一条真也です。
『こんにちは バイマーヤンジンです。』バイマーヤンジン著(致知出版社)を再読しました。著者は、日本でただ1人のチベット人歌手です。
日本にやって来て、教育を受ける機会の少ないチベット遊牧民のための小学校建設を公演活動で支援しています。
この人は美しい。表紙の著者の写真を見て、そう思いました。
人から「チベットは貧しいですね。あんなところでよく生きられるね。大変ですね」と言われても、著者は自分の故郷が大好きだといいます。いまでもチベットに生まれてよかったと本当に思うといいます。そして、「貧しいことはいろんな自然環境と生活事情によるものです。恥ずかしいことではないです。しかし、貧しくて、その上に怠けていたら恥ずかしいことですが、私は努力をして変えようとしているから恥ずかしくはありません。」と言い切るのです。
日本人で、こんな故郷への愛情と誇りを持った者が何人いるでしょうか。逆に、著者がいつも複雑な思いをしているように、チベットをモンゴルやネパールと間違う日本人が多いということの方が、貧しさなどよりもずっと恥ずかしいことです。アメリカやヨーロッパの国々にばかり詳しくて、同じアジアの国について正しい知識を持たなくてどうするのか!
ユーモアたっぷりでまったく飽きさせない著者の話に耳を傾けていると、日本人が忘れかけている心の豊かさをチベットの人々から強く感じてしまいます。
この人の心は美しい。本書を読んで、そう思いました。
本書の印税はすべてチベットの小学校建設に充てられています。
なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。
- 作者: 一条真也
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。
2014年4月5日 一条真也拝