鎌田東二の世界

一条真也です。
ブログ「島田裕巳氏との再会」に書いたように、今月8日の夜、東京で開かれた「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二さんのライブに行きました。
場所は、小田急線の梅ヶ丘駅前にあるライブハウスでした。


鎌田東二ライブのようす


臨席にいた宗教学者島田裕巳さんと一緒に、開場時間から40分遅れで到着した鎌田さんの歌を聴きました。歌詞には宗教的なフレーズが満載ですので、それを島田さんがどのように聴くかが興味深かったです。
鎌田さんのライブは相変わらずキョーレツでしたが(微苦笑)、わたしの大好きな「君の名を呼べば」が歌われて、嬉しかったです。
この歌には、世界中の宗教のマントラが登場します。
初めて聴いたときは、マジでぶっ飛びました。
なにしろ、イスラム教の「アラー・アクバル」まで出てくるのです!
この歌の歌詞は、以下の通りです。



「君の名を呼べば」

詞/曲:鎌田東二


ああ ああ ああ ああ ああ ああ
君の名を呼べば 君の名を呼べば
君の名を呼べば 君の名を呼べば
打たれて 雨(アーメン)


ああ ああ ああ ああ ああ ああ
君の名を呼べば 君の名を呼べば
君の名を呼べば 君の名を呼べば
どしゃぶり 雨(アーメン)


南無妙法蓮華経(4回)
南無阿弥陀仏(4回)
のうまくさまんだばーだらだんせんだんまかろしゃだ
そわたやうんたらたかんまん
おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだだまにはんどま
じんばらはらばりたやうん
のうぼうあかしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか
オンアミリタテイセイカラウン(3回)
オンソラソバテイエイソワカ(3回)
南無神変大菩薩(3回)
南無大師遍照金剛(3回)
南無日蓮大上人(3回)
オンマニペメフーム(4回)
キリエ・エレイソン(4回)
アラー・アクバル(4回)
神ながらたまちはへませ(4回)
ギャーテイ ギャーテイ
ハラギャーテイ
ハラソウギャーテイ ボウジーソワカ
般若心経


ああ ああ ああ ああ ああ ああ
君の名を呼べば 君の名を呼べば
君の名を呼べば 君の名を呼べば
どしゃぶり 愛(会い、合い)





ここでいう「君」とは、「神」であり「如来」であり「ゴッド」であり「アッラー」。
つまり、人智を超えた偉大なるもの、「サムシング・グレート」ということでしょう。この曲が収められたCD「この星の光に魅かれて」には、鎌田さん自身のコメントが次のように書かれています。
「・・・この歌を歌うと、ほとんどの人が笑う。なぜだろう。
『君の名』とは、ここでは世界の諸宗教における信仰の対象や唱え言を指している。あなたも自分の大切な『君の名』を一緒に呼んでみてほしい。マントラ真言)の渦のなかで。・・・」
笑うどころか、わたしは泣きたくなるほど素晴らしい名曲だと思います。
この歌を聴いて、わたしはサンレーの新しい社歌を鎌田さんに即座にお願いしました。鎌田さんは「永遠からの贈り物」という素晴らしい社歌を作って下さいました。毎朝、約1500人のサンレーグループ社員全員で歌っています。


それから、鎮魂の歌である「なんまいだー節」も一度聴いたら絶対に忘れられない奇跡的な曲です。以前、鎌田家で飼っていた“チビ”という名前のネコちゃんが大往生を遂げたときに作られたとか。「なんまいだー」を限りなく連呼するこの世にも珍しい歌を、わたしは島田裕巳さんと並んで聴きました。
葬式は、要らない』の著者と『葬式は必要!』の著者が、仲良く並んで「なんまいだー節」を聴く!・・・・・そのシュールな現実を前に、わたしは軽い目まいをおぼえました。この歌の歌詞は、次の通りです。



「なんまいだー節」

詞/曲:鎌田東二


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


チビは往く 西の空 チビは往く 西の果て


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


俺は往く 西の空 俺は往く 西の果て


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


この世の果てを旅をする あの世の中に入ってゆく


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


君は往く 西の空 君は往く 西の果て


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


人は往く 西の空 人は往く 西の果て


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


この世の果てを旅をする あの世の中に安らかに


なむなむなむなむなんまいだー なむなむなむなむなんまいだー
なーむなーむなむなんまいだー なーむなーむなむなんまいだー


そして、ついにメガトン級のインパクトを持つ曲「フンドシ族ロック」が歌われました。もちろん、鎌田さんは衣服を脱いで、緑色のフンドシ一丁になりました。普段から鎌田さんはブリーフやトランクスなどはかず、もっぱらフンドシ専門だそうです。フンドシ姿が似合うことにかけては日本一ではないでしょうか。(笑)
わたしが最初にこの曲を聴いたのは、神田にある東京自由大学のクリスマス・パーティーの席上でしたが、そのとき玄侑宗久さんが「わたしも、いつもフンドシですよ。フンドシ族の仲間ですね」と言われていたのを思い出します。ちなみに、島田裕巳さんは呆然としながら「フンドシ族ロック」を聴かれていました。
この歌の歌詞は、次の通りです。



「フンドシ族ロック

詞/曲:鎌田東二


おまえのフンドシ 赤フンか 空を飛んでゆけ
おれのフンドシ 青フンよ 海を越えてゆけ
いつまでたっても おれたちは
フンフンフン族 フンドシ族


おまえのフンドシ 金フンか ビルを抜けてゆけ
おれのフンドシ 白フンよ 巷を泳いでゆけ
自由を愛する おれたちは
フンフンフン族 フンドシ族


気が気でねえよ おれたちは
ジリ貧民族 少数民族 マイノリティ
フンフンフン族 フンドシ族


言わずと知れた おれたちは
フンフンフンドシ族
言挙げしないが おれたちは
フンフンフンドシ族
この世の悪に 立ち向かう
フンフンフン族 フンドシ族


おれたちゃ 敵に立ち向かう パンツ・グローバリゼーション
世界にゃ 多様性が必要よ アンチ・ファンダメンタリズム
自由を愛する おれたちは
フンフンフン族 フンドシ族


誇りを持とうぜ おれたちは
尻賓民族 少数民族 マイノリティ
フンフンフン族 フンドシ族


フンフンフン族 フンフンフン族
フンフンフン族 フンフンフンドシ族


それにしても、西ローマ帝国を滅亡させた「フン族」と日本古来の男性下着である「フンドシ」をかけるとは!
ありえない言語感覚というか、恐るべき鎌田東二ワールド! 
まるで、ライブハウスの時間と空間が歪んでしまったようでした。
鎌田さんのファーストCDには、作家の五木寛之さんが「オラビトとしての鎌田東二」という文章を寄せられています。次のような内容です。
「言霊(ことだま)に先だって『音霊(おとだま)』があった。音は天地自然の歌声であり、呼吸である。鎌田東二さんの祈りが、言葉としてより歌として発露することは、あまりにも自然であり、命が息としてあふれ出るとき、そこに音霊が生ずるのは当然だろう。一度、鎌田さんと共同で行ったパフォーマンスでは、私の論は彼の音の前にたちまち色褪せ、呆然とその音に聴き入るしかなかった記憶がある。スサノヲはアラブル神というより、オラブル神ではあるまいか。九州の私の郷里では、叫ぶ、呼ぶ、の意を『おらぶ』と言う。
鎌田東二さんもまた現代のオラビトの一人である。その呼び声が人びとのこころの最深部にとどくことを念じつつ」
この文章は、2001年の夏に書かれていますが、五木さんほどの人の感性をもってして初めて神道ソングの真髄に触れられるのでしょうか。



ちなみに、驚愕のライブ体験を終えた島田裕巳さんは「神道ソングというけど、これは仏教的じゃん・・・・・」とつぶやかれていました。
それから、「まあ、ボブ・ディランの世界だねぇ」とも言われていました。
鎌田ワールドが「ボブ・ディランの世界」に通じているのは、わたしにも理解できます。まさに、「風に吹かれて」の世界そのままですから。なんだか、すべての歌が「風に吹かれて」のアンサーソングのようにも思えてきます。
そう、このご時勢にあってケータイを持たない生活を送る鎌田さんは、自然のままに風に吹かれて生きている人なのかもしれませんね。



このブログ記事をUPする直前に、鎌田さんからメールが届きました。
メールは、以下のような内容でした。
「今、新幹線で東京から京都に戻る途中ですが、電光掲示板で、スーチーさんが4月に来日し、安部首相と会談するというニュースが流れました。その際に、スーチーさんに、門司のパコダに参拝してもらったらどうでしょうか。そして、佐久間進日緬協会長ともども記者会見できればいいですね。ぜひ交渉してみてください。よろしくお願いします。その際は、わたしもぜひ伺いたいと思います」
そう、鎌田さんは日本とミャンマーの仏教交流を推進する「日緬仏教文化交流協会」(日緬協)の理事なのです。詳しくは、「シンとトニーのムーンサルトレター」第88信をお読み下さい。ちなみに、同協会の会長は父の佐久間進が務め、わたしも理事の1人となっています。
折りしも佐久間会長はミャンマーに出張中で、明日の午前中に帰国します。鎌田さんからの貴重な情報と提言を必ず伝えます。そして、ノーベル平和賞受賞者であるアウンサンスーチー女史の世界平和パゴダ参拝を実現すべく、全力を尽くしたいと思います。鎌田さん、どうも、ありがとうございました。
それにしても京都と東京間を往復するだけでなく、沖縄にも天河にも、その他の各地の聖地にも赴き、休むことなく飛び回っておられるそのバイタリティは凄いと思います。法螺貝も吹くし、エレキも使いこなすトニーさんはやっぱりカッコいいです。どうか、これからもお元気で、神道ソングライターというオラビトとして活躍していただきたいと思います。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年2月17日 一条真也