「ピースとハイライト」

一条真也です。
ブログ「サザンオールスターズの復活」に書いたように、わたしも大ファンである国民的ロックバンドが5年ぶりに復活しました。今月7日には、復帰第1弾となる54枚目のシングル「ピースとハイライト」が発売されました。


この「ピースとハイライト」、予想通りに非常に売れています。
12日に発表されたオリコン週間シングルランキング(19日付)によると、「ピースとハイライト」が発売初週で20万7000枚を売り上げ、初登場1位を獲得!
これは、4つの年代でシングル首位を獲得という快挙だそうです。
サザンは、1980年代に「さよならベイビー」、90年代に「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」など5作、2000年代に「TSUNAMI」など8作で首位となっています。今回の「ピースとハイライト」で4年代での1位獲得となったわけですが、これは70年〜00年代に1位を獲得している中島みゆきに続く史上2組目だとか。サザンオールスターズとしては、もちろん初の快挙です。



タイトルの「ピース」と「ハイライト」ですが、それぞれJTから発売されているタバコの銘柄で、桑田氏の父親が「ピース」を、桑田氏自身はかつて「ハイライト」を吸っていたそうです。「ピース」は「平和」、「ハイライト」は「もっと日の当たる場所」という意味ですが、桑田氏は「平和への願い」を歌詞のテーマにしています。
特に、日中関係および日韓関係を中心とした近年の東アジア情勢を照らし合わせ、「お互いの歴史を知ることで助け合ってほしい」という内容になっています。
桑田氏は「池上さんがテレビでこう言ってたけど、君達どう思う?」といった世間話の延長のような歌詞にしたと語っています。



その歌詞が巷で大きな話題を呼んでおり、内容をめぐって物議を醸しています。
終戦記念日だった昨日も、「<中国>サザン新曲引き合いに日本政府けん制 終戦記念日」という毎日新聞のネット記事が出ていました。
そこには、以下のように書かれています。
「国営中国中央テレビ(CCTV)は14日、日本の人気グループ『サザンオールスターズ』の新曲『ピースとハイライト』を『隣国関係を改めるよう(日本に)呼び掛けたもの』と報道。『何気なく見たニュースで、お隣の人が怒ってた。今までどんなに対話しても、それぞれの主張は変わらない』などと桑田佳祐さんが歌う様子を伝え、『日本と隣国との歴史対立に関する見方をつづっている』と紹介した。また『桑田氏のファンは中国にも多く、多くの歌詞が中国語に訳されている。著名人が日本で歴史を反省するよう訴えればネット右翼から激しく批判されるが、人気の高い桑田氏にネット上で目立った批判は見られない』などと伝えた」



CCTVは「ネット上で目立った批判は見られない」と報道していますが、じつは日本国内でも結構な騒ぎになっており、ネットでは批判もたくさん出ています。
詳しい内容については、「ネット上で急速に広まる『サザンオールスターズは反日左翼!』の声 在日説も浮上」というNAVERまとめ記事が出ています。
わたしの感想としては、明らかに政治的メッセージを含んだ曲だとは思います。
また、「ピースとハイライト」のミュージック・ビデオには、安倍晋三首相をはじめ、朴槿惠、バラク・オバマ習近平のお面を被ったエキストラが登場しています。ちなみに、民主党参議院議員有田芳生氏がビデオの監修に関与したとか。
これはもう、誰がどう見ても「ピースとハイライト」という曲が政治的メッセージを含んだ歌であることは間違いないでしょう。



問題は政治的メッセージの内容ですが、結論から言えば、「どうってことないよ」と思います。これが「尖閣竹島も返そうよ」という歌詞でも入っていれば大問題ですが、「教科書は現代史をやる前に時間切れ そこが一番しりたいのに 何でそうなっちゃうの?」ぐらいでは全然セーフでしょう。
敵対する国家同士の対話を訴える姿勢にも批判が殺到しています。
「対話して解決できない相手だから、領土問題が紛糾している。桑田は能天気というかまったく現実を見ていない理想主義者」といった声がたくさん出ています。
たしかに、桑田氏は理想主義者なのでしょう。
そして、筋金入りのロマンティストなのだと思います。
でも、ミュージシャンならそれで良いのではないでしょうか。
現実的な問題など、政治家や役人に任せておけばいいではないですか。
絵空事かな? お伽噺かな? お互い幸せ願うことなど」という歌詞もありますが、桑田氏も自分が理想主義者であることをよく理解しているのです。



かつて、「すべての武器を楽器に!」と名言を吐いたは沖縄出身のミュージシャンである喜納昌吉氏ですが、「ピースとハイライト」にもそれに似たメッセージを感じます。そういえば、喜納氏は民主党の政治家になって参議院議員も務めましたね。まさか、桑田氏がこの歌をきっかけに政治に深入りして、民主党から出馬なんてことはないでしょうね。それだけは止めてほしいです。
たしかに桑田氏クラスが参議院にでも出れば当選は確実でしょう。今の彼なら、村上春樹氏や宮崎駿氏をも凌ぐ絶大な影響力を持っているでしょうから。



何よりも「ピースとハイライト」を貫いている「隣国と仲良くしよう!」というメッセージは正しいではないですか。これに反対する人はおかしいでしょう。
中国や韓国は、日本にとっての隣国です。隣国というのは、好き嫌いに関わらず、無関係ではいられません。まさに人間も同じで、いくら嫌いな隣人でも会えば挨拶をするものです。それは、人間としての基本でもあります。
そして、この人間としての基本が広い意味での「礼」です。
「礼」からは、さまざまな「しきたり」が派生しました。


知ろうよお互いのイイところ!!



それをまとめたのが、わたしが監修した『徹底比較!日中韓 しきたりとマナー』(祥伝社黄金文庫)という本です。同書は「ライフスタイル」「冠婚葬祭」「伝統行事」「子育てと教育」「ビジネスマナー」といった5つのパートに分かれ、それぞれの分野の「しきたり」を紹介しています。
「ピースとハイライト」には、「色んな事情があるけどさ、知ろうよお互いのイイところ!!」という歌詞もありますが、まさにその通り!
それぞれの国の「しきたり」を知ることは、その国の文化を知ることです。
そして、互いの文化の違いと共通点を知ることは、その国の国民の「こころ」を知ることであり、それが「お互いのイイところ」を知ることにつながります。
そして、「希望の笛を植えていこうよ 地上に愛を育てようよ」という歌詞も素晴らしいですね。このフレーズは、わたしのハートにヒットしました。


「ピースとハイライト」のCDには、表題曲の他にも「蛍」「栄光の男」「人生の散歩道」の3曲が収録されていますが、どれも素晴らしい仕上がりとなっています。
切ないスロー・バラードの「蛍」は、「君にサヨナラを」に通じる親友の死を歌っています。「何のために己を断って 魂だけが帰り来るの? 闇の飛び交う蛍に連れられ君がいた気がする」という歌詞などはスピリチュアルな世界観で、まさにブログ「冨屋食堂」に書いた「ホタル」の物語そのものです。
最後の「涙見せぬように笑顔でサヨナラを 夢溢る世の中であれと祈り」という歌詞には、「風の詩を聴かせて」と同じくグリーフケアの要素があります。
そう、「君にサヨナラを」も「風の詩を聴かせて」も桑田佳祐のソロ・ナンバーでしたが、「蛍」はサザンオールスターズ初のグリーフケア・ソングなのです!


そして「栄光の男」は「蛍」とは違う意味で泣ける曲です。「老いてゆく肉体は愛も知らずに満足かい? 喜びを誰かと分かち合うのが人生さ」という歌詞があるのですが、ついに50代に突入したわたしの心に沁みました。(涙)
それから「満月が都会のビルの谷間から『このオッチョコチョイ』と俺を睨んでいた」という歌詞も出てきます。これまで桑田氏自身が最も好きだという「月」や「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」に代表されるように満月をロマンティックに描いたことは珍しくありませんが、まさか月が人間を「このオッチョコチョイ」と睨むという設定は意外であり、新鮮でした。満月に叱られる人間!
さらには原由子サンが作詞し、桑田氏が作曲した「人生の散歩道」もしみじみとする名曲です。久々にハラ坊の声を聴くと、癒されますね。この歌では「月明かりに輝く 広い世界の真ん中で 地図にない場所までも 幸せ訪ねて歩き出せ ラッタラッタラー」というくだりが良かった。特に「ラッタラッタラー」が最高!



「ピースとハイライト」のCDをiPhoneとiPodに入れて、ここのところ毎日のように聴いています。なんだか、本物のサザンのライブに行きたくてたまらなくなりました。「ピースとハイライト」のメッセージも、直接聴いて判断したいです。
17日(土)と18日(日)の夜には神戸でライブが開催されるそうです。
ちょうど17日の午後からは関西方面に出張なので、行ってみたいな。
でも、今からじゃ絶対にチケットが入手できないだろうな。
でも、知り合いの広告業界の大物に頼んだら、なんとかならんかいな。
それとも、このブログ読んだ人がなんとかしてくれへんかな。う〜ん!


*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年8月17日 一条真也