ミュシャ展

一条真也です。
ミュシャ展〜パリの夢 モラヴィアの祈り」に行きました。
場所は、六本木ヒルズ内の「森アーツセンターギャラリー」です。
冠婚葬祭業界の会議を終えた後、新橋から六本木に向かいました。


強風が吹き荒れた六本木ヒルズ

広場には巨大な蜘蛛が・・・



今日の東京は風が非常に強く、六本木ヒルズにも強風が吹き荒れました。
ヒルズの広場には巨大な蜘蛛が出現しています。
これは、ルイースブルジョアによるオブジェです。


ミュシャ展」を見学しました



さて、今回はミュシャ財団秘蔵の作品の数々が出展されるそうです。
ベスト50レビュアー」こと不識庵さんも、自身のブログで、この展覧会について書かれています。そのブログによって、わたしは今回の「ミュシャ展」開催を知りました。御存知の方もいるかと思いますが、わたしはミュシャが大好きなのです。彼の「主の祈り」というリトグラフ作品を小倉紫雲閣内のギャラリーに展示しているぐらいです。この展覧会は、これまでの展覧会の切り口とは一線を画しているそうです。芸術家としてのミュシャの功績を通じて、彼のコンセプトや理念、さらには思想を考察するものとなっています。



以下の6つの章に分かれて展示されています。
第1章:チェコミュシャ
第2章:サラ・ベルナールとの出会い
第3章:ミュシャ様式とアール・ヌーヴォ―
第4章:美の探究
第5章:パリ万博と世紀末
第6章:ミュシャ祈り



日本初公開作品を含む約240点の作品が展示されていますが、人気の高いリトグラフ作品だけでなく、希少性の高い油彩画、ジュエリー、下絵もあります。また貴重な写真も多く展示され、「フリーメイソンの礼服を着たミュシャ」(1923)など非常に興味深かったです。
あと、ミュシャがコレクションしたというスラヴの民族衣装も展示されており、その美しさに目を見張りました。ミュシャは自身の作品にも民族衣装をたくさん登場させていますが、つねづね「民族衣装とは国家の魂」であると述べていたそうです。日本では着物離れが進む一方ですが、ブログ「和装文化の見直しを」にも書いたように、着物は日本人の民族衣装です。特に結婚式を挙げる花嫁さんは「国家の魂」である和装を着てほしいものです。


グッズ売場も人がたくさん

カタログは2000円でした

購入したクリアファイル

ミュージック・アート・ボックスとスムース・パズル



展覧会はとても人が多く、残念ながらゆっくりと作品を鑑賞するというわけにはいきませんでした。どの作品にも二重、三重と人垣が出来ているといった感じでした。平日の午後にこれだけの人が来場するのですから、もちろん東京の人口の多さもあるでしょうが、ミュシャの人気を高さが窺われます。
出口すぐの場所にあるグッズ売場も黒山の人だかりで、レジの行列に10分くらい並んで、ようやくカタログとクリアファイルを2枚購入しました。六本木ヒルズの他のショップで、ミュシャのミュージック・アート・ボックス(つまりオルゴールのこと)、スムースパズルが売られていたので、それも買いました。



今回の展覧会では、20の大作から成る「スラヴ叙事詩」の映像が紹介されており、感動を覚えました。ミュシャは、この連作に祖国チェコの独立、そして人類の平和への願いを込めたとされています。
わたしは、彼の作品に「人類愛」といったものを強く感じてしまいます。
それは、やはりフリーメイソンの思想から来るものなのでしょうか。
その思想は、「主の祈り」からも感じられます。


ミュシャ「主の祈り」(1899)



ブログ「主の祈り」にも書いたように、わが社が所蔵している「主の祈り」は、地上でうごめく多くの人間たちが夜空の月を仰いでいる絵です。
しかも、その月は巨大な天上の眼でもあるのです。
1899年に描かれたこの絵はミュシャが最も描きたかった作品であり、それ以前の膨大なアールヌーヴォー作品の版権をすべて放棄してまで、この絵の制作に取り掛かったそうです。多忙な彼が下絵を何十枚も描いており、最初は空に浮かぶ巨大な顔(ブッダの顔のようにも見える)だったのが、次第に一つ目になり、それが三日月になっていったとか。
その絵につけられた解説文には、「月は主の眼であり、その下に、あらゆる人間は一つになるのであろう」といった内容が記されていました。つまり、ユダヤ教徒キリスト教徒もイスラム教徒も、月の下に一つになるというのですね。


ユダヤ教VSキリスト教VSイスラム教―「宗教衝突」の深層 (だいわ文庫)


ちょうど、この絵に出合った日は拙著『ユダヤ教vsキリスト教vsイスラム教』(だいわ文庫)の発売日でしたので、わたしは本当に驚き、かつ、非常に感激しました。そして日本には1枚だけしかなく、19世紀象徴主義を代表するというその絵を、それこそ「神の思し召し」と思って即座に購入したのです。もちろんミュシャがそのような絵を描いているなどとは、まったく知りませんでした。自著の内容とシンクロして、夢みるように会場へと導かれ、運命の出会いを果たしたのです。わたし自身はスピリチュアルな体験であったと思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年4月18日 一条真也