隣人祭り・秋の観月会

一条真也です。
18日の夜、北九州市八幡西区折尾のサンレーグランドホテルで、毎年恒例のイベントが盛大に開催されました。「隣人祭り・秋の観月会」です。おかげさまで、今年も300名を超える多くの方々が見事な満月を楽しみました。


サンレーグランドホテル
イベント会場の入口にて



いま、「無縁社会」という言葉が時代のキーワードになっています。
わたしたちは無縁社会にどう向き合えばよいのか。
さらに言うなら、どうすれば無縁社会を乗り越えられるのか。
わたしは、その最大の方策の1つが「隣人祭り」であると思います。
隣人祭りとは、地域の隣人たちが食べ物や飲み物を持ち寄って集い、食事をしながら語り合うことです。都会に暮らす隣人たちが年に数回、顔を合わせます。


隣人祭り・秋の観月会」のようす



隣人祭りのキーワードは「助け合い」や「相互扶助」です。ならば、多くの人は日本に存在する某組織のことを思い浮かべるのではないでしょうか。
そう、互助会です。正しくは、冠婚葬祭互助会といいます。
「互助」とは「相互扶助」を略したものなのです。
わたしはフランスを中心にヨーロッパで起こった隣人祭りと日本の互助会の精神は非常に似ていると思っています。サンレーはまさに互助会であり、わたしは互助会の全国団体である全互連の副会長を務めています。


「絆」をイメージしたオブジェの前で



無縁社会」が叫ばれ、生涯非婚に孤独死や無縁死などが問題となる中、冠婚葬祭互助会の持つ社会的使命はますます大きくなると思っています。
いまや全国で2000万人を超える互助会員のほとんどは高齢者であり、やはり孤独死をなくすことが互助会の大きなテーマとなっているのです。
早速、互助会のわが社では、2008年10月15日にサンレーグランドホテルにおいて開催された隣人祭りのサポートをさせていただきました。
サンレーグランドホテルの恒例行事である「秋の観月会」とタイアップして行われたのですが、これが九州では最初の隣人祭りとなりました。日本の政令指定都市の中で最も高齢化が進行し、孤独死も増えている北九州市での隣人祭り開催とあって、マスコミの取材もたくさん受け、大きな話題となりました。


オブジェを上方から見ると「絆」の文字が・・・・・



その後も、わが社はNPO法人ハートウエル21と連動し、隣人祭り日本支部公認のオーソドックスな「隣人祭り」の他、わが社オリジナルの「隣人むすび祭り」のお手伝いを各地で行っています。その後、年々回数を増やし、2013年には550回以上の開催を予定しています。「隣人祭り」と「隣人むすび祭り」などを合わせれば、わが社は日本で地域の隣人が集う「隣人交流イベント」あるいは「地縁再生イベント」の開催を最もサポートしている組織だと思います。
いや、世界でも5本の指に入るのではないでしょうか。


今年も多くの方々が訪れました



本家のフランスをはじめ、欧米諸国の隣人祭りは地域住民がパンやワインなどを持ち寄る食事会ですが、そのままでは日本に定着させるのは難しいと考え、わが社がサポートする「隣人交流イベント」では、季節の年中行事などを取り入れています。たとえば、花見を取り入れた「隣人さくら祭り」、雛祭りを取り入れた「隣人ひな祭り」、節分を取り入れた「隣人節分祭り」、七夕を取り入れた「隣人たなばた祭り」、秋の月見を取り入れた「隣人祭り 秋の観月会」、クリスマスを取り入れた「隣人クリスマス祭り」といった具合です。
おかげさまで、大変好評を得ています。



これは日本におけるコンビニエンスストアマーケティングを参考にしました。アメリカ生まれのセブンイレブンを初めて日本に輸入したとき、当初はうまくいかなかったとか。しかし、セブンイレブン・ジャパンの社長であった鈴木敏文氏が日本流に「おにぎり」や「おでん」などの販売を思いつきました。それからは大ブレークして、すっかりコンビニが日本人の生活に溶け込んでいった事実はよく知られています。わたしは、これを隣人祭りのヒントにしたのです。
欧米の文化をそのまま日本に輸入してもダメで、日本流のアレンジが必要であるということを学んだわけです。


夜空の月が幻想的でした



今宵の月は、まことに幻想的でした。
日本人には「月見」の文化があります。
日本人は月が好きです。日本文化を考えるうえでのキーワードは「自然」ですが、松尾芭蕉は、自然を「造化(ぞうか)」と呼びました。
「造」はつくりだすこと、「化」は形を変えることです。
英語の「ネイチュア」と見事に一致していますね。すなわち、ネイチュアとは、物ではなく運動なのです。そして日本の自然において、「雪月花(せつげつか)」がそのシンボルとなります。つまり、雪は季節の移り変わり、時間の流れを表わし、月は宇宙、空間の広がりを表わします。花は時空にしたがって表われる、さまざまな現象そのもののシンボルといえるでしょう。


月あかりの下で開く1冊の本



「造化」の三大要素の1つが「月」である意味はとても大きいと思います。
日本では、明治の初めまで暦は中国にならって太陰暦を使っていました。
いうまでもなく、太陰暦というのは月を基本にした暦であり、農耕のプランもそれによって決められていました。当然、日本人の生活全体にわたって月が深く関わってきたことがわかります。今夜、見事な満月を見上げながら、わたしは古代日本人たちの「こころ」を、まるでテレパシーのように感じたような気がしました。


世界平和パゴダの僧正がお経を唱えました



このたびの「隣人祭り 秋の観月会」では、最初に合同長寿祝いが開かれ、世界平和パゴダのウィマラ僧正が長寿のお経を唱えました。
会場いっぱいに溢れかえった高齢者の方々は、みなさん熱心にお経を聴いていました。中には、合掌して祈っておられる方の姿も見えました。


華麗なフラダンス



「お楽しみアトラクション」として、フラダンンスショーが行われました。ナニフラダンス福岡のみなさんが華麗な舞を披露、総合芸術であると同時に宗教的な行為でもあるハワイの伝統的な歌舞音曲「フラ」の魅力を堪能しました。
月あかりの下で繰り広げられるフラダンスは、まるで天女の舞のようでした。


トリオロスファンダンゴスの演奏



アルゼンチンタンゴ トリオロスファンダンゴスの演奏が行われました。
1999年福岡での結成以来、アルゼンチンタンゴの楽しさとダイナミズムを全身で表現し続けています。柔軟で息の通うライブ演奏は、聴衆や、国内外の共演タンゴダンサーから、そして福岡、大阪、横浜、東京、ブエノスアイレスなど各地のタンゴダンスパーティーにおいて熱い支持を得ています。いわつなおこ(アコーディオン)、秋元多恵子(ピアノ)、谷本仰(ヴァイオリン)によるトリオです。


演奏前に谷本さんから「一条さん、お久しぶりです!」と声をかけられました。
谷本さんは、なんと、ブログ「茂木健一郎&奥田知志講演会」でヴァイオリンを弾いていた方だったのです! いや、不思議な偶然に驚きました。
こんなところにも、わたしは「ああ、この世は有縁社会だなあ!」と感じました。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年10月19日 一条真也