見世物小屋

一条真也です。
東京に来ています。ブログ「酉の市」に書いたように、「酉の日」となる11月10日の夜、新宿の花園神社を訪れました。花園神社といえば、見世物小屋で有名です。同神社の見世物小屋は毎年、「酉の市」の日にだけ見ることができます。わたしも一度見たいと思い続けていましたが、この日、ようやく実現しました。


異界の入口にやって来ました!

これが花園神社見世物小屋だ!



Wikipedia「見世物小屋」の「概説」には、「元々の始まりは『散楽』といわれるもので、そこから猿楽(能)が独立した存在となり、歌舞伎も江戸初期に別種の存在となる。江戸時代の頃には今で言うところのサーカスや美術館、動物園、パフォーマーなどの要素を含んでいた。さらに各演目が独立してゆき、また文明開化により新しい演目が(撃剣、パノラマ、迷路、蝋管レコード屋、電気仕掛け→初期の映画等)加わったりしながら、明治時代以後に今の形態の見世物小屋に近づいていく。昭和30年頃までは、寺社のお祭や縁日に小規模な露店と共に、見世物小屋も盛んに興行されていた。『(略)〜お代は見てからで結構だよ。さあさあさあさあ入って入って、間もなく始まるよ〜』と口上(業界内では『タンカ』つまり、これも香具師の1ジャンル、『タカモノ』なのである)と呼ばれる呼び込みがあり、この口上は一つの風物詩でもあり、この時代を描いたドラマなどでもよく用いられる。また、同様に『藪』と呼ばれるお化け屋敷の興行はタカモノ打ちのバリエーションとして打たれた。現在では見世物小屋自体が複数の理由(場所が確保できない、時代が許容しない等)により、大きく衰退している。2000年代には入方勇が大寅興行社から独立し新たに入方興行社を立ち上げたが、興行主が亡くなったことにより廃業。このジャンルを興行するものは現状で大寅興行社の1社のみとなり、もはや風前の灯である」と書かれています。この大寅興行社こそは、花園神社見世物小屋を開いている会社です!


呼び込みも怪しい!

幻の残酷ショーを連続でお見せします

館主メッセージ

「ヤモリ女」の看板



Wikipedia「見世物小屋」の「見世物」には、次のように書かれています。
「奇形の子供や性行為を覗き穴で見せるなど、文字通り何でも見世物にした。横浜で『ジャパン・ヘラルド』の主筆を務めたブラック(快楽亭ブラックの父)が1872年(明治5年)に皇居近くの神田橋周辺で、むしろがけの小屋で不快な見世物(ウサギの死体を食いちぎる子供)を見たことをきっかけとして、同年11月8日に東京府が『違式詿違条例』(今の軽犯罪法にあたる)を布達する。また、東京においては1891年(明治24年)10月3日の警察令第一五号『観物場取締規則』により、興行場所を浅草公園六区(浅草奥山のすぐ隣りの地区)の一箇所にまとめられた。地方においては巡業形態が続いた。時には、誘拐された子供が人身売買で、足の筋を切られた被虐的な道化役や、見世物として覗き穴の娼婦にするために売り飛ばされてきた例もあったという。社会福祉が発達していなかった頃には、身体障害者が金銭を得る為の仕事であり生活手段の一つでもあった(中村久子など)。昭和50年代以後には、身体障害者を舞台に出演させて見世物とする事などに対して取締りが行なわれるようになった」


見世物小屋の前で

無料ではありません。


主な見世物としては、へび女(例:体に蛇を巻きつけたりかじりついたりする、蛇の入れ墨)、タコ女・タコ娘、だるま女(手足が無い)、奇形動物(珍獣)、双頭の動物などが有名です。また、主な芸としては、人間ポンプ、人間火炎放射器、犬の曲芸などが有名です。現在では、多くの見世物が興業不可能となりました。特に、身体障害者の見世物は完全にNGです。
なおYouTubeには、海外ではありますが、約200年前のサーカスの見世物小屋100年前の見世物小屋で人気だったパフォーマーたちエレファントマンなどがいた約100年前の見世物小屋、さらには、本物の見世物小屋を舞台にしたアメリカ映画「フリークス」などの映像が紹介されています。ただし、くれぐれも閲覧注意です!


看板絵も素晴らしい!

排除された者達の魂の叫びをきけ!



ということで、この日わたしが実際に見た「見世物小屋」には、身体障害者の姿はありませんでした。それでも、「七つの乳を持つ女」「メコン川流域の首狩り族」「やもり女」「逃げ遅れた病気老人」などのキワドイ演目がありました。その真相についてはネタバレになるので書くことは控えます。また、劇場内の写真撮影は禁止だったので、画像もお見せすることができません。
ただ、「ダメよ〜ダメダメ」で人気者となった「日本エレキテル連合」の朱美ちゃん、あるいは「ちびまる子ちゃん」に出てくるインチキおじさんみたいな感じの女性が司会を務めていました。(笑)


それにしても、なんという異界!

奇珍芸の世界へようこそ



それにしても、なんという異界でしょうか! 
かつては、花園神社のこの場所で、かの唐十郎が妖気漂う芝居を演じていたそうです。江戸川乱歩の猟奇小説やフェリーニのサーカス映画に目がないわたしにとってはもう天国のような空間でした。「よくぞ、ここに連れてきて下すった!」と、内海さんには心から感謝しました。
さて、見世物小屋では、客の回転を最重視し、入り口と出口が分かれています。自由自在に見せる内容時間は極力縮められています。お客が増えてくると中は混雑し、徐々に押されて出口から自然に押し出されてしまいました。出口の所には、人の良さそうなお婆さんがいて、800円の入場料を徴収していました。なんという原始的で合理的なシステムでしょうか!


なお、昨年(2013年)の見世物小屋については、 ここは昭和88年なのだ。新宿花園神社見世物小屋のアブナイ悦楽」、および「花園神社の『見世物小屋」』排除された者達の魂の叫び!」、一昨年(2012年)の見世物小屋については「日本に現存する最後の秘境!?新宿花園神社『酉の市』行って『見世物小屋』を見て来た」に詳しく紹介されています。



なお、近年において、見世物小屋が興行されることのある祭事やイベントは以下の通りだそうです。
 5月  くらやみ祭(東京都府中市大國魂神社
 6月  札幌まつり(北海道札幌市/中島公園
 7月  みたままつり(東京都千代田区靖国神社
 9月  放生会(福岡県福岡市/筥崎宮
10月  川越まつり(埼玉県川越市/川越氷川神社
11月  酉の市(東京都新宿区/花園神社
12月  十二日まち(埼玉県さいたま市調神社
なんと、花園神社以外にも、こんなに見世物小屋が開かれているとは! イッツ・アメイジング!!




*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年11月11日 一条真也