鎮魂茶会

一条真也です。京都に来ています。
東日本大震災4周年となる3月11日に、ブログ「悲とアニマ展」で紹介したアート・イベントの関連行事である「鎮魂茶会」に参加しました。会場は、かの秀吉が大茶会を催したことで知られる北野天満宮の茶室梅交軒です。


茶会の説明を受けました

茶会の段取りを確認しました



京都の美学者」こと秋丸知貴さんに連れられて現地へ行くと、画家の大舩真言さんが待っていました。
わたしは大舩さんから「鎮魂茶会」の説明をお聞きし、工芸美術家の近藤高弘さんが焼かれた茶碗の中から好きな器を選ぶように言われました。


近藤高弘さんの茶碗を選びました

自分の好みの茶碗を見つけました

茶室の周囲を眺める

茶室の前で順番を待つ



ずらりと並んだ茶碗の中から春らしい色合いのものを選び、わたしは茶室に入室する順番を待ちました。なんでも茶室内にある床の間には、大舩真言さんが描いた「Reflection field」という岩絵具・膠・桜石が飾られているとか。桜石の産地は京都府亀岡市田野町で、石そのものは中生代初期(約2億年前頃)のものと推測されるそうです。この地の桜天満宮という神社境内の中では菅原道真公ゆかりの桜樹の下に分布する岩石に花紋が残されたなどという伝説が残されているとか。境内から出てくる小石はどこを切っても金太郎飴のように桜の花びらに似た模様が浮かび上がり、だれいうともなく道真公慰霊のあらわれと伝えられ、「桜石」と呼ばれるようになったそうです。


茶室内で近藤さんと再会しました



いよいよ順番が来て、わたしは茶室の中に入りました。
そこでは陶器を焼かれた近藤高弘さんが笑顔で迎えて下さいました。
ブログ「義兄弟」で紹介したように、鎌田東二さん、近藤高弘さん、そしてわたしの3人は「明るい世直し」のために義兄弟の契りを交わしています。わたしが末っ子の「魂のだんご三兄弟」です。近藤さんとは本当に久しぶりだったので、わたしたちは再会を大いに喜び合いました。


茶室内に置かれた坐像

坐像と向かい合って座りました

いやあ、これは!(苦笑)

なんとも不思議な感覚です

だんだん空洞が自分の顔に見えてきました



茶室内には、坐像が置かれていました。
「Reflection−空和(ウツワ)−」という近藤さんの作品です。東北の原土・登り窯焼成・自然灰で生まれた作品です。見ると顔の部分が空洞になっているので仰天しました。この坐像と向き合ってお茶をいただくのですが、次第に坐像の空洞が自分の顔に見えてくるような気がしました。


茶菓子をいただく

薄茶をいただく

やはり気になる(苦笑)



茶碗は「不忘井戸碗」といって、これも東北の原土・登り窯焼成によって作られたそうです。近藤さんは「命のウツワプロジェクト」にて、これまで被災地仮設住宅に2000点以上のウツワを配布され、現在も継続されているそうです。それを知ったわたしは深い感銘を受けました。
まずは菓子「蕎麦餅団子」が供され、続いて薄茶「永楽」を近藤さんが点てて下さいました。わたしは味わいながら薄茶を飲みました。最初は熱く感じましたが、美味しかったです。身も心も温まる感じがしました。
なお、わたしも多少は茶道の作法は知っているつもりですが、正式なお茶会ではなく、「鎮魂茶会」ということでワイルドに飲ませていただきました。


近藤さんの話をお伺いしました

わたしも大いに語りました

茶室梅交軒にて近藤高弘さんと



茶を飲んだ後、わたしは近藤さんとさまざまな話をしました。
お互いの近況報告をはじめ、ブログ「解器(ほどき)」で紹介した自分で焼く骨壺の今後の展望についても意見交換をさせていただきました。芸術家というと気難しいエキセントリックな人もいますが、近藤さんは本当に穏やかで人間性の素晴らしい方です。茶室内で近藤さんと語り合ううちに、わたしの心がどんどん解かれていくような気がしました。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年3月12日 一条真也