達することができましたことを、心から感謝したものです。


エクセレント・カンパニー、ビジョナリー・カンパニーと、世の中には多様なタイプの優良企業がありますが、サンレーはハートフル・カンパニーをめざしたいと考えています。それは、哲学・芸術・宗教産業であり、「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」といったポジティブな心の働きがつまった精神集約型産業でもあります。いじめ、虐待、自殺、殺人、テロ、戦争といったハートレス・ソサエティに向かって社会が進みつつある中で、サンレーは冠婚葬祭業を中心としたホスピタリティ・サービスの提供を通じて、ハートフル・ソサエティへと進路変更するエンジンの役割を果たしたいと願っております。



本書に収録された文章は、わたしが社員の皆さんの前で発言した、5年間の「社長訓示」です。毎月の社内報に掲載してきたものですが、今、読み返してみると、「よく、こんなことを話したな」と思えるような内容のものもあります。かなり専門的な内容にまで立ち入ったものもありますが、いつも熱心に聞き入って下さった社員の顔が目に浮かびます。
なお、それぞれの訓示の字数は5200字となっています。これは偶然にも、敬愛する司馬遼太郎の最後の仕事ともなった名エッセイ「この国のかたち」の1回分に当たり、1つのテーマについて考えを簡潔に語るのに最適な長さだと思っています。話すと、ちょうど1時間の情報量となります。



すべてのページを繰るたびに、その時々で直面していた問題や、抱いていた志が甦ってくるようです。もちろん、わが社より大きな会社、利益を出している会社は無数に存在しますが、志の高さ、使命の大きさは、どこにも負けないと自負していました。もちろん、今でもそうです。
非常に異色の社長メッセージ集であると思いますが、これから到来する「心の社会」における会社のあり方のようなものは示しているのではないかと思います。「社会」も「会社」も、明治時代に福沢諭吉が発明した日本語であるとされますが、ともに「人の集まり」といった意味です。福沢は英語の「company」を見て、これは「society」とほとんど同じだと気づき、「社会」という漢語をさかさまにして、「会社」という新しい単語を作ったのです。



陽明学者の安岡正篤は、人が集まると、その中心に社(やしろ)ができると述べています。つまり、人の集まりの中心には神社がつくられる。そこから会社という社、さらには社会という大きな社が生まれると非常に興味深いことを言っております。皇産霊神社に守護されて、ハートフル・カンパニーからハートフル・ソサエティの実現をめざすわが社の思想と合致します。
「会社は社会のもの」と喝破したのは、昨年末に逝去した世界最高の経営学ピーター・ドラッカーです。わが社は、「選択と集中」「知識化」「イノベーション」など、数々のドラッカー理論に基づいて経営されてきました。
会社は社会のものであるということは、会社は社会を構成する大きな要素だということです。多くの会社が心ある存在になれば、心ある社会が生まれるのではないでしょうか。


サンレー創立40周年記念祝賀会で短歌を披露



「まえがき」の最後に、わたしは次のように書きました。
「心ゆたかな社会は、心ゆたかな会社から。
フロム・ハートフル・カンパニー・トウー・ハートフル・ソサエティ
わたしは、人間の『愛』と『死』をみつめて、新郎新婦の魂を結び、故人の魂をお送りする『魂のお世話業』としての冠婚葬祭業ほど、奥が深くて価値のある仕事はないと思っています。心の底から、誇りを持っています。
サンレーは、今後も冠婚葬祭業として、『結婚は最高の平和である』と『死は最大の平等である』を二大テーゼとし、「人間尊重」の旗を掲げ、世界平和と人類平等のシンボルである月に向かって航海を続けてゆきます。『2001年宇宙の旅』に出発したサンレー2号の曳航は今後も続いてゆくのです。
最後に、月の放つ柔らかな月光を浴びて、地球上のすべての人々が幸福になる日が訪れることを願ってやみません」
そして、わたしは以下の歌を詠みました。この歌は、松柏園ホテルで開催された「サンレー創立40周年記念祝賀会」でも披露させていただきました。



かねてより天よりの命(めい)おぼえれど
       わが社(やしろ)いま不惑迎へり(庸軒)


この5年後の2011年11月18日、わたしは「サンレー創立45周年記念出版」として、本書の続編である『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)を上梓しました。さらに続編として、来年11月18日には「創立50周年記念出版」として『ミッション・カンパニー』(仮題、三五館)を上梓する予定です。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年5月3日 一条真也