「となりの先生」

一条真也です。
金沢に来ています。
北陸に向かう羽田空港で素晴らしいCMを観て、感動しました。
小さな女の子が地域に住む人々から学んでいくという内容です。


ACジャパンの全国キャンペーン「となりの先生」という作品だそうです。
このCMのテーマは「街に暮らす人々のつながり」で、広告会社は電通の中部支社だとか。ACジャパンの公式サイトには、次のように説明されています。
青果店のおばちゃんは、漢字の読み方を教えてくれる『こくごの先生』。鮮魚店のおじちゃんは、おつりの数え方を教えてくれる『さんすうの先生』。学校の外にもたくさんの『となりの先生』がいます。自身の暮らす街に興味を持ったり、『街の人達のよい手本になりたいな』など。自身の役割を考えるきっかけをつくりたいと考えました」


隣人の時代―有縁社会のつくり方


わたしは、薄れゆく地縁の再生を願って、『隣人の時代』(三五館)という本を書きましたが、このCMが描いているのはまさに「隣人の時代」です。
かつての日本では、地域社会の人々はみんな先生であり、親代わりでした。
子どもが悪いことをすれば、他人でも大人はきちんと叱ってくれました。
子どもが路上で泣いていれば、「どうしたの?」と声を掛けてくれました。



サンレーグループ佐久間進会長は、「人生、会う人、みな我が師」を口癖にしています。本当に、どんな人からでも学べることはあるはずです。
佐久間会長は今度、自宅の近くに寺子屋を作るそうですので、わたしもそこで近所のお子さんを集めて『論語』でも教えたいと思っています。
このCMは周囲の大人たちに学ぶのも素晴らしいですが、最後に女の子が「わたしも、いつか先生になれるかなあ?」と言うところが最高ですね!
これを見て、わたしは生命の連続としての「孝」というものをイメージしました。



ところで、ACジャパンといえば、東日本大震災の直後に大量のCMが流れ、物議を醸しましたね。当時、民放テレビ各局は民間企業のCMを流しませんでした。これはテレビ局の判断というよりも、企業側が自粛したわけです。
代わりに、同法人のCMを「穴埋め」として大量放送したのですが、「しつこい」「不快感がある」「内容がそぐわない」というクレームが集中していたそうです。
ACの提言CMはテレビ、ラジオ、新聞社など加盟社の会費で制作しています。いわば「とばっちり」を受けた形だけに、同法人も困惑を隠せないようです。
詳しくは、ブログ「AC大量CM」をお読み下さい。



わたしも広告業界の出身ですので、もちろんACのことはよく知っています。
ACジャパンは、年間にCMを13本制作しています。
いずれも、マナーやモラル向上などといった社会啓発的な内容です。
制作費は約1200社の加盟社から得られる年会費で賄っています。
また、今回はテレビ局会社が大量にCMを放送したわけですが、テレビ局との間で金銭的なやりとりは一切発生していません。
わたしは、ACのCMは名作揃いだと思います。


羽田空港のTVモニターで見かけました



さて、この「となりの先生」のCM、羽田空港から小松空港へ飛ぶANA機を待つ登場口前のTVモニターでたまたま目撃しました。普段は読書に熱中していてTVモニターなど一瞥もしないのですが、本当にたまたま偶然に見かけたのです。こんな素晴らしいCMに出合うことができるのなら、これからは空港内のTVにも注意しなくてはいけませんね。いや、ほんとに。
ACは、どうか、このCMをガンガン日本中に流してほしいと思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年9月6日 一条真也