『1000の風』から『慈経 自由訳』へ

一条真也です。
小倉の中心にブックセンター「クエスト」という書店があります。
北九州で最大、かつ西日本でも最大級の書店ですが、その「話題書コーナー」に最新刊『慈経 自由訳』(三五館)が大量に並べられています。
エストさんにはいつも新刊が出るたびにコーナーを作っていただき、積極的に販売していただいていますが、心より感謝しております。


エストの「話題書」コーナー



ビジネス書で現在ベストセラー1位を独走している稲盛和夫氏の最新刊『稲盛和夫の経営問答 従業員をやる気にさせる7つのカギ』(日本経済新聞出版社)と一緒に並んでいるのですが、「ベスト50レビュアー」こと不識庵さんが泣いて喜びそうな光景ですね。なにしろ、この“書評の達人”の書評ブログに掲載する著者は、たったの2人だけ。1人は不識庵さんが敬愛する稲盛和夫氏であり、そしてもう1人は小生です。「敬天愛人(稲盛本)」と「天下布礼(一条本)」というのが「不識庵の面影」における2大書評コンテンツとなっており、まことに光栄の至りであります。ちなみに、稲盛氏とともに「第2回孔子文化賞」を受賞させていただいたことは、わたしの生涯の誇りです。


稲盛和夫氏の最新刊とともに並んでいます



そして、『慈経 自由訳』の左には拙著『慈を求めて』、右には『1000の風』が並べられています。ともに、三五館の本です。
わたしは、『1000の風』と『慈経 自由訳』が並んでいる姿を見て、胸が熱くなりました。数年前、「千の風になって」という不思議な歌が大ブームになりました。「私のお墓の前で泣かないでください」というフレーズではじまることからもわかるように、死者から生者へのメッセージ・ソングです。



もともとは作者不明の、わずか12行の英語の詩でした。
原題を「I am a thousand winds」といいます。欧米では以前からかなり有名だったようです。1977年、アメリカの映画監督ハワード・ホークスの葬儀では、映画俳優のジョン・ウェインがこの詩を朗読したそうです。また、1987年、マリリン・モンローの25回忌のとき、ワシントンで行なわれた追悼式の席上でも朗読されました。


右隣には『1000の風』が・・・・・・



かつて、この詩の存在を週刊誌で知った1人の日本人がいました。
三五館の星山佳須也社長です。大きな感銘を受けた星山社長は、1995年にこの詩を出版しました。その後、この本を作家の新井満氏が読んで大変感動しました。新井氏は、この不思議な力をもつ詩に曲をつけてみたいと思い立ち、自身による新訳にメロディーをつけました。それが、「千の風になって」です。CD化やDVD化もされて大ヒットし、現実の葬儀の場面でも、この曲を流してほしいというリクエストが今も絶えません。喪失の悲しみを癒す「死者からのメッセージ」として絶大な支持を受け続けています。


1000の風』から『慈経 自由訳』へ



それまでの日本で「死」について語ることは大きなタブーでした。それを打ち破ったのが三五館の『1000の風』だったのです。「死者からのメッセージ」は確実に日本人の死生観を変え、それは現在の「終活」ブームにまでつながっています。


「慈」の心が日本人の人生観を変える!



その三五館が満を持して世に問うのが、今回の『慈経 自由訳』です。最初に「慈経」のラフな直訳をお見せしたとき、星山社長は非常に興味を持って下さいました。そして、「これは、今の日本に最も必要なメッセージですね。ぜひ、出版しましょう!」と言って下さったのです。



なにしろ、日本人として初めて「I am a thousand winds」の素晴らしさを理解された方の言葉に、わたしは大きな勇気を得ました。そして、自分なりにベストを尽くして自由訳に挑戦した次第です。
1000の風』の刊行から約20年を経過し、今また日本人の死生観や人生観に大きな影響を与えるメッセージが三五館から発せられました。


昨日は、『慈経 自由訳』のPVも完成し、YouTubeにもアップされました。
クロード・ドビュッシーの不滅の名曲「月の光」をBGMとしたクオリティの高い芸術的なPVとなっており、かなりの反響です。



また、今朝は朗報がありました。なんと、あの「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生がわたしの自由訳に曲をつけて歌って下さるというのです。『慈経 自由訳』を高く評価して下さる鎌田先生は、「『神道ソングライター』が世紀の仏教ソングライターを兼務する『神仏習合シンガーソングライター』に大化けするわけですね」とのメールを送ってくれました。



これは楽しみになってきました。鎌田先生による神仏習合ソングが「千の風になって」以上のヒットになるかもしれません。すべては御仏の心のままでしょうが、わたしたち“礼楽コンビ”の「明るい世直し」がいよいよ現実の形になります。幸せであれ 平穏であれ 安らかであれ・・・・・・・


*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年3月4日 一条真也