『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

一条真也です。
125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第193回分が掲載されています。今回は、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆著(集英社新書)です。

ハートフル・ブックス」第193回

 

大ベストセラーとなった本です。著者は文芸評論家・書評家。1994年、徳島県美馬市に生まれて高知県高知市で育ち、京都大学文学部卒業。同大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了後、2019年に博士後期課を中途退学して、就職のため東京へと移ります。学部在学中に京都天狼院書店の店長に就任し、大学院在学中の2017年に著作家デビューしています。

 

まえがき「本が読めなかったから、会社をやめました」の「AI時代の、人間らしい働き方」の冒頭では、最初に伝えたいのが、著者にとっての「本を読むこと」は、読者にとっての「仕事と両立させたい、仕事以外の時間」である、ということが述べられます。「生活できるお金は稼ぎたいし、文化的な生活を送りたい」のは当然のことですが、週5フルタイムで出社していると、それを叶えることは、想像以上に難しいことがわかります。著者はそれを社会人一年目で痛感したとして、「私だけではないはずです。今を生きる多くの人が、労働と文化の両立に困難を抱えています。働きながら、文化的な生活を送る――そのことが、今、とっても難しくなっています」とも、著者は述べています。

 

ChatGPTが話題になり、AIが私たちの仕事を奪う、と言われている世の中で、私たち人間が生きる意味とは何か。仕事をただ長時間こなすだけのマシーンではなく、文化的な生活をしてこそ、人間らしい生き方をしていると言えるのではないかとしながらも、著者は「しかし労働によって文化的な生活をする余裕がなくなっているのだとすれば・・・。それこそ、そんな働き方はAIに任せておけ、と言いたくなります。自分の興味関心や、生活によって生まれる文化があってこそ、人間らしい仕事が可能になる。AI時代における、人間らしい働き方。それは、『労働』と『文化』を両立させる働き方ではないでしょうか」と述べます。

 

みんなが「半身」で働ける社会こそが「働きながら本を読める社会」につながるとして、著者は「たとえば、こんな働き方はどうだろうか。従来の日本企業は、『全身』で働く少数の男性正規雇用者に固定費用をかけ、バッファとしての残業代を支払っていた。しかしこれからの日本は、『半身』で働くたくさんの多様な人々に残業代なしで働いてもらうことが重要ではないだろうか」と述べます。そして本書の最後に、著者は「働きながら本を読める社会をつくるために。半身で働こう。それが可能な社会にしよう。本書の結論は、ここにある」と述べるのでした。本を読むことは「人間らしくあること」であり、わたしは著者の意見には大賛成です。

 

 

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2025年11月1日  一条真也

11月度総合朝礼 

一条真也です。11月になりました。
かなり寒くなりました。1日の午前8時45分から、わが社が誇る儀式の殿堂である小倉紫雲閣の大ホールで、サンレー本社の11月度総合朝礼を行いました。

11月度総合朝礼前のようす

最初は、もちろん一同礼!

社歌斉唱のようす

わたしが登壇しました

 

続いて、わたしが社長講話をしました。この日は大ホールに大規模な社葬が入っていたため、いつものようにステージ上ではなく、ステージ下で話しました。最初に「おはようございます。11月です。ここ最近、一気に寒くなってきました。どうか、インフルエンザなどにかからないように気を付けて下さい。今年もあと2ヵ月ということで、各部門も仕上げの準備をしているようですね。18日は、創立59周年記念式典が行われ、60周年までいよいよ1年となります」と言ってから、以下のような話をしました。10月15日、わたしが理事長を務める一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事会終了後、創立10周年記念の歴代理事長座談会に参加しました。座談会では、わたしが司会進行も務めることになりました。

儀式論』について話しました

儀式論

儀式論

Amazon

 

座談会の会場は、冠婚葬祭総合研究所の図書室でした。わたしがこれまでに書いてきた「一条本」のほとんどが置かれていました。こんなに心強い用心棒はいません。その中でも、10年前の2015年に上梓した儀式論(弘文堂)の存在が大きかったですね。600頁の大作ですが、重厚なケースの帯には「人間が人間であるために儀式はある!」と大書され、続けて「儀式とは何か? 有史以来の大いなる謎に挑む、知の大冒険! 儀式が人類存続のための文化装置であることを解明し、儀式軽視の風潮に警鐘を鳴らす、渾身の書き下ろし!」と書かれています。

『RITUAL』について話しました

 

座談会では、わたしは「最も新しいものはAIですが、最も古く、最も普遍性のあるものは儀式です」と発言しました。みなさん、頷いて下さいました。じつは現在、世界的に「儀式」が注目されています。最近、『儀式論』と内容が非常によく似た本を読みました。ブログ『RITUAL 人類を幸福に導く「最古の科学」』で紹介した本です。著者のディミトリス・クシガラタスは、コネチカット大学・実験的人類学研究室長。認知人類学者。南ヨーロッパモーリシャスでフィールドワークを行った後、プリンストン大学オーフス大学で役職を歴任し、マサリク大学・宗教実験研究研究所の所長を務めました。

儀式は「最古の科学」である!


熱心に聴く人びと

 

『RITUAL』のアマゾン内容紹介には、「世界を変えるための『最古の科学』が「儀式」だった――。生活や価値観が猛スピードで変化する現代。昔からある『儀式』は単調で、退屈で、無意味にみえる。でも、ほんとうに? 認知人類学者の著者は熱した炭の上を歩く人々の心拍数を測り、インドの祭りでホルモンの増減を測定。フィールドに実験室を持ち込んで、これまで検証されてこなかった謎めいた儀式の深層を、認知科学の手法で徹底的に調査する。ハレとケの場、両方にあふれる「儀式」の秘密と活用のヒントを探究する空前の書」と書かれています。

儀式は太古から人々に必要とされた!


熱心に聴く人びと

同書の第一章「儀式のパラドックス」では、「儀式は私たちの社会的慣習のほぼすべての根本にある」として、著者は「小槌を振る裁判官や、就任宣誓をする新大統領を思い浮かべてみるだけでもわかるだろう。軍隊でも政府機関でも企業でも、入所式やパレードというかたちで、また忠誠を誓うためにより手間のかかるかたちで儀式が執り行われる。重要な試合でいつも同じソックスを身に着けるスポーツ選手や、高額な賞金がかかるとサイコロにキスしたり幸運のお守りを握りしめたりするギャンブラーもいる。日々の生活のなかで、私たちはみな儀式を行っている。乾杯のときにグラスを掲げ、卒業式に出席し、誕生日会に参加する。儀式は、太古から人々に必要とされ、これから見ていくように人類の文明のなかできわめて重要な役割を果たしてきた」と具体例を挙げています。

コロナからココロへ

 

また、わたしたちがこんにち享受している快適さが近い将来脅かされることはないと考える根拠はないといいます。それどころか、新型コロナウイルス感染症パンデミックは、現代の人間の存在がどれほど脆弱なものかを浮き彫りにしました。これらの事実を踏まえて、著者は「これは、激動の時代が始まる予兆にすぎないのかもしれない。さらに、持続不可能な成長と地球資源の過剰利用、気候危機、政治的失敗が拍車をかけている。もしそのとおりなら、来るべき暗黒の時代は、これまで以上に儀式の力に頼ることになるかもしれない。心を平安にして連帯を育み、そしてこの世界は意義があり継続していくという感覚を生み出すためだ」と述べています。拙著『心ゆたかな社会』(現代書林)の帯に使った「コロナからココロへ」というキャッチコピーを思い出します。

『「儀式」で職場が変わる』を紹介

 

また、『「儀式」で職場が変わる』というクルシャット・オゼンチ&マーガレット・ヘイガンの共著も話題になっています。「働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア」というサブタイトルがついています。目に見えない組織文化は、儀式で日々の習慣に落とし込めるという内容なのですが、スタンフォード大学の注目研究が紹介されています。日常に儀式を取り入れるとオフィスが創造と協働の場に変わるとして、50の具体例が紹介されています。アマゾンには「世界のトップ企業も実践する独自の儀式!」「より良い職場文化(ワークカルチャー)を創造するための儀式を個人・チーム・組織、シチュエーション別に提案」「働き方の多様化・個別化がますます進むなかで、職場での場作りやコミュニティ形成のヒントが詰まった一冊!」との内容紹介がありますが、どうやら世界的に「儀式」が注目されています。これは面白くなってきました!

「ハートフル」とは「礼」のことだ!



わが造語「ハートフル」は「礼」という意味なので、セレモニー・カンパニー・イズ・ハートフル・カンパニー! わが社の伝統になっている「一同礼」「S2M宣言唱和」「和のこえ」「末広がりの五本締め」・・・・・・その他にも、わが社にはオリジナルの儀式がたくさんあります。『「儀式」で職場が変わる』には、わたしが思いもしなかったユニークな儀式がたくさん紹介されていました。もちろん、アメリカの企業向けの本なので、そのまま日本の企業に導入するのは難しいものも多いでしょう。でも、儀式によって職場が変わり、生産性が向上して、業績がアップするというのは事実です。なぜなら、儀式ほどそこにいる人々の「こころ」を1つにし、チームを強化させるものはないからです。

「礼の言霊」の動画を拡散しよう!


財団の歴代理事長座談会では、座談会では、ある歴代理事長が「これからの冠婚葬祭に必要なものは哲学だ」と言っていました。それなら、わが社のお家芸であります。最近、わたしがこれまで世に送り出してきた多くのハートフル・キーワード、いわば「礼の言霊」を二分間ほどの動画にしてYouTubeにアップしています。「儀式の意味や重要性がわかりやすく説明されている」と、冠婚葬祭業界をはじめとして話題となっているようです。


最後は道歌を披露しました

 

じつはこの動画、生成AIで作成しています。
AIという最新の科学を駆使して、儀式という最古の科学の重要性を訴えているわけです。これは非常にユニークなことだと思いますね。「天下布礼」のためにも、「礼の言霊」のAI動画をどんどん拡散して下さい! わたしは「それでは、あと2ヵ月、一同礼の魔法で「こころ」を1つにして今年を力いっぱい駆け抜けていきましょう!」と述べてから、以下の道歌を披露しました。

 

 

儀式なる最古の科学説くために

  天下布礼のAI動画 庸軒

 

「今月の目標」を唱和

最後は、もちろん一同礼!

 

その後は「今月の目標」を全員で唱和し、最後はもちろん「一同礼」で総合朝礼を終えました。この後は、恒例の北九州本部会議を行います。コロナ禍以降も、わが社は黒字の確保はもちろん、ベストを尽くして走ってきました。おかげさまで昨年は創業以来最高益を出すことができています。今月も全社員の「こころ」を1つにして、このまま最後まで前向きに走り抜きたいです!

 

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2025年11月1日 一条真也

「爆弾」

一条真也です。ハッピー・ハロウィン!
10月31日から公開された日本映画「爆弾」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。ワーナーブラザーズの配給です。かなり期待していた作品でしたが、期待に違わず面白かったです。今年は日本映画が信じられないほどの豊作ですが、今また新たに、怪物級の大傑作が誕生しました。

 

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「呉勝浩の小説を実写化したミステリー。霊感を持つと称して都内に仕掛けられた爆弾の爆発を予告する男と、爆弾のありかを聞き出そうとする刑事たちの攻防を描く。監督は『恋は雨上がりのように』などの永井聡。『ベートーヴェン捏造』などの山田裕貴、『風のマジム』などの伊藤沙莉、『聖☆おにいさん』シリーズなどの染谷将太のほか、夏川結衣渡部篤郎佐藤二朗らが出演する」

 

ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「酔った勢いで自販機と店員に暴行を働いた中年男(佐藤二朗)が、警察に連行される。男はスズキタゴサクを名乗り、霊感を持っていると称して都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。半信半疑で話を聞いていた刑事の類家(山田裕貴)だったが、実際に爆発が起こり、さらに男はこの後3回の爆発が起こると予見する」

 

 

作家・呉勝浩による原作小説『爆弾』講談社文庫)は、第167回直木賞候補作のベストセラーです。アマゾンの内容紹介には、「東京中に爆弾。怪物級ミステリ-! 自称・スズキタゴサク。取調室に捕らわれた冴えない男が、突如『十時に爆発があります』と予言した。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。爆破は三度、続くと言う。ただの“霊感”だと嘯くタゴサクに、警視庁特殊犯係の類家は情報を引き出すべく知能戦を挑む。炎上する東京。拡散する悪意を前に、正義は守れるか」と書かれています。この本、じつは発売直後に買っていたのですが、忙しくて読めていません。でも、映画を観れば、原作が傑作であることがよくわかります。



詳しいストーリーはネタバレになるので書けませんが、本当にスリリングで面白い物語でした。冒頭から、泥酔した男が自販機と店員に暴行を働いて逮捕され、警察署内で取り調べを受けるシーンから始まります。とてもわかりやすい物語の開始なので、観客はその後の流れもスムーズに理解することができます。本に読みやすさを意味する「リーダブル」という言葉があるなら、この映画は観やすいという意味で「ウォッチャッブル」でした。そして、なんといっても、爆弾の爆発を予告する男・スズキタゴサクを演じた佐藤二朗の演技が最高でした。何も失うものがない人間を「無敵の人」などと呼びますが、見事なまでに無敵の人になり切っていました。

 

スズキタゴサクと知恵比べをする刑事の類家を演じた山田裕貴も良かったです。こういう三枚目の役でも抜群の存在感を放っていましたね。彼の妻は女優・西野七瀬ですが、彼女はブログ「君の忘れ方」で紹介した拙著愛する人を亡くした人へ(現代書林・PHP文庫)を原案とする日本映画でバス事故死する女性を演じました。その婚約者の役が坂東龍汰でしたが、彼も「爆弾」に巡査長の役で出演しています。物語のキーマンとなる非常に重要な役どころでしたが、期待値を超える熱演でしたね。じつは、「君の忘れ方」での彼の役は当初は山田が候補に上がっていました。実現すれば西野七瀬との夫婦共演となりましたが、結局は坂東に決まったのです。ですから、「爆弾」で山田と坂東の2人が共演している姿を見て、わたしはちょっとした感慨に浸りました。



山田裕貴坂東龍汰の他も、染谷将太渡部篤郎寛一郎、そして伊藤沙莉・・・・・・「爆弾」で警察関係者を演じた俳優陣はみんな良かったです。それぞれがすごく人間臭くて、エモーショナルでした。また、夏川結衣ブログ「沈黙の艦隊 北極海大海戦」で紹介した映画での女性大物政治家役とは打って変り、人生に疲れた中年女を見事に演じていました。政治家の貫禄も、未亡人の哀愁も、パーフェクトに出せるのですから、女優というのは大したものですね。あと、ブログ「男神」で紹介した日本映画に重要な役で出演していた加藤雅也が信じられないほど情けない役で出ていて驚きました。彼とは同い年なのですが、これまでのイメージを覆す最低の汚れ役です。よくオファーを受けたものです!



それにしてもリアリティも満点で、この映画で描かれたような犯罪は現実に起こりうるのではないかと心配になりました。そんなこんなで、映画「爆弾」は個性豊かな名優たちが、先の見えない不安に満ちた物語を彩ってくれる大満足のエンターテインメントでありました。文句なしの大傑作です。ブログ「国宝」で紹介した日本映画の名作のメガホンを取った李相日監督の大ファンだという佐藤二朗が「爆弾」の公開記念舞台挨拶で「化け物みたいに面白い作品は1本だけじゃない」と言っていましたが、激しく同意いたします!

 

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2025年10月31日  一条真也

儀式をアップデートし「文化の防人」に

一条真也です。
九州を代表する経済誌である「ふくおか経済」11月号が届きました。今年も、「THE FACE 2025」として、わたしが紹介されています。ブログ「『ふくおか経済』取材」で紹介したインタビュー取材の記事です。

「ふくおか経済」2025年11月号

 

記事は「儀式をアップデートし『文化の防人』に」のタイトルで、以下のように書かれています。
「26年に迎える創立60周年に向けて、セレモニーホール100施設体制の構築を推進する。会館を葬儀の場としてだけでなく、高齢者が集う『コミュニティホール』として活用することで、地域社会との接点を拡大し、互助共生社会の実現に向けて取り組んでいる。同時に伝統的な儀式を現代風にアレンジしたイベントのほか、映画出演や出版といった多様な手法で文化の継承を図っていく。8月には新しい供養の形を提案する『リメンバー・フェス』を打ち出した。お盆を義務ではなく『楽しむもの』と再定義し、音楽や踊りを取り入れたイベントとして企画。佐久間社長は『儀式は目に見えない存在と交信するテクノロジー。その面白さを伝えたい』とし、儀式を盆踊りやメキシコの『死者の日』のように死者と共に生きる文化として、グローバルに展開できるコンテンツにアップデート。将来、『国際リメンバー・フェス』として平和活動につなげる構想も描く。文化振興への思いは多彩な活動に昇華されており、映画『男神』に続き、次回作『仏師』への出演も決定。子ども向けに冠婚葬祭の意義を伝える児童書の出版も進めており、次世代への継承に力を注ぐ。サービス業の枠組みを超えた『文化の防人』として『精神文化産業』の確立へ、その挑戦は続く」



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2025年10月31日  一条真也

九国大WC講義 

一条真也です。
昨日、インフルエンザを予防接種を受けてから、どうも体調が万全ではありません。それでも、30日は九州国際大学九国大、KIU)の客員教授として出講しました。わたしは「教養特殊講義」を担当し、ずっと「孔子研究」と「ドラッカー研究」の講義を行ってきました。2022年は「SDGs」についての講義、2023年からはウェルビーイング&コンパッションの「WC」についての講義です。

九州国際大学のキャンパスを背に

講義前のようす

野村教授から紹介されました

大教室に出講しました

 

この日は130人以上の学生さんが受講。自分で言うのも何ですが、人気講義のようです。2年半ぶりに九国大に帰ってこられた現代ビジネス学部特任教授の野村政修先生(元副学長)の御挨拶と過分な御紹介の後、わたしは「九国大客員教授に就任してから11年になります。ずっと孔子ドラッカーのついての講義が中心でしたが、3年前からはSDGs、一昨年からはSDGsの次のコンセプト、さらには、わが社の取り組みについて話しています」と述べました。


講義がスタートしました


みなさん、こんにちは!

サンレーについて

サンレー」という社名の意味

 

まずは、わが社の事業内容や施設の紹介、それから「サンレー」という社名の意味から説明しました。その意味は「SUNRAY(太陽の光)」「産霊」「讃礼」と3つあります。その後、「事業の定義」に話題を移し、わが社が提供するものについて話しました。わが社の事業の柱といえば冠婚・葬祭・互助会ですが、その三本柱はそれぞれ「平和」「平等」「人の道」を提供していると述べました。さらには、「互助会」について、「冠婚葬祭業」について、それぞれ、その本質を説きました。

ど真剣に話しました

わが社が提供するものとは?

パワポを操作しながら講義しました

若人に伝われ、わが想い!

 

コロナ禍という想定外の大事件によって、社会は一変しました。これまでのように「ただ儲ければいい」「ただ売上と利益さえ追求すればよい」という商売の仕方では通用しません。これからの企業に求められるものは「M&A」ではないでしょうか。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A」は「使命」と「志」のことです。

M(ミッション)&A(アンビション)について

「志」の大切さについて

会社人として仕事をしていく上で「ミッション」が非常に大切です。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。志とは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値します。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々、「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」。この違いが重要なのです。


わが社の大志を述べました

「志」をどう具現化するか?

 

アンビションとは「大志」のことですが、わが社は「サンレーズ・アンビション」として、「天下布礼」を進めています。具体的には「社会貢献」「有縁社会再生」「老福社会実現」「グリーフケア」の4つのカテゴリーで数多くのプロジェクトを推進しています。最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となり、話題を集めています。ブログ「SDGs奨励賞を受賞!」でも紹介したように、地域社会でも認められています。

WC本を紹介


今回は、「WC」という新しい言葉を提案したいと思います。「WC」とは、トイレのことでも、ワールドカップでもありません。今後の社会および会社経営において重要なコンセプトとなる「ウェルビーイング(Well-being)」と「コンパッション(Compassion)」の頭文字からとったもので、「ウェルビーイング&コンパッション」を意味しています。わたしは、以前はウェルビーイングを超えるものがコンパッションであると考えていましたが、この2つは矛盾しないコンセプトであり、それどころか2つが合体してこそ、わたしたちが目指す互助共生社会が実現できることに気づきました。ウェルビーイングが陽なら、コンパッションは陰。そして、陰陽を合体させることを産霊(むすび)といいます。SDGsは、2030年までという期間限定です。それ以降のキーワードは「ウェルビーイング」だと言われています。意味は、「幸福な存在、相手を幸福にする存在」ということになります。SDGsの17の項目を包括する概念と言えます。

ウェルビーイング」について



ウェルビーイングの定義は、「健康とは、単に病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものです。しかし従来、身体的健康のみが一人歩きしてきました。ところが、文明が急速に進み、社会が複雑化するにつれて、現代人は、ストレスという大問題を抱え込みました。ストレスは精神のみならず、身体にも害を与え、社会的健康をも阻みます。健康は幸福と深く関わっており、人間は健康を得ることによって、幸福になれます。ウェルビーイングは、自らが幸福であり、かつ、他人を幸福にするという人間の理想が集約された思想とも言えます。

「コンパッション」について



一方、コンパッションは、単なる好意や気遣いの感情以上のことを意味しています。この用語の中心には、互恵性(reciprocity)と具体的行動(action)という考え方があり、それは「思いやり」であり、仏教の「慈悲」「利他」、儒教の「仁」、キリスト教の「隣人愛」にも通じます。コンパッション都市とは、老いや病、死、喪失などを受けとめ支え合うコミュニティのことを指しています。そして、コンパッション企業とは、お客様のこころに寄り添って「思いやり」を示し、さらには、老いや病、死、喪失などを受けとめ支える会社です。互助共生社会の実現のために具体的行動を続けるサンレーにとって、コンパッションはドンピシャリのキーワードです。

ありのままの自分を大切に、他人に優しく生きる!


 

ウェルビーイングとコンパッションを包括すると、「ありのままの自分を大切に、他人に優しく生きる」というメッセージが浮かび上がってきます。冒頭に申し上げた通り、ウェルビーイングだけでもコンパッションだけでも互助共生社会の実現は難しいと思います。これら2つの概念を合体させること、つまり産霊(むすび)を行うことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩となります。しかし、合体させて終わりでは「絵にかいた餅」でしかありません。産霊(むすび)を行い、実現できるカタチに落とし込んだもの、つまりウェルビーイングとコンパッションの息子であり娘に当たるものが「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」です。

サンレーズ・アンビション・プロジェクトを紹介



地球環境の問題は別にして、人類の普遍的な二大テーマは「平和」と「平等」です。その「平和」「平等」を実現するコンセプトが「ウェルビーイング」「コンパッション」ではないでしょうか? CSHWのハートフル・サイクルは、かつて孔子ブッダやイエスが求めた人類救済のための処方箋となる可能性があるのではないか? 「WC」つまり「ウェルビーイング&コンパッション」の産霊(むすび)を行い、「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」を実践・推進していくことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩です!

七五三晴れ着無償レンタルについて

成人式晴れ着無償レンタルについて

 

わが社の社会貢献活動社会活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。

わが社がこの世からなくしたいもの

グリーフケアとは?

 

わが社には無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するという志、グリーフケアによって世の人々の悲嘆を軽くするという志、そして冠婚葬祭という儀式で日本人を幸福にするという志があります。すなわち、「天下布礼」という大志です。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。サービス業からケア業への進化を目指すサンレーは「天下布礼」の大志を抱きながら、新しい時代を創造したいと述べました。最後に、拙著愛する人を亡くした人へ(現代書林)を原案とする映画君の忘れ方を紹介。主演が坂東龍汰くん、ヒロインが西野七瀬さんであると話すと、静かなどよめきが起こりました。

講義終了後は質疑応答


次々に質問をスマホに打ち込む学生たち


質問に真摯に答えました


真心で質問にお答えしました

 

講義終了後は、質疑応答です。一昨年までは挙手をして質問をするスタイルでした。でも、それだと学生さんが恥ずかしがって、なかなか質問してくれません。寂しい思いをしていたのですが、昨年からはすごい新兵器が登場しました。グーグル・フレームを使った「KIUポータル」がそれで、なんと学生個人のスマホから匿名で質問ができるのです。これによって次から次に質問が届いて驚きました。「先生がM&Aを目指したきっかけは何ですか?」「志を果たすのは、どうすればいいですか?」「社会貢献をする資金はどうやって作っていますか?」などです。わたしは、1つ1つの質問に対して真摯にお答えしました。

手裏剣のような質問攻勢に答える


最後の質問に答える

笑顔で質疑応答を終えました


最後は、盛大な拍手を受けました

 

最後の質問は「ピンクのネクタイはトレードマークなのですか?」でした。わたしは、「いや、わたしのトレードマークは紫です。わがシンボルカラーはパープルなのですが、今日は若いみなさんに会うので、張り切って明るい色のネクタイを着けてきました」と答えました。こうして、すべての質問に答え切り、質疑応答は終わりました。盛大な拍手に送られて、わたしは大教室を後にしたのでした。今日の講義を聴いた学生さんたちの中から、将来わが社に入社して、一緒に「天下布礼」を実践する仲間ができれば最高ですね! 


再会した野村正修特任教授と

 

 

2025年10月30日 一条真也

『「儀式」で職場が変わる』

「儀式」で職場が変わる――働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア

 

一条真也です。
『「儀式」で職場が変わる』クルシャット・オゼンチ+マーガレット・ヘイガン著、齋藤慎子訳(英知出版)を読みました。原題は“Rituals for Work”ですが、「働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア」というサブタイトルが付いています。著者のクルシャット・オゼンチは、トルコのカッパドキア出身。戦略デザインコンサルタント(SAP研究所)、スタンフォード大学dスクール講師。デザインが専門のイノベーションコンサルタントです。専門家や一般人のための各種ツールやサービスを考案しています。スタンフォード大学dスクールでは「儀式デザインラボ」を率い、学生やパートナー企業とともに、個人、チーム、人型ロボットの儀式の研究を行っています。マーガレット・ヘイガンは米国ペンシルバニア州ピッツバーグ出身。リーガルデザインラボ所長(スタンフォード大学ロースクール)、dスクール講師。法律およびデザインが専門。スタンフォード大学ロースクールの「リーガルデザインラボ」では所長を務め、アメリカの司法制度をもっと利用しやすくするための研究や啓発を行っています。

本書の帯

 

本書の帯には「スタンフォード大学の注目研究!」「日常に儀式を取り入れると、オフィスが創造と協働の場に変わる。」「Amazon 初期アイデアを『雑誌の表紙』風にして盛り上げ」「IDEO M&Aを『組織の結婚式』でお祝い!?」「Pinterest 社員の個性を輝かせる『特技フェス』」「Dropbox 新入社員1000人に『手づくりケーキ』プレゼント」「世界のトップ企業も独自の儀式を実践!?」と書かれています。


本書の帯の裏

 

また帯の裏には「目的別 5タイプ×10儀式のアイデアを紹介!」「クリエイティビティやイノベーションを引き出す儀式」「パフォーマンスの向上やフローにつながる儀式」「対立の解消やレジリエンスの向上につながる儀式」「コミュニティやチームづくりにつながる儀式」「組織の変革期や転換期に適応を促す儀式」と書かれています。


アマゾンより

 

本書のカバー前そでには、「目的に適った儀式をおこえなえば、企業のベースにある価値観や信念など、目に見え相互に作用しあう、現実世界の行為に落とし込めるのです。(「はじめに」より)」と書かれています。アマゾンの内容紹介には、「より良い職場文化(ワークカルチャー)を創造するための儀式を個人・チーム・組織、シチュエーション別に提案。働き方の多様化・個別化がますます進むなかで、職場での場作りやコミュニティ形成のヒントが詰まった一冊!」とあります。

 

本書の「目次」は、以下の通りです。
儀式の目的一覧
50の儀式索
協力者プロフィール
はじめに
本書の目的
なぜ儀式を仕事に取り入れるのか
儀式の意味
こんな人に儀式を活用してもらいたい
第1部 儀式の力
第1章 儀式でよりよい働き方をデザインする
儀式の力
儀式の原理
職場が変わる儀式5タイプ
第2章 日々の業務、チーム、
    組織に儀式をどうとりいれるか

第2部 職場が変わる50の儀式
第3章 クリエイティビティや
    イノベーションを引き出す儀式

第4章 パフォーマンスの向上やフローにつながる儀式
第5章 対立の解消やレジリエンスの向上につながる儀式
第6章 コミュニティやチームづくりにつながる儀式
第7章 組織の変革期や転換期に適応を促す儀式
転換期の儀式の効果
第3部 儀式を自分たちでデザインする
第8章 儀式デザインの7ステップ

アマゾンより

 

「本書の目的」の冒頭は、「本書は、日々の仕事(ワークライフ)に新しいエネルギーをもたらし、コミュニティを育むのに役立つ『儀式』を紹介するものです。とりわけ、ボトムアップで働き方を変えることに焦点を当てています。トップダウンで一丸となって取り組むというよりも、『儀式』の力を借りることで、小規模参加型で、充実感や生産性を高め、つながりを強くしようというわけです。ほかにも、チームのよりよいコミュニケーションを促す『儀式』や、組織の変革や問題に向きあう助けになる『儀式』も取り上げています」と書きだされています。



著者たちはここ数年、スタンフォード大学dスクールで「儀式デザイン」の講義を受け持ち、企業や公共部門と協力して、仕事におけるエンゲージメントの低下に関連する問題への対応策を突き止めようとしてきました。「儀式」の事例を集めるようになったのも、学生に参考にしてもらい、職場が変わる「儀式」を新たに考えてもらうためだといいます。本書ではこうして集めたさまざまな「儀式」の事例を紹介していくとして、「有名企業が全社をあげて取り組んでいる、企業文化やコミュニティを育む『儀式』もあれば、デザインのワークショップやデザインスプリント〔高速にプロトタイピングと検証をおこなう、アイデア検証のフレームワーク〕で生まれた、実験段階の『儀式』もあります」と述べます。



「なぜ儀式を仕事に取り入れるのか」では、わたしたちは人生のかなりの部分を仕事に費やしていることが指摘されます。それは大企業、小規模のスタートアップ、個人プロジェクト、どれでも同じことだといいます。では、仕事の人間関係、クリエイティビティの発揮、目的意識、人生の転換期、組織の浮き沈みといった観点で、仕事に費やしている時間を充実させることにどれだけ力を注いでいるかと問いかけ、「儀式は、日々の仕事(ワークライフ)の質を高める効果的な戦略になりえます。そして、日頃からおこなうことで、目指している姿に近づきやすくなります。チームの結束が強まる、対立を乗り越える、パフォーマンスを向上させる、変化に対応する、といったことにつながるのです」と述べます。

 

いま、企業も個人も、さまざまな難しい課題に直面しています。従業員のエンゲージメントの低さ、大きなストレスや不安、人間性に欠ける仕事環境、それに、うまくいかない組織再編。こうした問題を解決するには、多面的な戦略を用い、価値観主導の、クリエイティブな、かつ血の通った環境づくりをしなければならないとして、「儀式は、そうした戦略のひとつであり、リーダーも個人も、難題に取り組むために活用できるものなのです」と述べるのでした。



「儀式って、いったい何なんですか?」という質問には、本書は「儀式とは(ひとつの定義)」であるとして、「個人または集団が、毎回同じような形式や台本にしたがって繰り返しおこなう行為であり、象徴的な意味や意図が込められている」と答えています。「儀式の意味」では、「わたしたちが『儀式』ということばを使っているのは、意味深い時間を生み出す特別な力がある行為を、なんとかうまく表現したいからです。儀式には、そうした行為をふだんの体験とは異なるものにする独特な要素があるのです」と述べます。

 

儀式は、特定の状況で、毎回同じような形式や台本にしたがって行われる行為です。なんらかの台本があり、決められた手順に沿って繰り返される場合がほとんどです。意図を持って、意識的に行う点が、無意識に行うルーチンとは異なります。儀式は、なにか特別なことが起きていて、そこにみんなが波長をあわせていることを自覚しながら行われると指摘し、本書には「儀式には体の動きが伴います。その動きには規則的なリズムがあり、それが、なにか特別なことが起きているという感覚につながるのです」と述べられます。



また、儀式にはシンボルとなるものがあります。ちょっとしたモノだったり、ことばや行動だったりするかもしれません。それによって、もっと大きな何か、より重要な価値などを象徴しているのです。こうしたシンボルが、いつもとは違う感覚を呼び起こし、ふだんの体験を特別なものに変えます。優れた儀式にはストーリーがあります。ストーリーのおかげで、いま起きていることの意味を理解し、その意味するところをより大きな視点で考え、対処できるようになるのです。本書には、「儀式には、えも言われぬ不思議な要素があります。それが、ごく普通の時間を、心に残る、熱気あるものに高めるのです。部外者が見ると、儀式はくだらない、無意味なものかもしれません。儀式は、理屈で説明できるものばかりではないからです」と書かれています。

 

「儀式にもさまざまなレベルがある」として、本書は「 儀式はおごそかなもの、崇高なもの、とはかぎりません。規模(盛大さ)もおこなわれる頻度もさまざまです。手短かつ頻繁におこなう儀式もあります。開発チームが毎日おこなう立ち会議などもそうです。こうしたちょっとした儀式にも、共通の目的(シェアド・パーパス)やコミュニティに属しているという感覚を育む利点がやはりあるのです」と述べます。



盛大かつ、たまにしか行われない儀式もあります。たとえば大学などの卒業式は、周到に準備された台本、格式ばった所作など、一生にそう何度もない儀式です。こうした儀式もまた、意味やつながりといった、より大きなものを伝えています。それなりの変化を起こそうとするのに、儀式なんて「生ぬるい」戦略だ、と思われるかもしれませんが、本書は「たしかに、まったくのビジネス論理で機能するものではありません。でも、儀式には、組織のアイデンティティや目標や信条といった抽象的なものを具現化する性質があります。共通の目的(シェアド・パーパス)、仕事の意義、コミュニティの結束といった、目には見えないさまざまな利点をもたらしてくれるのです」と述べるのでした。

 

「こんな人に儀式を活用してもらいたい」では、儀式の目的は意味を生み出すことにあるとして、「日々の仕事(ワークライフ)、仕事のチーム、プロダクトを、どのようにしてさらに意味あるものにしていくのか。儀式は、組織全体でも、チーム単位でも、個人レベルでも、よりよい職場文化(ワークカルチャー)を意図的に創造する手助けになります。この本は、そうした文化の創造をいろいろ試してみたい、と考えている人を対象としています」と書かれています。



組織文化は、観念的なものです。マニフェスト、信条、規約として文章化されている場合もあるでしょう。こうした難解で抽象的な概念を日々の習慣に落とし込むのが、儀式です。だからこそ、動作や、特定の行為を伴うとして、本書は「目的に適った儀式をおこなえば、企業のベースにある価値観や信念など、目に見えない大切なもの一切を、目に見え相互に作用しあう、現実世界の行為に落とし込めるのです」と述べるのでした。

 

第1部「儀式の力」の第1章「儀式でよりよい働き方をデザインする」の「儀式の力」では、著者たちが儀式に関心を持つようになったのは、デザインの専門家として仕事をする中で、新たな製品や取り組みを「儀式」というフレームで考えるようにすると、非常にうまくいくケースがあったからであると明かしています。糖尿病患者に食事制限を厳守してもらう、交通違反切符への不服申し立てを支援する、新米マネジャーにチームをうまく管理させる、といったことも一例です。儀式というフレームのおかげで、新製品の魅力が伝わりやすくなり、より興味を持ってもらえた例もあるそうです。

 

それ自体を「儀式」とは呼ばなくても、儀式というフレームを用いたものを考案すると、活用してみたいと思ってもらいやすいといいます。しかも継続して使ってもらいやすいことがわかりました。儀式は、従うべき道筋をはっきりと設定し、意義やつながりの感覚を呼び起こします。そこが人々を巻き込んだのです。儀式には、人々を結束させ、自分たちを取り巻く世界を理解させる特別な力があると指摘し、本書は「仕事における個人の成長や組織変化の一手段として儀式を試してみたところ、ごく短期間で、費用もあまりかけることなく、コミュニティに明るく活力のある感覚がもたらされることがわかりました」と述べます。



儀式の機能や力については、人類学、心理学、神経科学、組織行動学などの分野でさまざまな研究がなされています。「儀式は秩序や意義をもたらす」では、儀式の基礎的研究が知られるようになったのは、社会学エミール・デュルケームの研究がきっかけだったということが紹介されます。宗教を研究していたデュルケームは、儀式が信仰のしくみの根幹であることに気づきました。儀式のおかげで、信仰を具体的なものとして理解できるというのです。人は儀式につきものの作法や所作を自然に行います。こうしたものが、秩序や意義ある感覚をもたらすのです。

 

 

エミール・デュルケムは、 ブログ『宗教生活の原初形態』で紹介した名著の中で「さまざまな時限を区分して、初めて時間なるものを考察してみることができる」と述べています。これにならい、「儀式を行うことによって、人間は初めて人生を認識できる」と言えないでしょうか。儀式とは世界における時間の初期設定であり、時間を区切ることです。それは時間を肯定することであり、ひいては人生を肯定することなのです。さまざまな儀式がなければ、人間は時間も人生も認識することはできません。わたしは、デュルケームの考えにヒントを得て、「 儀式なくして人生なし」という言葉を思いつきました。



本書では、実証的な研究結果も紹介されています。心理学では、儀式の力は、身体と精神や感情を結びつけられるところに由来しているとされています。このすべてをシンクロさせることで、さまざまなものの「バランスを整える」です。最近の研究論文によると、実際に体を動かして儀式を行うことで、充実感やコントロール感が得られることがわかっています。儀式の一連の動作によって感情が整い、落ち着いた状態を保てるというのです。また、安定的にかつ集中して行動しやすくなるため、パフォーマンスも好調に保たれます。さらには、自分が他人と繋がっているという確信が得られ、一体感も生まれます。



「儀式は不安を軽減し、パフォーマンスの向上につながる」では、アリソン・ウッド・ブルックスの研究が紹介されます。この研究によって、儀式が人前でパフォーマンス(歌唱コンテスト)する前の不安を軽減させ、パフォーマンスの向上につながることがわかったそうです。この研究で行われた儀式は、いまの気持ちを絵に描いてもらい、その絵に塩をふりかけ、声に出して5つ数えてから丸めてゴミ箱に捨てる、というものでした。



この儀式の効果は、参加者にどんな気持ちかを尋ね、心拍数を測ることで測定されました。その結果、任意の行動をとった対照グループや、儀式を行わなかった対照グループと比べて、儀式を行ったグループの方が不安が軽減されていたことがわかったのです。つまり、緊張を伴うタスクの前に儀式を行うことで、気持ちが落ち着き、パフォーマンスの向上につながることを、この研究は示しているわけです。



「儀式は不幸を乗り越える手助けになる」では、グリーフケアに関する研究が紹介されます。フランチェスカジーノとマイケル・ノートンは、大切な人を亡くした人を対象に、追悼儀式の効果を調べました。その結果、儀式は悲しみを軽減させ、不安や孤独のなかでもなんとか気持ちを落ち着かせることがわかっています。「儀式はやる気と結束を強化し、パフォーマンスの質を上げる」では、ノートンの研究チームが集団で行う儀式の効果を調べるため、あるゲームを考えたことが紹介されます。



そのゲームとは、大学構内の特定の数カ所で自撮りをしてきてもらうというものです。ひとつのグループには、両手両足で拍子をとる儀式をみんなで行ってから出発してもらいます。対照グループには一切指示なしです。その後、自撮りした写真点数を数えます。勝敗を分けたのは集合セルフィ―の点数でした。儀式を行ったグループは、行わなかったグループより集合セルフィ―をたくさん撮っていただけでなく、結束力も強かったそうです。

 

「儀式はクリエイティビティを高める」では、同研究チームによる他の実験も紹介されています。個人の儀式と集団の儀式では、どちらがクリエイティビティに及ぼす効果が大きいか、について調べるものです。まず、参加グループに、あるモノの使い道のアイデアをなるべくたくさん出す、といったクリエイティブなタスクを課します。次に、サイコロを振って出た目に応じた型で腕を回し動かす儀式を行ってもらいます。ひとりで行う人もいれば、集団で行う人たちもいます。結果は、集団で行った人たちのほうが、クリエイティビティも結束力も高まるというものでした。

 

儀式論

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「儀式の原理」では、4つの原理が紹介されています。
その1「儀式にはえも言われぬ不思議な要素がある」、その2「儀式は意図を持っておこなわれる。参加する人も、この特別なひとときに調和している」、その3「儀式は象徴的な価値を伝える。実用的なことだけでなく、パーパスの共有にもつながる」、その4「儀式はだんだん進化していく。おこなう人々や状況に、より適うものになっていく」というものです。


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「職場が変わる儀式5タイプ」では、「儀式は仕事におけるさまざまな目的に適うが、組織において特に重要な効果を5タイプに分けた」として、「変革期や転換期:新たな環境や大きな変化に適応する」、「クリエイティビティやイノベーション:よりよいアイデアや変化へのビジョンを刺激する」、「コミュニティ:結束し、つながりと実感する」、「対立やレジリエンス:問題や緊張状態に対処する」、「パフォーマンスやフロー:集中力、自信、生産性を高める」の5タイプを示しています。


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第2部「職場が変わる50の儀式」では、具体的な儀式が示されていますが、その中でわたしが面白いと思ったものを2つ紹介します。1つめは、「クリエイティビティやイノベーションを引き出す10の儀式」の中の「お陀仏プロジェクトのお通夜」です。内容は、チャレンジしたうえでの失敗をたたえる儀式です。本書には、「これからもリスクをとることを促し、気持ちの整理をしてもらう。音楽と飲食物を用意し、チーム全員に集まってもらう。リーダーたちがその失敗に簡単に触れ、チームメンバーにねぎらいのことばをかけたうえで、失敗を恐れるなと伝えるのもいいだろう。つまり、チャレンジすることを促すわけだ」と書かれています。

 

この儀式はある製薬会社で行われているもので、かなりの確率で失敗するのが当たり前の環境下で、社員のエンゲージメントやモチベーションの維持を図っています。設定はお通夜と同じで、飲食物、音楽が用意され、仲間たちが集まります。メンバーにとっては、失敗を振り返る場、リーダーたちにとっては、組織の基本的な価値観を改めて確認する場になります。この儀式を行うのは、プロジェクトが大きくポシャったとき。コードを変更したためにウェブサイトを1からつくり直すはめになる、会社をあげての実験的な試みが期待した成果をあげられず中止せざるを得ない、など。軌道修正できる場合もあれば、長年の努力が水の泡となる場合もあるでしょう。



もう1つは、「組織の変革期や転換期に適応を促す10の儀式」の中の「組織の結婚式」です。内容は、組織の合併(または買収)を正式に祝う儀式です。形式的文面のメールで通知するような「よくある」転換期とするのではなく、もっとクリエイティブな共同イベントで特別な機会を演出するものです。そのために結婚式のさまざまなディテールを活用します。この儀式は、デザインコンサルティングファームのIDEOが、他のグループと正式に統合するときに考案しました。会社のキッチンにチャペルを設営し、花を飾り、特大の結婚証明書も用意した。両社の代表が並んで通路を歩いてきて、結婚証明書に署名したあと、ウエディングケーキを互いの口に突っ込み合ったといいます。

 

両社は、統合が決まって24時間経たないうちに、このイベントをデザインするために集まりました。目的は、今回の買収を、人中心のすばらしいものに感じてもらうことです。「買収」や「合併」ではいかにもビジネスライクで、人のぬくもりが感じられません。そこで、この儀式は、一家族としての新たな門出のように感じてもらうことを目指したのです。この儀式は、IDEOのシカゴ支社が、あるデータサイエンス企業を統合するときに考案されたものだそうです。応用するときは、自分たちの価値観はもちろん、合併・買収に伴う心配の種にあわせて、式、誓いの言葉、演出小道具、結婚証明書を用意します。つまり、この転換期にどのような不安を抱えているかを、それぞれがよく考えるわけだ。本書には、「いずれも組織のライフサイクルの不安定な時期にある。これからかなりの変化があり、アイデンティティ喪失もありうるのだから」と書かれています。

 

また、この儀式では、人々がこれから抱くことになるさまざまな感情をいかに誘導し、この関係性を双方が望むよりよい未来へ向けていくか、に重点を置くべきだとして、「それぞれが誓いのことばを書いてみることで、よりよい未来像を明確にし、心配な点も認めて、対応できるようにする。双方の文化的慣行(定番の食べ物、音楽、シンボル、内輪ネタなど)を式そのものに織り込むこともできる。この結婚式を橋渡しとし、互いの組織文化に触れあい、この転換期でアイデンティティがすっかり失われるわけではない、と再確認するのだ」と述べられています。

 

第5章「対立の解消やレジリエンスの向上につながる儀式」の冒頭には、「意見の対立は、失敗同様、日々の仕事(ワークライフ)につきものです。双方が感情的になってしまい、関係性が壊れてしまう場合もあります。儀式は、対立を乗り越えたり、怒りやフラストレーションにうまく対処したり、より建設的な関係に向けて前進したりするための戦略になりえます。うまく機能すれば、もっと率直かつ明快なコミュニケーションも、失敗に対処する個人のレジリエンスも、育むことができます。儀式によって、自己認識や内省、マインドフルネスを促すことで、仕事上のネガティブなことにも対応できるようになるのです」と書かれています。

 

第6章「コミュニティチームづくりにつながる儀式」の「どんな儀式をおこなっているかで、どんな人間かがわかる」として、儀式の中でも重要かつ長い歴史のあるものは、すべて遊びにもとづいていることが指摘。飲食をともにし、音楽を奏で、同じ動作でシンクロし、強い感情に揺さぶられる体験を共有することで、人々が結びつくのです。本書には、「人間は、儀式という前向きな時間を過ごす場をつくり出す生き物です。笑い、創造し、分かちあいます。現在も世界中の文化でおこなわれていますし、都市の成立や農耕・牧畜文化以前からおこなわれていました」と書かれています。



霊長類学博士、進化および行動科学者であるイサベル・ベーンケは、こうした儀式を「社会的技術」と呼んでいます。技術と呼ぶのは、ある機能を定期的に提供する手段だからです。儀式には、コミュニティの結束を強め、クリエイティビティを高める機能があります。こうした儀式が、さまざまな文化やコミュニティをはるか昔に生み出すことにつながりました。しかも、試行錯誤を重ねた社会的技術だからこそ、こうした儀式は、さまざまな文化やコミュニティを、はるか未来にいたるまで築き続けていくものになるはずです。儀式を行うのは人間である証しです。イサベルは「どんな儀式を行っているかで、どんな人間かがわかる」とも言っています。



これはコミュニティや組織にも言えることです。ある集団が行っている儀式を人類学的観点で調べると、その集団の暗黙のルールについてかなりのことがわかります。その逆も言えます。儀式を改めたり新たに始めたりすることで、暗黙のルールを変えることも可能なのです。たとえば、地域住民、あるいは同じ学科の学生同士の結束度合いは、集まって食べたり飲んだり音楽を聴いたりする場を自発的につくっているかどうかでわかります。逆に、まとまりに多少欠けている集団でも、飲食や音楽を一緒に楽しむ場を定期的に持つようにすれば、結束が深まり、よりまとまりのある集団になっていくといいます。



第7章「組織の変革期や転換期に適応を促す儀式」の冒頭には、「人生と同じで、個人、チーム、組織にもライフサイクルがあります。職場で言えば、就職、離退職、合併、分割、昇進、降格、引退などがあるでしょう。こうした転換期において、儀式は、変化への適応を促してくれる有効な手段となります。儀式をおこなうことが、状況を正しく把握してコントロール感を取り戻す、新たな役割や業務に早く慣れる、変化のときにも安定性を維持することにつながるのです」と書かれています。先程紹介した「組織の結婚式」もこのジャンルの儀式です。



「転換期の儀式の効果」では、「異動期の精神的サポートになる」として、「入社や昇進で新しいメンバーが入ってくると、当人にも配属先にもさまざまな機会がもたらされます。あたたかい歓迎の儀式をおこなうことで、当人も任務に邁進しやすくなり、新たな環境や業務により早く慣れることにつながります。歓迎の儀式は、組織の価値観をはっきりと示す場にもなるため、新メンバーにきちんと理解してもらいやすくなります。まもなく退職する人がいれば、儀式が感情の整理に役立ちます。それが解雇であれ、自己都合であれ、転換期の儀式でひとりの人間の人生における一大局面に終止符を打つことができます。儀式は、単に区切りをつけるのではなく、不安定になりそうなこの転換期を、退職する当人もチームもよりスムーズに乗り切る一助となります」とあります。



わが社は冠婚葬祭を本業としていることもあり、「礼の社」というものを目指しています。「礼(禮)」という字は、「示」と「豊」とから成っています。「示」は「神」という意味で、「豊」は「酒を入れた器」という意味があるそうです。つまり、酒器を神に供える宗教的な儀式を意味します。古代には、神のような神秘力のあるものに対する禁忌の観念があったので、きちんと定まった手続きや儀礼が必要とされました。これが、「礼」の起源であると言われています。ところが、もう1つ、「礼」には意味があります。「示」は「心」であり、「豊」はそのままで「ゆたか」だというのです。ということは、「礼」とは「心ゆたか」であり、「ハートフル」ということになります。わが造語「ハートフル」は流行しましたが、なんと「礼」という意味だったのです! ということで、「セレモニー・カンパニー・イズ・ハートフル・カンパニー!」なのです。



わが社の伝統になっている「一同礼」「S2M宣言唱和」「和のこえ」「末広がりの五本締め」・・・・・・その他にも、わが社にはオリジナルの儀式がたくさんあります。でも、本書『「儀式」で職場が変わる』には、わたしが思いもしなかったユニークな儀式がたくさん紹介されていました。もちろん、この本はアメリカの企業向けの本なので、そのまま日本の企業に導入するのは難しいものも多いでしょう。でも、儀式によって職場が変わり、生産性が向上して、業績がアップするというのは事実です。なぜなら、儀式ほどそこにいる人々の「こころ」を1つにし、チームを強化させるものはないからです。最後に、わたしも儀式マネジメントの本を書いてみたいと思いました。

 

 

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2025年10月30日  一条真也

鎌田東二の宿題

一条真也です。
わが魂の義兄弟である鎌田東二先生がお亡くなりになられて4ヵ月以上が経ちましたが、今朝の「読売新聞」に鎌田先生が生前から取り組んでいたプロジェクトが紹介されました。

「読売新聞」2025年10月29日号

 

記事は「能登○○大学 将来像話し合う場として始動」の大見出し、「『様々な人の縁結ぶことが大事』」「宗教哲学者 京都大名誉教授 故・鎌田東二さんの 被災地への思い継承」の見出しで、以下のように書かれています。
能登半島地震で被災した石川県能登地方の将来像を話し合う場として、「能登○○大学」が今月、発足した。今年5月に74歳で死去した宗教哲学者で、京都大名誉教授の鎌田東二さんの思いを受け継ぐ場だ。能登にゆかりのある専門家や住民が対話し、人口減少や災害に強い街づくりなどの課題に向きあう。(文化部 多可政史)
鎌田さんは神道民俗学等を横断的に研究。京都大こころの未来研究センター教授などを務める傍ら、東日本大震災の被災地などで心のケアにあたってきた宗教者らの全国組織「日本臨床宗教師会」の会長も務めた。
昨年元旦の能登半島地震後には、復興支援とともに能登の課題を国内外に発信する「能登学プロジェクト」を提唱。死去する1か月前の今年4月には、縄文時代の巨大集落跡・真脇遺跡(能都町)や「能登国一宮」の気多大社(羽昨市)などを車いすで訪れた。
同行した京都大の小西賢吾・特定准教授(文化人類学)は『鎌田先生は被災地支援において様々な人の縁を結ぶことが大事だと説明されていた。過去の復興支援の経験を能登に生かしたいという思いも強かった』と話す。
鎌田さんは『東京自由大学』『京都面白大学』など既存の組織の枠を超えた学びの場を作ったことでも知られる。能登にも鎌田さんの教えを受け継ぐ『大学』を作ろうと、今月11日には穴水町真言宗寺院・千手院で初ミーティングが行われた。宗教学や法哲学などの専門家や住民ら約30人が参加し、被災者の心のケアや神社の再建、交流人口の拡大など、復興に向けた課題について意見を出し合った」



わたしは、この記事を読んで「ああ、鎌田先生らしいなあ」と思いました。「東京自由大学」「京都面白大学」そして「能登〇〇大学」・・・・・・鎌田先生の志は今も生き続け、その宿題は後進たちによって受け継がれています。本当にスケールの大きな人でした。そして、人と人との「縁」を結び続けた「縁の行者」でした。このような方と「魂の義兄弟」という最高最大の縁を結ぶことができたわたしは、つくづく幸せ者です。鎌田先生は、ブログ「かまたまつり」で紹介した鎌田東二百日祭で葬儀委員長を務めるという大きな宿題を残していって下さいましたが、それは何とかやり遂げることができました。しかし、鎌田先生の遺した「明るい世直し」の宿題は他にもたくさんあります。それらの詳しい内容は満月交命 ムーンサルトレター(現代書林)の中に書かれています。興味のある方は、ぜひ御一読下さい!

満月交命 ムーンサルトレター』(現代書林)

 

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2025年10月29日  一条真也