日本人の結婚式

一条真也です。
22日の午後、沖縄の那覇空港に到着しました。
23日の午前中に行われる新しい紫雲閣の新築起工式および安全祈願祭に施主として参加するためです。そう、わが社は「守礼之邦」である沖縄の地においても冠婚葬祭事業を営んでいるのです。


ブログ「成人式と結婚式」で紹介したように、7月15日、國學院大學の渋谷キャンパス「常磐松ホール」で開催された第3回「國學院大學オープンカレッジ特別講座〜人生儀礼への取組みをより深く知る」に参加しました。そこで、國學院大學教授で宗教学者の石井研士先生が、長野県小谷村大綱の結婚式のようすをDVDで見せて下さいました。それは、限界集落に生きる30代の男女の結婚式の一部始終を記録した映像でしたが、2人の和服姿が凛々しく、また神社での結婚式は荘厳でした。



現在、「Japanese Traditional Wedding//Kenichi&Ayaka」として、YouTubeで観ることができます。その「概説」には「長野県小谷村にある人口の7割が65才以上の限界集落大網地区。大網に生きて行こうと­決心した二人の門出を撮影しました。装飾は仲間たちが、料理は地元のおばちゃん達が作り、姫川太鼓が鳴り響き、村を行列す­る日本の古き良き結婚式です」と書かれています。




わたしは、この動画を何度も観ながら、ブログ「素晴らしき和婚」にも書いたように、やはり「日本人には和が似合う」と痛感しました。この手作り結婚式のような「温かさ」をホテルや結婚式場での結婚式が持つことは難しいでしょう。でも、ブライダル産業に携わるすべての人は、このような「温かさ」を忘れてはいけないと思います。
それにしても、日本の結婚式って、こんなにも美しかったのですね!
この動画は2013年1月1日に公開されましたが、ヤフーの映像トピックスでも取り上げられ、多くの人の目に触れたようです。


ヤフーの映像トピックスで日本の美しさや素晴らしさを紹介した動画といえば、ブログ「日本の美」で紹介した「January in Japan」を思い出します。撮影者は、アメリカ・カリフォルニア州在住の写真家であるスコット・ゴールド氏で、今年の1月に夫婦で日本旅行した際の記録映像です。これが「美しすぎる」とネットで大きな話題になっているようです。東京の築地市場両国国技館、京都の伏見稲荷、長野の湯田中温泉・・・・・・外国人の目を通してみると、日本の美しさが心に沁みます。
この映像には神社などの伝統的な日本の姿、スカイツリーに代表される現代的な日本の姿の両方が丁寧に描かれています。



この映像の冒頭には、地下鉄のホームで整然と列に並ぶ日本人の姿が登場しますが、これは東日本大震災のときに世界中から絶賛されたことが思い出されます。日本人の高い倫理観は、所作の美しさに通じていきました。映像には茶席での手の動きがクローズアップで撮影されていますが、わたしはこれを見て、日本映画「おくりびと」で主演の本木雅弘さんが演じた納棺師の流れるような動きを連想しました。あの映画が世界的評価を受け、アカデミー外国語映画賞を受賞した理由の1つに所作の美しさがありましたが、それは明らかに日本における伝統文化の形式美に通じています。


決定版 冠婚葬祭入門


日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲といった、さまざまな伝統文化があります。そして、それらの伝統文化の根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。儀式なくして文化はありえません。
ゴールド氏の映像にも大相撲の弓取り式が登場していますが、儀式とは「文化の核」と言えるのではないでしょうか。拙著『決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社)にも書いたように、わたしは儀式そのものである「冠婚葬祭」こそは「文化の核」の集合体であると確信しています。



そして、「文化の核」である儀式は美しい!
特に、「日本の儀式は美しい」と、日本人であるわたしは思います。
川端康成ノーベル文学賞受賞記念講演の題を「美しい日本の私」としましたが、美しい日本で生きることの有難さをしみじみと感じる今日この頃です。わたしは、これからも冠婚葬祭という生業を通じて、「美しい日本」をどう表現するかということを考え続けていきたいと思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年7月22日 一条真也