「ファイティング原田物語」

一条真也です。
22日の夜、久しぶりにTVドラマを観ました。NHK大河ドラマスペシャル「坂の上の雲」以来ではないでしょうか。わたしは基本的にテレビを観ないのです。
フジテレビ系列が放映した『「黄金のバンタム」を破った男〜ファイティング原田物語』を観ました。2020年東京決定記念 大型シリーズ企画「1964−2020 時代の目撃者」第2弾の市原隼人主演でのスペシャルドラマです。


わが家のリビングルームでiPadを片手にテレビ観賞したのですが、ドラマの放映中あるいは放映直後は当ブログに大量のアクセスがありました。
ブログ『「黄金のバンタム」を破った男』の記事を目的としたアクセスです。
百田尚樹氏の原作は素晴らしいノンフィクションでしたが、ドラマのほうは原田家の家族愛に焦点を当てていました。「家族の絆」がテーマというわけです。


息子に語りかける父



ファイティング原田の父親には平田満、母親には伊藤蘭が扮していました。
幼い頃の原田少年は父から「男が世に出るには3つの方法がある」と教えられます。1つは、勉強して学者になること。2つめは、仕事を大金持ちになること。3つめは、努力して栄光をつかむこと。原田少年が選んだ道は第3の道でした。父親は怪我で仕事ができない体になってしまうのですが、「努力して栄光をつかめ」というメッセージは息子であるファイティング原田の心の支えとなるのでした。このように、わが子の人生を決定づける言葉を与えることができる父親というものは素晴らしくもあり、また幸福な存在でもあると思いました。


そして、何よりも心に沁みたのは原田選手に対する母親の愛情でした。
父が怪我をした後、工事現場での肉体労働で家族を養う母の姿が美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」を彷彿とさせました。そして、「自分の息子が人を殴るにも、人から殴られるのも嫌です」と語るシーンや、「ボクシングが嫌になったら、いつでも帰っておいで」と言うシーンは深い慈愛に満ちていました。


傷ついた息子を「慈しみ」の心でいたわる母



その母も、無理がたたってガンを患ってしまいます。世界チャンピオンになるまでは母の見舞いにも行かなかった原田ですが、見事に世界フライ級王者になった後、母の病室を訪れます。そのとき、自身の病気など忘れて、戦いで傷ついた息子をいたわる母の姿を見て、わたしは『慈経 自由訳』(三五館)の中にある「あたかも 母がたった一人の我が子を 無私の心で命を懸けて守るように すべての生きとし生けるものを慈しむべし」という言葉を連想しました。


慈経 自由訳』(三五館)より



「家族の絆」は見事に描かれていましたが、ボクシングの魅力をわかりやすく説明した原作の要素は薄くなっていました。原田選手を演じた市原隼人はすごく良かったですが、それ以外のボクサー役がちょっと物足りませんでした。特に、タイトルにもなっている「黄金のバンタム」と呼ばれたエデル・ジョフレ選手を演じた俳優がどう見てもボクサーの体型に見えなかったのが残念でしたね。


「家族の絆」がテーマでした



市原隼人以外で最も良かったのは、笹崎ジム会長を演じた片岡鶴太郎です。
頬はこけ、鬼気迫る表情で彼のほうがボクサーらしいぐらいでした。
実際、片岡鶴太郎はボクシングを嗜んでいることで知られますが、それにしてもずいぶんスリムな体型を維持しています。昔、「俺たち、ひょうきん族」や「鶴ちゃんのプッツン5」に出演していた頃がなつかしいですね。ぽちゃぽちゃと太っていて、「マッチでぇ〜す!」とか「小森のおバ、おバ、おバケちゃまよ」などと言っていたギャグがけっこう好きだったのですが・・・・・。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年2月23日 一条真也