大分祝賀式典

一条真也です。
11日の朝、小倉駅に向かいました。異様に早く着いたので、ホーム待合室で時間を潰しました。反対側のホームに「呪術廻戦」の電車を発見しました。その後、9時17分発のソニック7号に乗って中津へ向かいました。サンレー大分の新年祝賀式典に参加するためです。

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JR小倉駅のホーム待合室で

f:id:shins2m:20220111141650j:plain「呪術廻戦」の電車を発見!

 

ソニック7号の車中では、大分事業部の業績資料などをチェックしました。コロナ禍にもかかわらず、昨年の大分は素晴らしい業績でした。これは、しっかりとグッドコメントを言わなければなりません。途中、行橋駅を通過しました。ブログ「町田そのこ氏に会いました」で紹介したように本屋大賞&一条賞大賞作家がこの近くに住んでおられます。「町田さんは、今この瞬間も原稿を書いておられるのかな?」と考えました。そのうち、JR中津駅に到着。

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車内のようす

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JR中津駅の前で

f:id:shins2m:20220111095940j:plainヴィラルーチェの看板の下で

f:id:shins2m:20220111100217j:plainヴィラルーチェの前で

 

現地に行くと、多くの社員から「あけまして、おめでとうございます。ご長女様のご婚約、次女様のご内定、誠におめでとうございます!」と言われ、驚きました。北陸や沖縄と同じく、大分にも「礼」の精神が生きていることを知りました。10時20分から、わが社の結婚式場「ヴィラルーチェ」において、サンレー大分の新年祝賀式典が万全のコロナ対応スタイルで行われました。

f:id:shins2m:20220111102453j:plain入場のようす

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拍手の中を前方へ

f:id:shins2m:20220111102529j:plain勇壮なふれ太鼓

f:id:shins2m:20220111102603j:plain最初は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20220111102714j:plain社歌を小声で斉唱♪ 

f:id:shins2m:20220111103109j:plainS2M宣言」を小声で唱和

 

司会は管理部の清水さんが務めました。まず、中津紫雲閣の福富支配人による「ふれ太鼓」で幕を明け、「開会の辞」に続いて全員で社歌をマスク越しに小声で斉唱し、それから別府営業所の澤谷ブロック長によって「経営理念」および「S2M宣言」が読み上げられ、全員でマスク越しに小声で唱和しました。

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マスク姿で登壇しました

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オレンジの館にはオレンジマスクで!

 

登壇したわたしは、みなさんと「あけまして、おめでとうございます」「今年もよろしくお願いいたします」と新年の挨拶をしてから、「令和4年、2022年の新しい年をみなさんと一緒に迎えることができ、たいへん嬉しく思います」と述べました。それから、「このオレンジ色のマスクをしていたら、小倉駅中津駅でみんなから二度見されました。わたしは目立つことが苦手なので、本当はこんな派手な格好をしたくないのですが、「ヴィラルーチェ」のイメージカラーがオレンジなので、『オレンジの館にはオレンジマスクで!』と、このコーディネートにしました」と言い、「ヴィラルーチェ」のオレンジ色のコースターを掲げました。

f:id:shins2m:20220111103425j:plainマスクを外しました

f:id:shins2m:20220111103546j:plain社長訓示のようす

それから、オレンジの不織布マスクを外して、以下のような話をしました。2022年の新しい年をみなさんと一緒に迎えることができ、たいへん嬉しく思います。新型コロナウィルスの感染拡大は冠婚葬祭業界にとってはまさに業難でした。この試練の2年を耐え抜き、闘い抜き、わが社はなんとか昨年も黒字で終えられました本当に、ありがたいことです。みなさんのおかげです。心より感謝を申し上げます。どうか、この前代未聞の2年間を生き抜いたことに誇りを持って下さい。そして、近い将来に必ず業績を元に戻しましょう!

f:id:shins2m:20220111103746j:plainサービス業からケア業へ

 

サンレーは、サービス業からケア業への進化を図っています。そこでは縦の関係(上下関係)である「サービス」から横の関係(対等な関係)である「ケア」の本質と違いを理解することが重要になります。学生のアルバイトに代表されるようにサービス業はカネのためにできますが、医療や介護に代表されるようにケア業はカネのためにはできません。特に、無縁社会に加えてコロナ禍の中にある日本において、あらゆる人々の間に悲嘆が広まりつつあり、それに対応するグリーフケアの普及は喫緊の課題です。

f:id:shins2m:20220111103717j:plainわが社の社会貢献事業について

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熱心に聴く人びと

 

最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となっており、話題を集めているのです。まず、わが社では今年から児童養護施設に入居している新成人に晴れ着などを提供し、記念の写真を撮影する取り組みを始めました。昨年12月4日、北九州市児童養護施設で暮らす新成人2人が 松柏園ホテルを訪れて晴れ着を選びました。今年1月9日に行われる北九州市の成人式式典には、この晴れ着で出席する予定です。また、わが社は同様に経済的理由から七五三の晴れ着撮影ができない北九州市内の6児童養護施設の児童に対しても、今年から晴れ着の提供を呼びかけ、計28人の児童が七五三の晴れ着姿を撮影しました。きっと、児童たちによって良い思い出になったことでしょう。

f:id:shins2m:20220111103808j:plain互助会はソーシャル・ビジネスである!

 

さらに、12月7日、わが社が指定管理者を務める天然温泉「ふるさと交流館 日王の湯」(田川郡福智町神崎)で「子ども食堂」を開催し、小中学生を無料招待しました。これらの活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャル・ビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャル・ビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。

f:id:shins2m:20220111103850j:plainすべての人に儀式を提供したい!

 

晴れ着の無料レンタルは、儀式というわが社の本業というべきものの意味と価値を世に広く問うものです。七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼です。成人式はさらに「あなたは社会人になった」というメッセージを伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ感謝をする場です。長寿祝いも含めて、すべての通過儀礼は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの存在と成長をこの世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーです。万物に光を降り注ぐ太陽のように、サンレーはすべての人に儀式を提供する志を抱いています。

f:id:shins2m:20220111104042j:plain冠婚葬祭こそSDGsだ!!

 

わが社の一連の活動は、SDGsにも通じています。SDGsとは「持続可能な開発目標」という意味ですが、要するに社会を持続させるために必要なことを実行するということ。そして、冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものであると考えます。結婚式は、夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える儀式です。一方で葬儀は、儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死などの負の連鎖を防ぐ儀式です。冠婚業も葬祭業も単なるサービス業ではありません。社会を安定させ、人類を存続させる文化装置です。

f:id:shins2m:20220111103909j:plain相互扶助について

f:id:shins2m:20220111135900j:plain熱心に聴く人びと

 

そして、互助会の根本理念である「相互扶助」は、社会の持続性により深く関わります。貧困ゆえに入浴の習慣を知らない小学生がいるという。また、一日に一回しか食事ができない子どもがいるという。その事実を知り、「なんとかしなければ!」と強く思いました。SDGsは環境問題だけではありません。人権問題・貧困問題・児童虐待・・・・・・すべての問題は根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけです。その意味で入浴ができない、あるいは満足な食事ができないようなお子さんに対して、見て見ぬふりはできません。「相互扶助」をコンセプトとする互助会こそはソーシャル・ビジネスであるべきです。

f:id:shins2m:20220111104601j:plain「使命」と「志」が大切だ!

 

コロナ禍という想定外の大事件によって、社会は一変しました。これまでのように「ただ儲ければいい」「ただ売上と利益さえ追求すればよい」という商売の仕方では通用しません。これからの企業に求められるものは「M&A」ではないでしょうか。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A」は「使命」と「志」のことです。

f:id:shins2m:20220111104233j:plain「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」

 

会社人として仕事をしていく上で「ミッション」が非常に大切です。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。志とは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値します。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々、「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」、この違いが重要なのです。

f:id:shins2m:20220111133230j:plain道歌を披露しました

 

わが社には無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するという志、グリーフケアによって世の人々の悲嘆を軽くするという志、そして冠婚葬祭という儀式で日本人を幸福にするという志があります。すなわち、「 天下布礼」という大志です。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。サービス業からケア業へと進化するサンレーは「天下布礼」の大志を抱きながら、新しい時代を創造していきましょう!」と言ってから、「世の中を続けるための助け合い 礼の社の出番が来たり」という道歌を披露しました。

f:id:shins2m:20220111110428j:plain年間情報売上表彰のようす

f:id:shins2m:20220111110532j:plain表彰者との記念撮影

社長訓示の次は、各種表彰を行いました。まずは、「年間情報売上優秀者」です。中津テレホン営業所の塩田智美さんと豊前営業所の岡﨑美由紀さんを表彰しました。それから、グリーフケア士17名の表彰です。代表として、日田紫雲閣の多田幸悦副支配人を表彰しました。次に、終活コーディネーター 表彰10名の表彰です。代表として、日田営業所の西河勇介所長を表彰しました。

f:id:shins2m:20220111111244j:plain各種表彰のようす

f:id:shins2m:20220111111308j:plain表彰者との記念撮影

 

次に、お客様対応専門員表彰として、営業推進部情報センターの友松直美所長を表彰しました。そして、「サンレーおもてなし賞」の表彰です。中津紫雲閣の安藤辰也さん、ヴィラルーチェの神田愛華さんを表彰しました。

f:id:shins2m:20220111133200j:plain随行者紹介のようす

f:id:shins2m:20220111111624j:plain挨拶する随行

 

それから、随行者紹介の時間です。北九州本部営業推進部北九州西エリアの大内田勝也課長、北九州本部企画開発部企画課の福市翔吾さんが登壇し、緊張しながらもユーモアのある挨拶を行いました。

f:id:shins2m:20220111111756j:plain決意表明のようす

f:id:shins2m:20220111112112j:plain本部長の決意表明を聴く

f:id:shins2m:20220111112233j:plain本部長の決意表明を受け取る

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武士に二言なし!


その後、各責任者が部門別決意表明行いました。営業推進部の堺部長代理、紫雲閣事業部の山形支配人、冠婚事業部は中津の吉田ブランチマネージャー、日田の辻支配人の順番で決意が読み上げられ、最後は大分事業部の祐徳事業部長の決意表明を受け取りました。祐徳事業部長から決意表明を受け取ったわたしは、「ただ今、みなさんから熱い想いを受け取りました。いま決意を述べたみなさんの顔が凛々しく、まるで武士のようでした。武士は食わねど高楊枝・・・・・・そして、武士に二言はありません。どうか、いま言ったことは必ず実行して下さい。わたしは、みなさんを信じています」と述べました。

f:id:shins2m:20220111112432j:plain和のこえwithコロナ」のようす

f:id:shins2m:20220111133053j:plainガンバロー!✖️3

f:id:shins2m:20220111133119j:plain最後は、もちろん一同礼!

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退場のようす

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次は宮崎へ!

 

最後は、「和のこえ withコロナ」を営業推進部の堺部長代理が音頭を取り、国旗・社旗拝礼、閉式の辞、社長退場・・・・・・コロナ禍の中の祝賀式典はめでたく終了。全員の心が1つになりました。その後、社用車で中津から大分駅まで送ってもらい、そこから「にちりん11号」に乗って延岡へ向かいました。

 

2022年1月11日 一条真也

自分の葬儀

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一条真也です。
わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は、「自分の葬儀」という言葉を取り上げることにします。

f:id:shins2m:20210125161111j:plain葬式は必要!』(双葉新書) 

 

かつて「葬式は、要らない」などと言った人がいましたが、葬儀はもちろん必要です。あらゆる生命体は必ず死にます。もちろん人間も必ず死にます。親しい人や愛する人が亡くなることは、誰にとっても悲しいことです。しかし、死そのものは決して不幸なことではありません。残された者は、死を現実として受け止め、残された者同士で、新しい人間関係をつくっていかなければなりません。葬儀は故人の人となりを確認すると同時に、そのことに気がつく場になりえます。葬儀は旅立つ側から考えれば、「最高の自己実現」であり、「最大の自己表現」の場ではないでしょうか。


「あの人らしかったね」といわれる自分なりのお別れ

 

「葬儀をしない」という選択は、その意味で自分を表現していないことになります。「死んだときのことを口にするなど縁起でもない」と、忌み嫌う人もいます。果たしてそうでしょうか。わたしは、葬儀を考えることは、いかに今を生きるかを考えることだと思います。ぜひ、みなさんもご自分の葬義をイメージして下さい。そこで、友人や会社の上司や同僚が弔辞を読む場面を想像して下さい。そして、その弔辞の内容を具体的に想像して下さい。そこには、あなたがどのように生きてきたかが克明に述べられているはずです。

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西日本新聞」2011年10月1日朝刊

 

葬儀に参列してくれる人々の顔ぶれも想像して下さい。そして、みんなが「惜しい人を亡くした」と心から悲しんでくれて、配偶者からは「最高の連れ合いだった。あの世でも夫婦になりたい」といわれ、子どもたちからは「心から尊敬していました」といわれる。どうですか、自分の葬儀の場面というのは、「このような人生を歩みたい」というイメージを凝縮して視覚化したものなのです。そんな理想の葬式を実現するためには、残りの人生において、あなたはそのように生きざるをえなくなるのです。これこそが「死を見つめることによって生が輝く」ということではないでしょうか。ぜひ、みなさんも今から自分の葬義をイメージしてみて下さい。きっと、死ぬことの「おそれ」が消えていき、現在の「生」が生き生きと輝くことでしょう。

 

2022年1月11日 一条真也

死を乗り越えるドストエフスキーの言葉

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人間は卑劣漢として生きることが
できないのみならず、

卑劣漢として死ぬこともできない。
人間は清らかに死なねばならない。
ドストエフスキー

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、ロシアの小説家・思想家であるフョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年~1881年)の言葉です。代表作は『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』など。トルストイツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪です。

 

 

それにしても、なんという美しい死生観でしょうか! ドストエフスキーの小説では、殺人を含む、多くの死が登場します。そのすべての死に対し、彼はこうした思いがあったのでしょうか。中には親殺しという鮮烈なテーマも描かれています。ロシアにはトルストイツルゲーネフなど、文豪といわれる作家が多くいますが、ドストエフスキーほど、死という現象に対して焦点をあて、真剣に向きあった作家はいません。

 

 

彼の多くの作品の中でも、わたしが心動かされた作品は、ドストエフスキーの最高傑作、集大成といわれる『カラマーゾフの兄弟』です。かの村上春樹氏も『カラマーゾフの兄弟』のような小説を書きたい、というほどです。じつは『カラマーゾフの兄弟』には続きがあったといいます。構想は出来上がっていましたが、それを書き上げる前に彼は突然亡くなってしまいました。ドストエフスキーがもう少し長生きをして、用意された続編を書き上げていたとしたら・・・・・・そんなことを想像してしまいます。なお、このドストエフスキーの言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2022年1月10日 一条真也

町田そのこ氏に会いました

一条真也です。
9日、素晴らしい方とお会いしました。
作家の町田そのこ氏です。12時に 松柏園ホテルで待ち合わせし、同ホテルの貴賓室で初対面を果たしました。


町田氏は現在、日本で最も注目されている作家の1人です。1980年生まれで、福岡県京都郡在住。「カルメーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。町田さんの代表作には、ブログ『52ヘルツのクジラたち』ブログ『ぎょらん』で紹介した名作があります。

 

『52ヘルツのクジラたち』は、2021年「本屋大賞」を受賞しました。52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけのクジラです。多くの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている存在です。この小説では、自分の人生を家族に搾取されてきた女性と、母に虐待されていた少年が出会い、新たな魂の物語が生まれます。わたしは同書の書評をブログに書いたほか、「サンデー新聞」に連載中の「ハートフル・ブックス」第157回で取り上げ、さらには昨夏に上梓した拙著『心ゆたかな読書』(現代書林)の最後でも紹介させていただきました。それぐらい大きな感動を得た本でした。

 

 

一方の『ぎょらん』は、これは葬儀小説の最高傑作でした。北九州市立文学館今川英子館長から教えられた本でしたが、一読して驚愕しました。著者の町田さんは、あまりにも葬儀の現場をよく知っている、いや知り過ぎていたからです。その上で、珠玉の物語が紡がれているのですから、もう完全に参りました! 主人公である朱鷺の母親が亡くなる直前に言い残した「実はわたし、うれしかった。あんたが、葬儀社に入ったこと。きっと、同じ苦しみを背負うひとに出会い、救い救われ、生きていける、って。あんたが選んだ道は、間違ってない。大丈夫」という言葉に触れたとき、静かな感動で胸がいっぱいになり、もともと弱いわたしの涙腺が決壊しました。わが社の紫雲閣の全スタッフに読んでほしいと思いました。これほど、葬儀というハートフル・エッセンシャルワークに携わる者たちに勇気と志を与えてくれる小説は過去に存在しません。

f:id:shins2m:20220113171032j:plain一条賞(読書篇)大賞の表彰状

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表彰式のようす

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表彰状を贈呈しました

あまりにも感動したわたしは、ブログ「一条賞(読書篇)発表!」で紹介したように、2021年度の一条賞(読書篇)の1位すなわち大賞に『ぎょらん』を選ばせていただきました。今川館長のお力添えで著者の町田氏にお会いできることになり、不遜ながら表彰状も作成いたしました。そこには、「貴殿の小説『ぎょらん』の高い文学的芸術性は私に深い感動と仕事への誇りを与えて下さいました。その稀有な名作への敬意と誇りを与えていただいた感謝を込めて令和三年度一条賞大賞を贈りこれを表彰させていただきます」との文面が記されています。

f:id:shins2m:20220109120342j:plain副賞の記念品もお渡ししました
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一条賞(読書篇)大賞の記念品

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記念品の中身

 

この日は、表彰状を記念品を添えて町田氏にお渡しいたしました。ちなみに、記念品の中身は超高級いくらの醤油漬けです。ぎょらん(魚卵)に合わせてチョイスした品ですが、町田氏はとても喜んで下さいました。本当は、本屋大賞作家に一条賞の表彰状を贈るのは不遜かなとも思ったのですが、わたしも読書家として日々膨大な冊数の本を読んでおり、それなりの目利きでもあると自負しております。ですので、自信をもって背筋を伸ばして表彰状と記念品をお渡ししました。表彰式には、染織家の築城則子先生にご来館いただき、立会人になっていただきました。

f:id:shins2m:20220109120357j:plainマスク姿で記念撮影

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マスクを外して記念撮影


その後、北九州市立文学館の今川館長にも加わっていただき、4人での会話を楽しみました。もちろん、感染対策には万全の注意を払い、マスクは外しませんでした。今をときめく流行作家でありながら、町田さんはとても気さくで、フレンドリーな方でした。この日は文学から映画、葬儀、グリーフケア、そして人生まで・・・・・・さまざまな話題で盛り上がり、至福の時間となりました。

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一条賞(読書篇)のツートップ2冊!

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サインしていただきました!

 

町田氏には、ご著書にサインをしていただきました。わたしは、映画化されることになった拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)をお三方にプレゼントさせていただきました。町田氏の『52ヘルツのクジラたち』にも映画化の話が出ているとか。ぜひ、『ぎょらん』の映画化も切に希望いたします。そして、そのときは、わが業界も全面的にサポートさせていただけるといいなと思います。町田氏は新たに葬儀をテーマとした小説を書かれており、しかも主人公の名前が佐久間だそうです! その取材も兼ねて、わが社の施設を見学したいとも言って下さいました。
もちろん大歓迎であります!

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小倉織の築城先生とのスリーショット

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素晴らしい出会いに感謝です!

 

町田さん、今日はわざわざ小倉まで足をお運びいただいて、ありがとうございました。お会いできて、とても嬉しかったです。これからも、多くの名作が生み出されることを楽しみにしています。よろしくお願いいたします!

 

2022年1月9日 一条真也

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一条真也です。
たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「愛」です。

 

 

「愛」は、人間が生きる上で根本的なテーマです。トルストイは「愛の反対は、憎しみではなく、無関心である」と言い、S・モームは「愛の悲劇は、死でも別離でもなく、無関心である」と語りました。そして、シスター・マザー・テレサは「この世のなかで一番大きな苦しみは、一人ぼっちで、誰からも必要とせず、愛されていない人々の苦しみです」と現代の病巣を鋭く突きました。

 

 

愛はマネジメントにおいても重要なテーマです。経営者たるもの、いやしくもマネジメントの道を志すならば、自社の社員に無私の愛を注ぐことは当然です。その場合には、心理学者フロムが「愛の要素」と呼んだ配慮、責任、尊厳、知を与えることが必要でしょう。彼らのみならず取引先、お客様、その他の周囲の人々にも愛を与えることができたとき、それは単なる愛情を超えて「善」となります。

 

 

そして大切なことは、それらすべての人々からも逆に愛されなければならないということです。PHP研究所の元社長の江口克彦氏は、結局私たちは「心からにじみ出るもの」で勝負しなければならないといいます。やがて心の発露が、振る舞いや身なりだけでは誤魔化せない、その人の印象となる。そして確実に、人間はその心の発露を読み取っていく。だから極端に言えば、振る舞い、身なり、言葉がどうであろうと、心が和やか、穏やかで明るければ、多くの人を惹きつけ、多くの人から愛されるのです。

 

 

そして、その心の発露のなかで特に重要なものが「愛嬌」です。もともと愛嬌とは、愛敬相という仏教用語に由来していて、和やかで優しいブッダのような顔で人々を惹きつける相ということだそうです。そう考えてみると、愛嬌は女性に限らず男性にとっても、いや人間にとって実に大切な特性なのですね。

 

 

愛嬌を「可愛気」と言い換えてもよいでしょう。文芸評論家の谷沢永一は著書『人間通』において、「女の色白は七難かくすと言うが、人間の欠点が覆い隠されて世の人から好意を得ることができる性格の急所は可愛気である」と断言しています。「あいつには至らないところが多いけれど、なにしろ可愛気があるから大目に見てやれよ」と寛大に許される場合がほとんです。才能も智恵も努力も業績も身持ちも忠誠も、すべてを引っくるめたところで、ただ可愛気があるというだけの者にはかないません。

 

 

谷沢氏は、「人は実績に基づいてではなく性格によって評価される。女が男を選ぶときの呼吸にどこか似ているのかもしれない」と述べています。至言ですね。なお、「愛」については、『龍馬とカエサル』(三五館)に詳しく書きました。

 

2022年1月9日 一条真也

『ポップス歌手の耐えられない軽さ』 

一条真也です。
125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第164回分が掲載されています。今回は、『ポップス歌手の耐えられない軽さ』桑田佳祐著(文藝春秋)です。

f:id:shins2m:20220104232327j:plainサンデー新聞」2022年1月8日号

 

わたしが愛してやまない国民的バンド・サザンオールスターズのヴォーカリストであり、当代の日本を代表するポップス歌手である著者が「週刊文春」誌上で連載したエッセイをまとめた本です。著者自身のサウンドに大きな影響を与えたザ・ビートルズエリック・クラプトンボブ・ディランらへの畏敬の念や、矢沢永吉佐野元春内田裕也沢田研二尾崎紀世彦など敬愛する日本のミュージシャンたちへの賛歌がユーモアをまじえて綴られています。

 

なかでも、著者に最大の影響を与えたポップス歌手は、前川清でした。著者は、「生まれて初めてアタクシに、『歌声にシビれる』どころか、『その人の魂が乗り移る』ような経験をさせてくれたのは誰であったか・・・・・・。はい。それは、前川清さんであります!!」と告白し、さらに「1969年に内山田洋とクール・ファイブのヴォーカルとしてデビュー。『長崎は今日も雨だった』がいきなり大ヒットし、その後も『逢わずに愛して』『噂の女』『そして、神戸』『中の島ブルース』『東京砂漠』・・・・・・。歌い継がれる楽曲を続々と世に放ちます!!」と紹介しています。

 

また、著者は「前川さんの、あの顰めっ面した表情と、喉奥から“愚痴でも吐くように”絞り出されるみたいな歌声。幅広のネクタイと細身のスーツを纏い、長身を直立不動にしてマイクを握り佇むそのお姿・・・・・・。さらに、背後からは最強のドゥー・ワップ・コーラスが援護射撃する!! それをアタシは、彼がデビューの頃からずっとこの目に焼き付けて参りました」と回想します。ポップス歌手・桑田佳祐の原点がクール・ファイブとは!

 

さらに、著者は「今だからこそ断言しよう。『日本のロックにおいて日本語と英語の壁を取っ払ったのは、はっぴいえんどでも矢沢永吉でもサザンでもなく、誰あろうそれは内山田洋とクール・ファイブである』と!! だってそうなんだもん。前川さんの場合、よく言われる『大袈裟なヴィブラート』だって、実は泥臭い洋楽(的な)の発生だった。曲も良かった。無口で顰めっ面を貫いた前川清のキャラ作りも秀逸だった」と書くのでした。



前川清さんといえば、わが社のイメージキャラクターですが、著者がここまでリスペクトする偉大な歌手にCMソングおよび社名のサウンドロゴを歌っていただくなんて、なんとわが社はラッキーなのでしょうか! 「あとがき『女房の日記』」では、著者の奥様である原由子さんが「桑田家は明治初頭、小倉の城下町に住んでいた。丁度森鴎外が小倉に赴任して、『小倉日記』を書いた頃と重なる」と書いています。桑田家のルーツはわが街、小倉だったのです。想定外の感動でした。

 

 

2022年1月8日 一条真也

オススメ本ベスト10で『遊びの神話』が1位に!

一条真也です。
カリスマ書評家でコラムニストの尾藤克之氏が、ご自身のブログで「『尾藤克之のオススメ』で紹介した本から“ベスト10”を選出!」という記事をアップされています。同時に、「『読んでためになるビジネス書』独自ランキング!埋もれた良書に注目を【尾藤克之のオススメ】」をはじめ、約20のサイトに同様の記事が掲載されています。

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尾藤克之氏のブログより

 

日々、膨大な数の本を読まれる尾藤氏だけに、この記事には興味深い本が10冊並んでいますが、なんと拙著『遊びの神話』(東急エージェンシー出版事業部)を取り上げて下さいました。これは新年早々に嬉しい出来事です!

f:id:shins2m:20220107171026j:plain尾藤克之氏のブログより

 

遊びの神話』について、尾藤氏は「この本を最初に読んだのは学生時代。最近、バブル期の生活に関する取材を受ける機会があったのでコーナーで紹介しました。私の人生に影響を与えた一冊です」と書かれています。「人生に影響を与えた」とは嬉しい限りですが、昨年の1月23日、尾藤氏は同書の記事をネットにアップして下さいました。

f:id:shins2m:20210123114343j:plainJ-CASTニュースより

 

10以上のサイトに掲載されたという記事は「咲くだけで実をつけなかった「バブル」の本質を理解したいアナタへ!【尾藤克之のオススメ】」のタイトルで、いわゆるバブル時代について解説し、その本質が理解できる1冊として、1989年5月20日に刊行された『遊びの神話』を紹介しています。たとえば、「『ディスコ』とはどういう場所か」として、著者の一条真也さんがディスコを解説する箇所があります。ディスコで踊ることに、どのような意味があるのか書かれています」とし、以下を引用します。
「宗教人類学者の伊藤幹治氏は『宴と日本文化』において、沖縄の与論島で正月七日に行なわていた『ウタカキ遊び』という行事を紹介している。ウタカキ遊びの当日、島の老若男女が晴着を着て酒と肴をたずさえて丘に集まり、そこで飲食を楽しんだ。その限りでは別に珍しくも何ともないが、その際、若い男女が別々に集まって円陣をつくり、互いに歌を掛け合ったり、踊りをおどったりして楽しんだという」「さらにおもしろいのは、中にはこれが縁となって結ばれる男女もあったというのである。これはディスコでのダンパなどで、現代の若者たちが円陣をつくって『フーフー』とか『フェイフェイ』とか言いながら踊り、ナンパし、なかには結婚する者がいるのとまったく同じではないか! ウタカキ遊びのような例は、他にも世界各地に見られる」

f:id:shins2m:20210123114344j:plainJ-CASTニュースより 

 

尾藤氏は「『男女が集い、酒を飲みかわし、音楽を楽しみ、踊りをおどるようなコミュニケーションは世界の至るところで見られていたのです。そのうえで、「ディスコとは野外の宴を吸収した空間である」と、一条さんは言います』として、「ディスコで踊りまくるとハイになれるのは、そこにおわす神と交信できるからかもしれない。では、ディスコにはどんな神がいるのかと聞かれると、正直言って、ぼくにはまだわからない。これから、つきとめていくつもりである」という言葉を引用されています。


遊びの神話』(東急エージェンシー

 

最後に、尾藤氏は「本書では、主にイベントの歴史と未来について説明されています。レジャーランドなら、プレジャー・ガーデンから、ディズニーランドの誕生、日本での成功の理由、これから流行すると思われるテーマパークが主題です。また、咲くだけで実をつけなかった、『バブル』という徒花(あだばな)を掘り下げることができる歴史書としても価値があるように思われます」と書かれています。たしかに、TDLをはじめとするテーマパークの成功は単なる経済的理由だけではなかったように思います。その意味で、『遊びの神話』は経済と文化がクロスオーヴァーした本だったのかもしれません。その後、このスタイルは、その後の一連の著書にも受け継がれました。尾藤さん、このたびは1位をありがとうございました。大変光栄です。これからも、よろしくお願いいたします!

f:id:shins2m:20220108120531j:plainJ-CASTニュース」などに掲載

 

2022年1月8日 一条真也