「ふくおか経済」取材 

一条真也です。
10月4日は、ブログ「タビ好キファン感謝祭2021」で紹介したわが社の創立55周年記念イベントがリバーウォーク北九州にある北九州芸術劇場の大ホールで開催されます。その前、劇場ロビーと楽屋で「月刊ふくおか経済」の撮影&取材がありました。

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花束贈呈のリハーサル風景

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花束贈呈のリハーサル風景

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「ふくおか経済」撮影のようす

f:id:shins2m:20211004152337j:plain北九州芸術劇場の大ホールにて

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無事に撮影が終了しました

先に前川清さんと花束贈呈のリハーサルを行った後、「ふくおか経済」の取材を受けました。同誌は九州の名門経済誌で、わたしも愛読しています。わが社も、よく取り上げていただきます。今回は、同誌の11月号に掲載される毎年恒例の「The  FACE」というページの取材でした。少し気が早いですが、今年を振り返り、来年を展望する内容のインタビュー記事です。まずは、北九州芸術劇場の大ホールで写真の撮影をしました。

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楽屋でインタビュー取材を受けました

 

その後、北九州芸術劇場の楽屋で取材を受けたわたしは、以下のような話をしました。コロナ2年目だった今年ですが、福岡市東区多々良紫雲閣をオープンするという明るい話題がありました。昨年12月28日に福岡市博多区浦田紫雲閣をオープンしましたので、福岡市で2施設目となります。幸いに大変好評で、業績も予想以上ですので、これからも福岡市には積極的に出店したいです。

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インタビュー取材のようす

 

また、グリーフケア資格認定制度が発足したという大きなニュースがありました。今の世の中は、悲嘆に満ちた社会「グリーフフル・ソサエティ」と言えます。血縁関係が希薄になり、神社仏閣が減少し、コロナ禍によって、結婚式や披露宴を行わない、葬儀を縮小するといった状況が加速しています。このような中、葬儀施行や医療現場など、様々な現場でグリーフケアが求められるようになってきました。深い悲しみは、身体の健康にも大きな影響をもたらし、抑うつ、食欲不振、睡眠障害などを引き起こすこともあるほどです。特に死別による人生最大の喪失を抱えたご遺族にグリーフケアを行うことは、社会を健全に保つためにも欠かせません。

f:id:shins2m:20211004152901j:plainグリーフケア資格認定制度について

 

そんな中、今年の6月、グリーフケア資格認定制度がいよいよスタートしました。この制度では、グリーフケアの基礎知識を持って、グリーフを抱える人と向き合い、必要に応じてケアができる専門職へ橋渡しする能力を備える者をグリーフケア士として認定します。さらに今後は上位資格として上級グリーフケア士も設置。実践力が身に付き、現場におけるグリーフケアのファシリテート(サポートや手助け)ができる能力を備える者を認定します。全互協のグリーフケアPT座長として、わたしが全力で取り組んできた事案でしたので、資格認定制度の発足に感無量です。

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「SDGs」について語りました

 

いま、「SDGs」が国際的なキーワードになっています。「持続可能な開発目標」という意味ですが、わたしは冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものであると考えています。結婚式は夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える。葬儀は儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死の負の連鎖を防ぐ。冠婚業も葬祭業も、単なるサービス業ではありません。それは社会を安定させ、人類を存続させる重要な文化装置なのです。冠婚葬祭が変わることはあっても、冠婚葬祭がなくなることはありません。

f:id:shins2m:20211004154959j:plain「ケア」についての考え方を述べました

 

さらには、「ケアすることは、自分の種々の欲求を満たすために、他人を単に利用するのとは正反対のことであり、相手が成長し、自己実現することを助けること」などのケアについての自分の考えを明らかにしました。葬祭業は、サービス業というよりもケア業です。他者に与える精神的満足も、自らが得る精神的満足も大きいものであり、いわば「心のエッセンシャルワーク」あるいは「ハートフル・エッセンシャルワーク」と呼ばれるでしょう。これは葬祭業に限らず、ブライダル・ビジネスでも同様です。これからの冠婚業は新郎新婦をはじめ、祝われる方々のさまざまなケアを心掛けなければいけません。

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日王の湯」について

 

サービス業からケア業へ・・・・・・わが社の方向性の先に、「日王の湯」の運営もあります。このたび、わが社は福岡県田川郡福智町にある「ふるさと交流館 日王の湯」を管理・運営することになりました。リニューアル工事をした上で、9月8日にプレオープン特別内覧会を開催、10日には正式オープンしました。8000坪の敷地、310坪の温泉棟、154坪の宿泊棟、264坪の大宴会場というスケールです。もちろん、コロナ禍の中ではクラスター対策が最優先ですが、コロナ後には大いに賑わう場所となるでしょう。いずれは、温浴施設のスーパースターである純烈のコンサートも開催したいと考えています。

f:id:shins2m:20211004154534j:plain「湯縁」で「有縁社会」を再生したい!

 

何より、温浴施設は高齢者の会員様が多い互助会との相性が良い。この施設をベースに、共に入浴する「湯縁」によって有縁社会を再生したいと考えています。産湯に始まり、湯灌に終わる・・・・・・このように、人間の一生は「湯」とともにあります。また、究極の人間関係としての「一期一会」を実現するものとして「茶の湯」という文化がある。グリーフケアの活動は「悲縁」を育て、茶道の普及は「茶縁」を育て、温浴施設の運営は「湯縁」を育てることである。そして、それらはすべて「無縁社会」を乗り越え、「有縁社会」を再生する道となります。

f:id:shins2m:20211004155117j:plainアンビショナリー・カンパニーへ!

 

わたしは、現代日本における儒教研究の第一人者である大阪大学名誉教授の加地伸行先生と対談させていただきました。わたしが加地先生、そして孔子から学んだ最大の教えは「志」というものの大切さです。自分が幸せになったり、自分の会社が良くなるのは結構なことですが、それだけではいけません。やはり、他人の幸せを願い、社会が良くなることを目指さなければいけない。それが「志」です。今年の11月18日に創立55周年を迎えるわが社には「志」があります。わが社は、志のある会社としてのアンビショナリー・カンパニーであり続けたいと願っています。このインタビュー記事は「ふくおか経済」11月号に掲載されます。どうぞ、お楽しみに!

f:id:shins2m:20211002192632j:plain「ふくおか経済」2020年11月号

 

2021年10月4日 一条真也

 

一条真也です。
たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「理」です。

 

 

日本の企業は「基本理念」が苦手であると言われます。そんな場当たり的で対処型の業務運営に陥りがちな多くの日本企業に大きな示唆を与えた本こそ、ジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ポラスという二人のスタンフォード大学教授によって書かれた『ビジョナリー・カンパニー』です。

 

 

ビジョナリー・カンパニーとは何か。文字通りにビジョンを持っている企業であり、業界で卓越した企業、同業他社のあいだで広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業のことです。重要な点は、ビジョナリー・カンパニーが組織であること。個人としてのリーダーはいかにカリスマ性があっても、いかに優れたビジョンを持っていても、いつかはこの世を去ります。しかし、ビジョナリー・カンパニーは、個人の活躍できる時間を超え、ずっと繁栄し続ける企業のことです。



『ビジョナリー・カンパニー』は、けっして机上の空論の展開ではありません。GE、HP、IBM、3M、アメリカン・エクスプレス、ウォルマート、ディズニーなど、時代を超えて際立った存在であり続ける18社を選びだし、設立以来現在に至る歴史全体を徹底的に調査し、ライバル企業と比較検討して、永続の源泉が「基本理念」にあると説くのです。基本理念とは、戦略とは違い、たとえ一時的な不利益を招いても、企業が守り続けていくものです。この基本理念を持っている企業こそが、利益だけを追求している企業よりも結果的に収益率が高く、永続的な繁栄を続けていくことができると分析します。

 

 

基本理念の「理」とは何か。一口に理、ことわりと言うと、まず思い浮かぶのは「論理」でしょう。この論理という語に対して、古来より「情理」という語があります。単なる知識の理ではなくて、情というものを含んだ理です。「パスカルの原理」で知られるフランスの哲学者パスカルは、頭の論理に対して胸の情理を力説しましたが、「感情というものは心の論理である」との名言を残しています。論理より情理に入って、さらに私たちの人生の理というべきものに「実理」「真理」「道理」などがあります。安岡正篤は、物識りよりも物分りが大事であると述べました。物識りというのは、単なる論理やいろんなことを知っているだけです。情理や実理、真理、道理など本当の理を解することを物分りといいます。



そして、究極の理として「天理」があります。天理とは、天地自然の理。「天」は大いなる造化、万物を創造し、万物を化育してゆきます。その名も天理教の本部を視察したことがきっかけになって天理を悟ったという松下幸之助は、「無理をしないということは、理に反しないということ、言いかえると、理に従うことです」と語りました。



春になれば花が咲き、秋になれば葉が散る。草も木も、芽を出すときには芽を出し、実のなるときには実を結び、枯れるべきときには枯れていく。まさに自然の理に従った態度です。そして松下幸之助は、「人間も自然の中で生きている限り、天地自然の理に従った生き方、行動をとらなければなりません。といっても、それは、別にむずかしいことではありません。言いかえると、雨が降れば傘をさすということです」と語り、事業経営に発展の秘訣があるとすれば、やはりこの天地自然の理に従うことであるとする。雨が降れば傘をさすごとくに、平凡なことを当たり前にやるということにつきるといいます。 



「経営の神様」松下幸之助は言います。事業というものは天地自然の理に従って行なえば、必ず成功する。いいものをつくって、適正な値段で売り、売った代金はきちんと回収する。簡単に言えば、それが天地自然の理にかなった事業経営の姿である、と。そしてその通りにやれば、100%成功するものだ。成功しないとすれば、それは品物が悪いか、値段が高いか、集金をおろそかにしているか、必ずどこかに天地自然の理に版下姿があるからである、と。孫子は「彼を知り己を知らば、百戦して危うからず」と言っていますが、それが天地自然の理にかなった戦の仕方だからです。



そして、松下幸之助は「経営理念」を何よりも重んじました。部下でもと松下電送社長の木野親之氏に対して、「経営には非常に勘が重要だが、勘だけではだめだ。また、データやコンピュータだけでもだめだ。資料をいくら重ね、そんなものを分析しても限界がある。経営に成功するには原則がある。それを心得ないと絶対に成功しない。原則は3つあって、その3つを満たすことが決定的な条件だ」と言ったそうです。

 

 

第1は、絶対条件ともいえる経営理念や志が備えられていなかったらだめだということ。第2は、その上に必要条件として、1人ひとりの豊かな個性を最大限に生かしきれる環境を企業として整備すること。そしてその1人ひとりの内にある創造性を最大限引き出すことに成功すること。第3は、あとは付帯条件としての戦略・戦術というものの駆使だといいます。

 

 

さらに松下幸之助によれば、第1の経営理念が確立できれば、まず50点で半分成功がおぼつきます。そして第2の会社や組織を構成する1人ひとりの個性、発想というものを最大限に生かすことができれば、これはしめたもので80点。80%成功しているなら、あとの戦略・戦術で20点とれば満点だ。しかし、戦略・戦術だけで成功しようとすることは、20点の配点しかないのに100点取ろうとするようなもので、当然うまくはいかないのです。なお、「理」については、『孔子とドラッカー 新装版』(三五館)に詳しく書きました。

 

2021年10月9日 一条真也

「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」

一条真也です。
10月2日、コロナシネマワールド小倉で映画「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」を観ました。「死霊館」シリーズの最新作です。このシリーズはわたしの大好物ですが、今回も楽しませてもらいました。基本的には「エクソシスト」や「エミリー・ローズ」といった過去の悪魔映画へのオマージュという印象が強かったですが、地下のトンネルに設置された黒魔術の祭壇がじつに興味深かったです。


ヤフー映画の「解説」には、「著名な心霊研究家のエド、ロレイン・ウォーレン夫妻の実体験をベースにしたホラー『死霊館』シリーズの第3弾。殺人を犯しながらも悪魔の仕業だと無罪を主張する青年を救うため、ウォーレン夫妻が真相解明に挑む。『ラ・ヨローナ~泣く女~』などのマイケル・チャベスが監督を務め、同シリーズの生みの親であるジェームズ・ワンが製作に名を連ねる。ウォーレン夫妻役でパトリック・ウィルソンヴェラ・ファーミガが続投するほか、ルアイリ・オコナー、サラ・キャサリン・フック、ジュリアン・ヒリアードらが出演」とあります。

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ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「1981年、アーニー・ジョンソン(ルアイリ・オコナー)は家主を惨殺し、裁判で無罪を主張する。その理由は、悪魔にとりつかれていたからというものだった。アーニーを凶行に走らせたという悪魔の存在を証明するため、心霊研究家のエド、ロレイン・ウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソンヴェラ・ファーミガ)が調査を開始。警察の協力を得て調査を進めていくうち、夫妻はすさまじく邪悪な“何か”に追い詰められていく」


死霊館」シリーズでは、そこで描かれるアメリカ社会における教会の役割とか神父の存在が興味深いです。アメリカはプロテスタントの国ですが、プロテスタントの祖であるルターは悪魔の存在を信じていたことで知られています。バチカンにはエクソシストの養成所がありますし、悪魔の存在を認めているという点では、カトリックプロテスタントも共通しています。わたしは 上智大学グリーフケア研究所客員教授を務めていますが、上智といえば日本におけるカトリックの総本山です。それで神父や修道女の方々にも知り合いが増えたのですが、カトリックの文化の中でもエクソシズム(悪魔祓い)に強い関心を抱いています。なぜなら、わたしは、エクソシズムグリーフケアの間には多くの共通点があると考えているからです。


エクソシズムは憑依された人間から「魔」を除去することですが、グリーフケアは悲嘆の淵にある人間から「悲」を除去すること。もちろん愛する者との死別などの際に悲しみ、泣くことは自然なことであり、ある意味で必要です。しかし、過剰な悲嘆は命を脅かす非常に危険なものです。「魔」も「悲」も人間の精神力を弱らせ、「死」(自死を含む)へと至らせるネガティブな力を持っています。ですから、エクソシズムグリーフケアは非常に似た構造を持っているといえるのです。


エクソシズム」という言葉を日本人が知ったのは、何といっても映画「エクソシスト」(1973年)が公開されてからでしょう。タイトルの「エクソシスト」とは「悪魔祓い師」という意味ですが、この映画はホラー映画の歴史そのものを変えたとされています。少女に憑依した悪魔と、自らの過ちに苦悩する神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作であり、その後さまざまな派生作品が制作されました。この「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」は「エクソシスト」へのオマージュ的作品となっており、悪魔に憑依された少年が首や身体を変な方向に曲げるシーンや、悪魔が少年から他の人間へ憑依の対象を変えるところなどに顕著に表れています。


死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」は、悪魔の存在を法廷で証明するという実話に基づく映画です。その意味で、同じく悪魔裁判の実話に基づく「エミリー・ローズ」(2006年)へのオマージュ的作品だとも言えます。1976年にドイツで発生したアンネリーゼ・ミシェル(1952年~1976年)の保護責任者遺棄致死事件を題材に製作されたものです。アンネリーゼ・ミシェルという少女が病気と診断され、長年治療していたが改善する気配がなく、その後の異常行動からカトリック教会教区より正式に「悪魔憑き」と判断され、悪魔祓いを実施中に栄養失調等で彼女が死亡したため、裁判となった事件でした。

 

アンネリーゼ・ミシェル事件では、悪魔祓いの様子が写真や録音で詳細に残っていました。その後、神父が法廷で裁かれ、悪霊の仕業なのか、精神病だったのか(医療ミスの可能性も内包)が、法廷の論争となりました。また、悪魔祓いの様子が一部(海外)TV番組や、インターネットなどで公開されています。この少女が美しく、かつ敬虔なるクリスチャンであったことなどから、世間の注目を浴びました。映画「エミリー・ローズ」のジャンルはホラー・サスペンスですが、大半の場面は法廷劇となっています。


死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」のモデルとなった事件は、1080年、ウォーレン夫妻はグラツェル家の依頼を受け、11歳のデヴィッド・グラツェルを調査することになったことから始まります。一家はデヴィッドに悪魔が取り憑いていると信じ切っており、その恐怖からすっかり疲弊していました。調査の結果、ウォーレン夫妻は一家の主張が真実であると判断し、カトリックの司祭たちと共にデヴィッドの悪魔祓いを行うことにしました。実際、悪魔の憑いた少年は次々に信じられない凶暴な姿を見せ続けました。数日間にもおよぶ儀式が終わった後、デヴィッドの異変はようやく収まりました。


それから数ヶ月後、グラツェル家の近所で殺人事件が発生しました。アルネ・シャイアン・ジョンソンが家主のアラン・ボノを殺害したのです。裁判の場で、ジョンソンは「デヴィッドに取り憑いていた悪魔が今度は私に取り憑いた。アランを殺したとき、私は悪魔に操られていた。だから、当時の私に責任能力はなく、無罪判決が妥当だ」と主張しました。映画「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」は、いわゆる「悪魔が私に殺させた」事件をウォーレン夫妻の視点から描き出した内容となっています。アメリカには数多くの心霊研究家が実在するが、なかでも1960年代から活躍を始めたウォーレン夫妻(夫:エド・ウォーレン、妻:ロレイン・ウォーレン)は、数々の心霊現象を解決し、その名を馳せてきました。


夫のエドカトリック教会が唯一公認した非聖職者の悪魔研究家であり妻のロレインも透視や霊視能力を持っている。ふだん夫妻のもとに寄せられる数多くの“事件”は、実はその大半が科学的に解明できるもので、彼らもそれをありのままに報告している。しかし、本物の心霊事件として、アナベル事件(アナベル 死霊館の人形)、エンフィールド事件(エンフィールドのポルターガイスト)、アミティビル事件(オーシャン・アベニュー112番地)、ペロン一家事件(死霊館)などを主張。なお、映画「悪魔の棲む家」で有名なアミティビル事件に関してはジョージ・ラッツとディフェイオ事件犯人弁護士の金儲けのための嘘であったことが発覚しています。


死霊館」ユニバースは2013年に脚本家のチャド・ヘイズとケイリー・W・ヘイズが創始したホラー映画のシリーズです。超常現象研究家のエド&ロレイン・ウォーレン夫妻(英語版)が遭遇した事件を題材にしており、本作を入れてこれまで7作品が発表されています。それらの公開順とストーリー上の時系列は一致していません。時系列順に作品を並べると、1.「死霊館のシスター」(1952年)→2.「アナベル 死霊人形の誕生」(1958年)→3.「アナベル 死霊館の人形」(1970年)→4.「死霊館」(1971年)→5.「アナベル 死霊博物館」(1972年)→6.「死霊館 エンフィールド事件」(1977年)→7.「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」(1981年)となります。( )内はストーリー上の年代です。

儀式論』(弘文堂)

 

死霊館」ユニバースの各作品は本格的なオカルト映画であり、わたしの大好きなジャンルです。今回も大いに堪能させてもらいました。最後に、この映画には地下トンネルに設置された黒魔術の祭壇が登場します。この祭壇がじつに重要な役割を果たします。この映画では、儀式における祭壇の重要性を見事に描いていますが、ちょうど10月1日のサンレー本社での本部会議の席上で葬儀における祭壇の意味について意見交換したばかりだったので非常に興味深かったです。ポケモンカードゲームなどでも祭壇が重視されているそうですが、魔術や呪術やオカルトといったコミックやアニメの主要アイテムでは儀式が大きな存在感を放っているのです。儀式を侮ってはなりません!

 

2021年10月3日 一条真也

「護られなかった者たちへ」

一条真也です。
10月1日から公開された日本映画「護られなかった者たちへ」を観ました。今年は日本映画の力作が揃っていますが、この作品も公開前から評価が高かったです。東日本大震災に関連した物語なので、もちろんグリーフケアの要素があるのですが、正直言って、それほどの傑作だとは思いませんでした。名優たちの競演は見応えがあったものの、ストーリーにリアリティが感じられなかったからです。


ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「映像化もされた『さよならドビュッシー』などの中山七里の小説を原作にしたミステリードラマ。宮城県で発生した連続殺人事件の容疑者となった青年と、彼を追う刑事の姿から日本社会が抱える格差の実態を浮き彫りにする。監督は『楽園』などの瀬々敬久。『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健、『のみとり侍』などの阿部寛のほか、清原果耶、倍賞美津子吉岡秀隆林遣都らが出演する」

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ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
東日本大震災から9年が経った宮城県の都市部で、被害者の全身を縛った状態で放置して餓死させるむごたらしい連続殺人事件が起こる。容疑者として捜査線上に浮かんだのは、知人を助けるために放火と傷害事件を起こし、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)。被害者二人からある共通項を見つけ出した宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)は、それをもとに利根を追い詰めていく。やがて、被害者たちが餓死させられることになった驚くべき事件の真相が明らかになる」


この映画には、殺人事件が登場します。殺人を描くためには、動機や殺し方が重要となります。しかし、この映画における殺人の動機も殺し方もリアリティがありませんでした。標的となる3人の善人を緒方直人、吉岡秀隆永山瑛太が演じていますが、なんという豪華なトリオでしょうか! しかも、この3人は同じ職場で働いていたのです! そして、連続殺人事件の犯人が彼らを狙った理由というのが、わたしにはまったく納得がいきませんでした。そんなことで殺されていては命がいくつあっても足りません。それに彼らはある意味で、国や行政の方針に従っただけであって、法も犯していませんし、単に職責を全うしただけだと思います。しかも、彼らの中には津波で倒壊した墓を独力で修復したり、縁もゆかりもない他人の葬儀に参列して涙を流す心優しい者もいたのです!


この映画には「死んでいい人なんていないんだ」というセリフが出てきますが、本当にその通りです。殺された人々は拘束されたまま放置され、餓死させられたのです。そんな残忍な方法で殺そうとする犯人は明らかに精神を病んでいます。東日本大震災津波で肉親を失ったショックで病んだのかもしれませんが、わたしは、どうしても犯人に同情や共感はできませんでした。また、避難所や遺体安置所の描写にも、あまりリアリティが感じられませんでしたね。ブログ「遺体 明日への十日間」で紹介した映画の切実さにはとても及びません。わたしは、細部のリアリティがあってこそ完成度の高いフィクションが創られると思っていますので、「護られなかった者たちへ」はその点が残念でした。結局のところ、脚本が失敗だと思います。


しかし、主演の佐藤健をはじめ、阿部寛林遣都といった俳優陣の演技は素晴らしかったです。特に、佐藤健の目力が凄かったです。彼は最初は険しく怖い目つきで登場しますが、最後はひたすら優しく哀しい目をしており、その表情の変わりように感心しました。阿部寛の無骨な刑事もなかなか良かったですし、彼の相棒となる林遣都も警察署で浮いた存在で、バディなのにまったく2人の息が合っていない感じを絶妙に演じていました。笑ったのは、ヤフー映画に「豪華キャストの無駄遣い」として、「もったいない作品。どうしても阿部寛は新参者に見えるし、林はおっさんずラブに見えるし、吉岡はドクターコトーに見えるし、物語に入り込めない!!」というレビューが投稿されていたことです。これには、思わず爆笑してしまいました。


女優陣も負けじと素晴らしく、生活保護を申請する老女を演じる倍賞美津子も迫真の演技でした。 ブログ「糸」で紹介した映画では、北海道の「子ども食堂」を営む女性の役でしたが、あれからずいぶん老け込んだ印象ですね。そして、なんといっても、ヒロインの円山幹子を演じた清原果耶が良かったです。幹子の子ども時代を演じた子役の女の子も良かったです。その子は髪を短く切っていたので、最初は男の子かと思い、自分のことを「わたし」と呼ぶまで女の子だと気づきませんでした。彼女がそのまま成長して清原果耶になるというのは、あまり違和感がありませんでした。清原果耶といえば、現在放映中のNHK朝ドラ「おかえりモネ」で主演の永浦百音を演じています。ネタバレになるので詳しく書くのは控えますが、よく、この「護られなかった者たちへ」の円山幹子役をNHKが許したなと驚きました。しかも、物語のカギになるのは「おかえり」という言葉なのです。さらには、『護られなかった者たちへ』の原作本はNHK出版から刊行されているのです!


この映画には、食べるものもなく餓死せざるをえないような人が登場します。本来はそういう人は生活保護を受けるべきですが、不正受給する輩なども後を絶たず、申請の現場は過酷です。映画ではそのへんのシーンはけっこうリアルに描かれていて、胸が痛みました。現在、世界的にSDGsが重視されています。SDGsといえば、環境問題が注目されがちですが、人権問題も貧困問題も児童虐待も、すべての問題の根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけです。その意味で、わが社は、貧困に苦しむお子さんや高齢者の方々に出来ることはないかと考えており、近く実行に移す予定です。ブログ「10月度総合朝礼」で紹介した10月1日のサンレー本社での社長訓示でもそのことを話しました。


そして、この映画は東日本大震災の後日談であることが重要です。2011年3月11日は、日本人にとって決して忘れることのできない日になりました。三陸沖の海底で起こった巨大な地震は、信じられないほどの高さの大津波を引き起こし、東北から関東にかけての太平洋岸の海沿いの街や村々に壊滅的な被害をもたらしました。福島の第一原子力発電所の事故も引き起こしました。亡くなった方々の数は1万5900人、いまだ2525人の行方が分かっていません。関連死は3767人、さらには4万1241人の方々が今も避難生活を送っておられます。未曾有の大災害は現在進行形で続いているのです。


津波の発生後、しばらくは大量の遺体は発見されず、多くの行方不明者がいました。火葬場も壊れて通常の葬儀をあげることができず、現地では土葬が行われました。海の近くにあった墓も津波の濁流に流されました。葬儀ができない、遺体がない、墓がない、遺品がない、そして、気持のやり場がない・・・・・まさに「ない、ない」尽くしの状況は、今回の災害のダメージがいかに甚大であり、辛うじて助かった被災者の方々の心にも大きなダメージが残されたことを示していました。現地では毎日、「人間の尊厳」が問われました。亡くなられた犠牲者の尊厳と、生き残った被災者の尊厳という2つの「人間の尊厳」がともに問われ続けたのです。「葬式は、要らない」という妄言は、大津波とともに流れ去ってしまいました。


映画「護られなかった者たちへ」の最後には、桑田佳祐の名曲「月光の聖者達~ミスター・ムーンライト」が流れます。2011年に宮城県の被災地を訪れたとき、わたしは瓦礫の山に呆然としました。夕方になって空を見上げたとき、そこに満月がありました。ブログ「東日本大震災10年」に、わたしは、震災で愛する人を亡くした人々に「どうしても悲しくて、辛いときは、どうか夜空の月を見上げて下さい。そこには、あなたの愛する人の面影が浮かんでいるはずです。愛する人は、あなたとの再会を楽しみに、気長に待ってくれることでしょう。東日本大震災から10年、多くの死者たちに支えられて、わたしたちは生きていきます。そう、わたしたちは、これからも生きていくのです。ブッダは、満月の夜にあらゆる生きとし生けるものの幸せを願って『慈経』を説きました。幸せであれ 平穏であれ 安らかであれ」と書きました。

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また、この歌を歌いたい!

 

「月光の聖者達~ミスター・ムーンライト」には「今がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしい♪」という歌詞がありますが、これは最高の祈りの言葉です。わたしも、やるせない気分のときはカラオケでよくこの歌を歌いました。長かった緊急事態宣言は開けましたが、カラオケを歌える日は近いのでしょうか? そういえば、よくこの歌を歌った東京は赤坂見附のカラオケスナックは、新型コロナウイルスの感染拡大による2回目の緊急事態宣言中に、ついに力尽きて閉店してしまいました。東日本大震災で「護られなかった者たち」がいたように、コロナ禍の中でも「護られなかった者たち」あるいは「護られなかった店たち」の存在があったのです。ようやく4回目の緊急事態宣言が解除された今、コロナ禍で絶望したすべての人々に、心から「明日は今日より素晴らしい♪」という祈りの言葉を捧げたいです。

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明日は今日より素晴らしい♪

 

2021年10月2日 一条真也

『岸惠子自伝』 

一条真也です。
125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第161回分が掲載されています。今回取り上げる本は、『岸惠子自伝』岸惠子著(岩波書店)です。

f:id:shins2m:20210929121042j:plainサンデー新聞」2021年10月2日号

 

わたしは自伝が好きでよく読むのですが、最近では一番面白かった本です。万華鏡のように煌めく人生の軌跡が記されていました。著者は、1932年横浜生まれ。1951年、女優デビュー。1957年、フランスの医師・映画監督であるイヴ・シァンピとの結婚のため渡仏。1963年、長女デルフィーヌ誕生。1975年離婚。女優として映画・TV作品に出演し、主演女優賞のほか数多くの賞を受賞しています。また、作家、国際ジャーナリストとしても活躍を続けています。女優としては日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、作家としては日本エッセイスト・クラブ賞を受賞している著者ですが、こんな才色兼備の女性はなかなかいません。

 

古い日本映画が好きなわたしは、もともと著者のファンでした。1972年の斎藤耕一監督の「約束」が特に好きで、影のあるヒロインを演じた著者の美しさに魅了されました。本書の存在を知ったのは、2021年5月3日に放送されたテレビ番組「徹子の部屋」を偶然観たことからでした。同番組に久々に登場した著者は88歳の米寿を迎えていましたが、それが信じられないほどの美と健康を誇っており、まことに感嘆しました。著者はコロナ禍でも多忙な日々を過ごしていたそうで、それは88年間の人生を思い起こし、自伝にまとめる作業にとりかかっていたためと語っていました。1日に6時間にもおよぶ執筆で、書斎にこもる日々を送った結果生まれたのが本書だったのです。

 

早速、アマゾンで購入しましたが、雑事に追われ、ようやく本書が読めたのは7月の中旬でした。一読して、「日本にこんなすごい女性がいたとは!」と感服しました。本書には、戦争体験、女優デビュー、人気絶頂期の国際結婚、医師・映画監督であるフランス人の夫と過ごした日々、娘デルフィーヌの逞しい成長への歓びと哀しみなどが情感ゆたかな文章で綴られています。その馥郁たる人生を、ジャン・コクトー川端康成三島由紀夫市川崑長谷川一夫高峰三枝子田中絹代美空ひばり佐田啓二鶴田浩二力道山といった、さまざまな個性あふれる人々との交流や、中東・アフリカで敢行した苛酷な取材経験なども織り交ぜています。

 

著者が女子高生のとき、バレエのレッスン後に、有楽町の映画館でコクトーの「美女と野獣」のスティル写真に目を奪われました。校則違反を覚悟して鑑賞した著者の人生は、この1本の映画によって大きく変わります。著者は「白黒の映像は美しく、わたしは『映画』という不思議に魅せられた」と書いていますが、映画だけでなく、人との縁の不思議、人生の不思議をも教えてくれる1冊です。

 

 

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なお、同じ「サンデー新聞」2021年10月2日号に、この連載コラムの記事を1冊にした拙著『心ゆたかな読書』(現代書林)のプレゼント告知が掲載されています。10名様へのプレゼントで、応募締切日は10月6日(水)です。同紙には、「本紙好評連載中の『ハートフル・ブックス』が書籍化。『論語』から『鬼滅の刃』まで、150冊の古今東西の名著を、万巻の書を読み解いてきた最強の読み手が厳選!心をゆたかにする本たちとの至高の出合いがここにある!」と書かれ、以下の応募要項が記されています。

提供(株)サンレー
TEL.093-551-9950
住所.小倉北区上富野3-2-8
応募方法
①ご希望のプレゼント名②郵便番号③住所④氏名⑤年齢⑥電話番号⑦職業⑧性別⑨下記コーナーReader‘sVOICE 次のお題「買ってよかったもの」のエピソードを明記し、ハガキ・メール・WEBフォームでご応募下さい。

◎ハガキからのご応募
〒800-0286 サンデープレゼント係
※住所は不要です
◎WEB・メールからのご応募
WEB応募 「サンデーポータル」で検索
メール応募 present@sunda-ns.co.jp

◎QRコードからもご応募頂けます

※厳正なる抽選の結果、プレゼントをお送りさせていただきます。
※当選は発送をもってかえさせていただきます。
※ハガキの応募は消印有効。

 

 

2021年10月2日 一条真也

日経新聞「交遊抄」 

一条真也です。
日本経済新聞」の人気連載「交遊抄」に、「バク転神道ソングライター」こと鎌田東二先生が寄稿されました。けっこうブッ飛んだ内容で、「審神者」とか「霊界通信」といったオドロオドロしい文字が日経新聞に踊っています!

f:id:shins2m:20211001182854j:plain日本経済新聞」2021年10月1日朝刊

 

鎌田先生は、「宇宙人的な出現」のタイトルで以下のように書かれています。 
「1984年4月4日、『4』が三つ揃いする日に奥吉野の天河大辨財天社を訪ねた。宮司の柿坂神酒之祐さんに、三島由紀夫が霊界から通信を寄こしているとされることへの『審神者』(霊的な現象に対する評価・査定)の内容を聞き出すことが目的だった。三島由紀夫の霊界通信の根本メッセージは、日本をまほろばの国にせよ、というものだったが、これは『古事記』の中でヤマトタケルが歌った『倭は国のまほろば たたなづく青垣 山籠れる 倭しうるはし』の中の言葉である。柿坂神酒之祐宮司さんは、私の印象では、縄文土偶か宇宙人かのようであった。ある友人は『出口王仁三郎のような人』と評した。とにかく、ぶっ飛んでいる。宇宙的で、古代的で、しかも未来的なのだ。以来、300回以上天河に通っている。
ある時、冠婚葬祭業大手のサンレー社長で、100冊以上の本を出している一条真也さんを天河に案内していった時、近鉄八木駅でバッタリ宮司さんと出会い、実に手間が省けたことがあったが、その時の宮司さんの出現も宇宙人的であった。こうして宮司さんと著書で『天河辨財天社の宇宙』という本まで出したのだった。(かまた・とうじ=宗教哲学者)」

f:id:shins2m:20211001182943j:plain日本経済新聞」2013年10月18日朝刊

 

日本経済新聞」の「交遊抄」といえば、わたしも2013年10月18日の朝刊に寄稿しました。それも、まさに鎌田先生のことを書いたのです。「満月の文通」のタイトルで以下のように書いています。
「毎月、満月の夜になると、往復書簡を交わす。便箋に書くわけではなく、WEB上の文通だ。相手は、鎌田東二先生。京都大学こころの未来研究センター教授を務める宗教哲学者である。出会いはもう20年以上も前になる。私が東京でプランナーをやっていたころ、『葬儀』をテーマに対談した。当時の先生は新進気鋭の神道研究者としてマスコミなどに広く知られていた。私の父で、サンレー会長である佐久間進国学院大学民俗学を学び、かの折口信夫先生の影響が強い。それで、父は冠婚葬祭に興味を抱き、事業化したのである。その父も私も、鎌田先生のことを『現代の折口信夫』と認識していた。先生は神職の資格も持っており、自分で作詞・作曲をして歌まで歌う『神道ソングライター』でもある。2001年に私が社長に就任した時、わが社の新しい社歌も作っていただいた。私たちはともに歌が大好きで、お会いすると、必ずカラオケボックスに直行して、2人で歌いまくる。先生はバク転が得意で、還暦を迎えた夜、比叡山の宙を何度も舞ったという。一回り年長の人生の師との文通は、今月でなんと、100信目となる。そのタイトルは、ムーンサルトレターという。(いちじょうしんや=作家、サンレー社長)」

 

 

その後も、わたしたちのムーンサルトレターは続き、5冊目の文通記録である『満月交心 ムーンサルトレター』(現代書林)も刊行されました。現在、なんと198信目が公開されています。いよいよ200信の大台が見えてきました。この御縁に感謝しつつ、文通200回記念として、鎌田先生とは『神道と日本人』という対談本を刊行する予定です。神道と冠婚葬祭とグリーフケアのすべてを語り尽くしたいと思います。どうそ、お楽しみに!

 

2021年10月1日 一条真也

10月度総合朝礼 

一条真也です。
ついに10月になりました。1日の朝、わが社が誇る儀式の殿堂である小倉紫雲閣の大ホールで、サンレー本社の総合朝礼を行いました。もちろん、空調やソーシャルディスタンスには最大限の配慮をしています。

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開始前のようす

f:id:shins2m:20211001084735j:plain最初は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20211001084826j:plain社歌斉唱のようす

f:id:shins2m:20211001105544j:plainマスク姿で登壇しました

 

全員マスク姿で、社歌の斉唱および経営理念の唱和を小声で行いました。それから社長訓示の時間となり、わたしがパープルの不織布マスクに同色のネクタイをつけて登壇。わたしは、まず、「昨日、9月末をもって、4回目の緊急事態宣言が終了しました。第100代首相となる自民党の岸田新総裁も誕生し、これから社会が少しでも良い方向へ行くことを期待しています」と語りました。

f:id:shins2m:20211001084949j:plain日王の湯」について話しました

 

次に、「9月10日、わが社が運営する福智町の『日王の湯』がオープンしました。これを単なる温浴施設ではなく、互助社会のシンボルとしたい。SDGs(持続する開発目標)やCSR(企業の社会的責任)が注目されていますが、志のある企業こそは、社会を良くできると信じています。最近、わたしのPCには『小学3年生みずきちゃんは、お風呂に入る習慣を知らない』とか『歯磨きも入浴もせず、毎日同じ服を着ている小学生がいます』といったディスプレイ広告がよく出てきますが、そのたびに泣けて仕方がありません。『なんとかしてあげなければ!』と心から思います」と述べました。

f:id:shins2m:20211001085132j:plainSDGsについて語りました

 

また、わたしは以下のように語りました。SDGsは環境問題が注目されがちですが、人権問題も貧困問題も児童虐待・・・・・・すべての問題は根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけですが、その意味で入浴ができなかったり、1日に1回しか食事ができないようなお子さんに対して、見て見ぬふりはできません。コロナが落ち着いたら、日王の湯を解放して、子どもたちに風呂に入ってもらい、その後、食堂でカレーライスをお腹いっぱい食べてもらうイベントを開催したいと考えています。それは、新しい互助会の在り方だとも思います。

f:id:shins2m:20211001105632j:plain合同七五三を実現したい!

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熱心に聴く人びと

 

七五三のような通過儀礼を挙げてもらえない子どもたちには、合同七五三なども考えてみたいと思います。いずれはイベントでなく持続性のある活動も視野に入れています。この考えに賛同して下さる方々には、ぜひ、わがサンレーの互助会に入会していただきたいと思います。つまり、その事業の志と継続性を支援するクラウド・ファンディング的な意味での互助会募集です。カンパニーズ・ビー・アンビシャス! わが社は、他者の幸せを願う志を持ったアンビショナリー・カンパニーでありたい。『論語』で孔子が訴えている最大のメッセージとは、「他者を幸せにする志を持て!」ということだと思います。

f:id:shins2m:20211001085458j:plain読書週間が始まる!

 

論語』といえば、わが社は読書を重んじる会社としての「リーディング・カンパニー」でもあります。毎月、わたしも社内報でおススメ本を紹介しています。今年の読書週間は、10月27日から11月9日です。読書週間とは関係なく、わたしは、本が好きで、とにかく毎日読んでいます。経営者ですので、もちろんビジネス書も読みますが、その他にも歴史や哲学や科学の本、それに小説など、とにかく何でも読みます。本好きが高じて、自分でも本を書きますし、大学の客員教授として学生さんたちに読書指導も行っています。

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読書の効用について語る

 

経営者としてのわたしは、『論語』やドラッカーの経営書などを繰り返し読み、その教えを活かしています。よく「読書が大事なことはわかっているけれど、忙しくて読むヒマがない」と言う人がいます。しかし、逆だと思います。本当は、「本を読まないから時間がない」のではないでしょうか。ビジネス書には、努力の末に成功した人の知識や経験やノウハウがたくさん書かれています。その人が何年も何十年もかけて体得した奥義を、わずか1冊の本を読むだけで得ることができるのです。人間は経験のみでは、1つの方法論を体得するのに数十年もかかります。でも、他人の経験を借りて、それを1日で可能にする読書ならば、最短の時間と最小の労力で成功にたどり着けるわけです。そのうえで自分なりの工夫を加えればよいのです。

f:id:shins2m:20211001090308j:plainグリーフケアと読書について

f:id:shins2m:20211001085730j:plain熱心に聴く人びと

 

さらに、わが社はグリーフケア・カンパニーでもあります。グリーフケアには2つの機能があり、1つは死別の悲嘆を軽減することです。本を読めば、この地上には、わが子に先立たれた親がいかに多いかを知ります。これまでは自分こそこの世における最大の悲劇の主人公だと考えていても、読書によってそれが誤りであったことを悟るのです。グリーフケアのもう1つの機能は、死の不安を乗り越えることです。長い人類の歴史の中で、死ななかった人間はいませんし、愛する人を亡くした人間も無数にいます。その歴然とした事実を教えてくれる本、「死」があるから「生」があるという真理に気づかせてくれる本はたくさんあります。

f:id:shins2m:20211001105650j:plain最後に道歌を披露しました

 

哲学・芸術・宗教の本などを読むことによって、人は死後のビジョンを描き、安心を得ます。特に、童話や絵本などの物語の力は死の不安を優しく消し去ってくれます。読書の最大の目的とは、心をゆたかにすることにあります。そして、わたしは「よい本は心のごちそうです。体はスリムな方が健康によいですが、心には栄養をたっぷり与えましょう。あなたも、本を読んで心を太らせてみませんか?」と述べてから、以下の道歌を披露しました。

 

本を読み心太らせ 悲しみを 
  溶かして死ぬるおそれさへなし

 

f:id:shins2m:20211001105859j:plain「今月の目標」を唱和

f:id:shins2m:20211001105846j:plain最後は、もちろん一同礼!

 

総合朝礼の終了後は、サンレーの本部会議を行います。昨年はなんとかコロナイヤー1年目を黒字で乗り切りましたが、コロナ2年目となる今年は正念場を迎えています。全社員が全集中の呼吸で全員の力を合わせて最後まで走り抜きたいです。梅雨の最中ではありますが、体調に気を配り、熱中症やコロナ変異種の感染にも万全の注意を払いながら、気を引き締めていきたいです。

 

2021年10月1日 一条真也