村田諒太はいい!

一条真也です。
22日の夜、珍しくTVでボクシング観戦しました。
本当に久しぶりで、マイク・タイソンの世界戦以来ではないでしょうか。


村田諒太の初の海外戦でした

ベテランのナシメントと戦いました



そうです。マカオで行われた、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(28・三追)がカルロス・ナシメント(36・ブラジル)と戦ったミドル級ノンタイトルマッチ8回戦です。22日の21時からフジテレビでスペシャルドラマ『「黄金のバンタム」を破った男〜ファイティング原田物語』が放映されましたが、その直前の20時から村田の海外デビュー戦が中継され、この日は「黄金のボクシング・デー」となりました。


TVでのボクシング観戦は久しぶりです

いい面構えをしています



わたしは村田の試合を観たのは初めてですが、入場時の笑顔に好印象を持ちました。これから殴り合いをするという殺気をまったく感じさせず、陽のオーラを放っていました。まず、面構えが抜群にいい。いわゆる「ハンサム」という表現も間違いではないのですが、キリっとした侍のような容貌をしています。
ボクサーにありがちな鼻が潰れたような顔でなく、非常にきれいです。
初の海外での試合にも動じることはなく、村田は積極的に攻めました。
立ち上がりは慎重でしたが、これは従来のアップサイドから相手にプレッシャーを与えるスタイルから一変していると、解説者のコメンとから知りました。
ナシメントが左のボディ、アッパーを嫌がっているとみると、それをリードに村田は右ストレートを効果的に当てていきます。


怒涛のラッシュに会場が湧きました



3回には、ナシメントのアゴをと左アッパーで完璧にとらえました。ナシメントがふらつくと、村田が一気にラッシュをかけ、上下にパンチを繰り出して、最後は左フックでダウンを奪います。4回には村田の左ジャブからの右ストレートがクリーンヒットし、ナシメントは動けなくなって防戦一方となりました。それを見たレフェリーは試合をストップしました。村田のTKO勝ちです。
これで、プロデビューから3戦連続KO勝利となりました。



36歳の年齢だとはいえ、ナシメントはプロ31戦を戦い、世界戦の経験もあるっているベテランでした。そんな経験の差をものともせず、村田は鮮やかなKO勝利を飾ったのです。試合後、村田は「狙っていたことが海外でしっかりできて、マカオで勝つことができてうれしい。自分が意外と強心臓だということが確認できた」と笑顔で語りました。また、最後には「うまくいきました。やっとプロでの試合が分かってきた。前の試合より成長していると思うし、かといって、このままいっても世界に通用するわけではない。しっかりと、組んでもらった試合をこなしていきたい」と謙虚なコメントを残しています。


スター性抜群のニュー・ヒーローです



わたしは、久々にボクシングの試合を観て、「ボクシングって面白いなあ」としみじみと思いました。そして、「村田は華があるなあ」とも思いました。とにかく入場時も退場時もインタビューの間もニコニコしている姿が新鮮でした。まるで「おひさま」のような明るさを持った選手です。「おひさま」といえば、フィギュアスケート女子の浅田真央選手のイメージでもあります。
ブログ「真央ちゃん、ありがとう!」に書いたように、浅田選手はソチ五輪でメダルを逃したものの自己最高の演技で有終の美を飾りました。
村田選手はそんな浅田選手に敬意を表し、試合前日の計量時に「彼女は日本に元気を与える特別な力がある。そういう存在になりたい」と語ったそうです。



かつて、最も日本人に元気を与えたスポーツ選手の1人にボクシングのファイティング原田がいました。彼は、日本が生んだあらゆるボクサーの中で最高の人気を誇りました。その理由について、ブログ『「黄金のバンタム」を破った男』で紹介した名作ノンフィクションで、百田尚樹氏は次のように述べています。
「大衆は原田の持つ、明るい性格、一所懸命に努力する真面目さ、目標とするものに向かうひたむきさ、大言壮語しない謙虚さ、礼儀正しさ、といったものを愛したのだ。原田こそ、まさに戦後の日本人が忘れていた古きよき日本人の美質を持った若者だった。だからこそ、国民はそんな原田を懸命に応援したのだ」



そう、原田と正反対の性格ともいえるのが、かの“ヤンキー亀”です。
あのような躾のできていない小僧では広く国民の支持を得ることはできません。
明るく、礼儀正しく、謙虚な村田選手なら、かつてのファイティング原田のような「日本人を元気にできる」ボクサー、いやボクシングという競技をも超えた国民的ヒーローにさえなれる気がします。ほんとに。



28歳という年齢はけっして若いとはいえませんが、彼には五輪金メダリストという大きな実績があります。ぜひ、金メダリストから世界王者になって和製モハメッド・アリのようなフォーク・ヒーローになってほしいです。かつて熱狂した「PRIDE」も「K−1」もなくなり、「UFC」には今ひとつ気持ちが乗らず、さりとてもうプロレスは観る気がしない1人の格闘技ファンとして、これから村田諒太のサクセス・ストーリーを歴史の証人として目撃するという楽しみができました。



百田氏の本を読んで「またボクシングを観ようかなあ」とは思っていたのですが、ちょうど、村田諒太というリアルタイムのスターを得ることができて、ワクワクしています。「黄金のボクシング・デー」を企画してくれたフジテレビに感謝!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年2月23日 一条真也