『流されない生き方』

「流されない」生き方


一条真也です。
東京から戻ったら、PHPの大谷編集長からメールが届いてました。
またしても『命には続きがある』の大増刷が決定したとか。感謝!
さて、『流されない生き方』山崎武也著(三笠書房)を読みました。
「“人生の答え”は、いくつも、いくつもある!」というサブタイトルで、帯には「世の中は『不平等』にできている」「それでも、チャンスは誰のもとにも必ず訪れる。」「“1回限りの人生”を、悔いを残さず丁寧に生きるために。」と書かれています。著者は『一流の条件』『気品の研究』『人望の研究』『古風の研究』など多くの著書を持つビジネスコンサルタントです。



本書のカバー前そでには、「人間の数と同じだけの、生き方があっていい」「心の真ん中に置いておくべき『人生の指針』!」というリード文があります。
それに続いて、次のように書かれています。
「世の中は日々、というよりも文字どおり時々刻々と変わっていく。
その急激な流れに必死でついていこうと、
人々は神経を磨り減らしているのである。
そこには、知らず知らずのうちに、
流れの中に埋没して自己を失ってしまう危険性がある。
情報も物事も、数が多くなることには徹底的に抵抗して、
シンプルをモットーに、
その点に関しては一歩も譲らない姿勢を確立し貫き通していくのだ」



本書の構成は、以下のようになっています。
1章 「縛られない」人生
    ――「本当に必要なもの」に気づく
2章 「あるがまま」という“諦め”の境地
    ――不安や恐れから、こんなに自由になれる
3章 「正しい答え」を探さない、求めない
    ――自分の殻を破り、外の世界へ出る方法
4章 流されない「仕事」のすすめ
    ――どこまでも、成長し続けることができる
5章 「媚びない」人づき合い
    ――“人からどう思われるか”という考えを捨てる
6章 世の中は「不平等」にできている
    ――それでも、チャンスは訪れる!



本書には「生き方」についての96のエッセイが収められています。
この中で、特にわたしの印象に残ったものが3つあります。
まずは、37「『読書』は、決してなくならない財産」です。
ここで、著者は次のように述べています。
「人間にとって生命の次に大切なのは財産である。金銭ならびに不動産や動産は経済的な価値があり目に見えるもので、物的な財産だ。だが、目に見えるだけに人に盗られたり失くなったりもする。一方、知識や知恵を内容とする教養という『知的財産』は、奪われたり減失したりすることはない。読書をしてこの財産を増やしたほうがいいに決まっている」



次に、73「『話す』と『聞く』との一番いいバランス」です。
著者は、次のように述べています。
「お互いに口を開くことができる場では、会話をするように心掛ける。会話とは対等な立場でお互いに話し合い理解し合うことである。したがって、一方的にしゃべったのでは、コミュニケーションは成り立たない。もちろん、人によってコミュニケーションの能力は異なっているので、能力の勝っているほうが劣っているほうにより気を使って、相手を助けるように力を貸さなくてはならない。
あらゆる人間関係の場において、『互助の精神』は必要不可欠であることを忘れてはならない。生きていくことは助け合うことである。生存競争などという考え方は、程度の低い野蛮人の世界に属することであって、教養があって洗練された人たちの与するところではない」



そして、83「人生を後悔する人、しない人」です。
著者は、次のように述べています。
「『絶対に』後悔をしないですむ方法が1つだけある。それは現在に集中すると同時に将来に視点を置いて、『絶対に』過去を振り返って見ないことである。
もちろん、それは人間にとっては不可能なことなので、詭弁を弄するといわれても仕方がない。だが、そのような考え方の中に、できるだけ後悔をしないためのヒントを見つけることができる。すなわち、過去は過ぎ去ったことで、『覆水盆に返らず』で、人間の力はまったく及ばない。『過つは人の常』であるから、間違ったことをしても、それをくよくよと考えないことだ」



本書では、一貫して「ぶれない、媚びない、流されない」生き方を送るための思想が示されています。96のメッセージを読み進んでいくうちに、「自分らしい幸せのかたち」が見えてくるのではないでしょうか。
特に50歳を過ぎてから読むと味わいのあるエッセイが多かったです。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年8月30日 一条真也