どうにもとまらない!

一条真也です。
沖縄に来ています。ブログ「沖縄祝賀式典」で紹介した会社行事の後、わが社の冠婚葬祭施設の建設候補地を視察していたら、衝撃的なニュースが入りました。

f:id:shins2m:20210107172651j:plain
ヤフー・ニュースより 

 

7日に東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者が2447人に上ったことが判明したのです。これまでで最も多かった昨日の1591人を800人以上も上回り、2日連続で過去最多を更新しました。重症の患者も前の日から8人増えて121人となり、4日連続で過去最多を更新しました。


全国の感染者数も7084人となり、1日あたりの最多を記録しました。前日から1000人以上増え、3日連続で過去最多を更新しました。
加えて、全国的に大雪となっています。福岡でも爆弾低気圧による暴風雪だそうで、明日の帰りの便が欠航になる可能性も出てきました。間もなく、1都3県には緊急事態宣言が再出されますが、感染拡大に爆弾低気圧・・・・・・もう、どうにもとまらない!


2021年1月7日 一条真也

沖縄祝賀式典

一条真也です。
沖縄に来ています。今日の那覇は雨で気温が14度くらいです。今朝はシークワサー・ジュースを飲みながら、「琉球新報」をゆっくり読みました。やはり地元紙を読むと、沖縄の「いま」がよくわかります。

f:id:shins2m:20210107165614j:plain

入場のようす

 

7日の午前中、サンレー沖縄の新年祝賀式典を行いました。会場は、マリエールオークパイン那覇4Fの「ムーンライト」です。例年は各部署から総勢200名以上が参集するのですが、今年はコロナ対策もあって少なめで、約100人です。もちろん、ソーシャルディスタンスには万全に配慮をしています。

f:id:shins2m:20210107103210j:plain勇壮なふれ太鼓

f:id:shins2m:20210107103326j:plain
一同礼!

f:id:shins2m:20210107103410j:plain全員で社歌を斉唱♪

f:id:shins2m:20210107103653j:plain全員で「S2M宣言」を唱和

 

司会は、総務課の横木課長が務めました。
まず、東部営業所の名幸所長による「ふれ太鼓」で開幕。「開会の辞」に続いて全員で社歌を小声で斉唱し、第二営業ブロックの小禄ブロック長代理によって「経営理念」、「S2M宣言」が読み上げられ、全員で小声で唱和しました。

f:id:shins2m:20210103111439j:plain

f:id:shins2m:20210107103845j:plain社長訓示を行いました

 

そして、いよいよ「社長訓示」です。
わたしは、以下のような話をしました。
あけまして、おめでとうございます!
2021年の新しい年をみなさんと一緒に迎えることができ、たいへん嬉しく思います。昨年は、とにかく、新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の出来事に尽きる年でした。ニューノーマルの時代となっても、わたしたちは、人間の「こころ」を安定させる「かたち」としての儀式、冠婚葬祭を守っていかなければなりません。

f:id:shins2m:20210107104101j:plain鬼滅マスクを外しましたf:id:shins2m:20210107103941j:plain
日本が直面する国難とは?

日本は、いま最大の国難に直面しています。それは新型コロナウイルスの問題でも、中国の領土侵犯の問題でも、北朝鮮のミサイル問題でもありません。より深刻なのが人口減少問題です。人口減少を食い止める最大の方法は、言うまでもなく、たくさん子どもを産むことです。そのためには、結婚するカップルがたくさん誕生しなければならないのですが、現代日本には「非婚化・晩婚化」という、「少子化」より手前の問題が潜んでいます。

f:id:shins2m:20210107104325j:plain結婚式は結婚よりも先にあった!

 

わたしは、結婚式は結婚よりも先にあったと考えています。一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をするのだと思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。日本人の神話である『古事記』では、イザナギイザナミはまず儀式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです。他の民族の神話を見ても、そうでした。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しています。結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。

f:id:shins2m:20210107104009j:plain
熱心に聴く人びと

 

結婚式があるから、多くの人は婚約し、結婚するのです。結婚するから、子どもが生まれ、結果として少子化対策となります。結婚がなくなれば、子どもの出生が少なくなり、子どもが成長して大人となり、老いていって次の世代へ繋がることもなくなります。すなわち、結婚は生命のサイクルの起点なのです。観光や外食と違って、結婚式は社会の維持のために絶対に必要です。冠婚業はけっして単なるサービス産業ではありません。日本という国を継続させていくエンジンのような存在です。

f:id:shins2m:20210107104758j:plain
葬祭業はエッセンシャルワークだ!

 

葬儀の方ですが、最近、「葬祭業はエッセンシャルワークですね」とよく言われます。 エッセンシャルワークとは電気・水道・医療・介護などの日常生活に不可欠な仕事です。そして、葬儀もエッセンシャルワークです。葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応、悲嘆への対応といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければならないのです。葬儀が必要不可欠のエッセンシャルワークなのです。

f:id:shins2m:20210107104423j:plain
先祖を大切にする沖縄人は素晴らしい!

 

とにかく、昨年は新型コロナウイルスの猛威に振り回された1年でしたが、そんな中で社会現象と呼べる大ブームを巻き起こしたのが『鬼滅の刃』です。漫画も、アニメも、映画も、史上最大のヒットを記録するという信じられないような現象を巻き起こしています。「なぜ、『鬼滅の刃』はコロナ禍の中で大ヒットしたのか」という謎について、わたしは考え抜きました。日本人の「こころ」は神道儒教・仏教の三本柱によって支えられています。そして、それらの三本柱には「先祖崇拝」という共通項があり、それが「かたち」として表されるのが儀式です。ちなみに日本で最も先祖崇拝の精神が生きているのが沖縄です。本当に素晴らしいことです!

f:id:shins2m:20210107104530j:plain
儀式なくして人生なし!

 

冠婚葬祭、年中行事、そして祭礼は広く「儀式文化」としてとらえることができます。そして、それらは「かたち」の文化です。それらが何のために存在するのかというと、人間の「こころ」を安定させるためです。コロナ禍では、卒業式も入学式も結婚式も自粛を求められ、通夜や葬式さえ危険と認識されました。しかしながら、儀式は人間が人間であるためにあるものです。儀式なくして人生はありません。まさに、新型コロナウイルスは「儀式を葬るウイルス」と言えるでしょう。そして、それはそのまま「人生を葬るウイルス」です。

f:id:shins2m:20210107104246j:plain
熱心に聴く人びと

 

人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも、ころころ動いて不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要なのです。多くの儀式の中でも、人間にとって最も重要なものは「人生の卒業式」である葬儀ではないでしょうか。新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった方の葬儀が行うことができない状況が続きました。芸能界でも志村けんさん、岡江久美子さんがお亡くなりになられましたが、ご遺族はご遺体に一切会えず、荼毘に付されました。新型コロナウイルスによる死者は葬儀もできないのです。ご遺族は、二重の悲しみを味わうことになります。

f:id:shins2m:20210107105141j:plain
鬼滅ブームはコロナ禍の中の「祭り」

 

コロナ禍の現状、ことごとく夏祭りや盆踊りが中止されました。その中で生じる最大の問題は、夏祭りや盆踊りが担っていた祖霊祭祀と病疫除去という役割を、誰が担うのかというものです。その答えの1つが、「鬼滅の刃」という作品だったと思います。夏祭りは先祖供養であると同時に、疫病退散の祈りでした。それが中止になったことにより、日本人の無意識が自力ではいかんともしがたい存在である病の克服を願い、疫病すなわち鬼を討ち滅ぼす物語であり、さまざまな喪失を癒す物語でもある「鬼滅の刃」に向かった側面があるのではないか。「鬼滅の刃」現象とは、コロナ禍の中の「祭り」であり、「祈り」だったのです!

f:id:shins2m:20210107105429j:plain
最後に道歌を披露しました

 

鬼滅の刃』という物語は、わたしたちの仕事である冠婚葬祭業とも深い関わりがある、いわば「 天下布礼」の物語であると言えます。そして、死者を供養し、先祖を祀るという「礼欲」という本能があるかぎり、冠婚葬祭や年中行事は不滅です。すなわち、わたしたちの礼業は永遠に不滅ということです。社会現象にまでなった『鬼滅の刃』という物語が、日本人における「礼」の精神の重要性と普遍性を説くものであったと知り、わたしは大変心強い思いがしました。最後は、「今年も力を合わせて、世のため人のために頑張りましょう!」と言ってから、「亡き人をしのび病を追い払ふ これぞ日の本 鬼滅の祭り」という道歌を披露しました。

f:id:shins2m:20210103111800j:plain

f:id:shins2m:20210107105818j:plain訓示する康弘社長

 

それから、昨年から就任したサンレー沖縄の佐久間康弘社長が登壇して、訓示を行いました。康弘社長は、「コロナ禍での変化とその適応をめぐり、企業は二極化していると言われます。これまでの働き方や固定費を見直し変化に適応している組織と、変化から目をそらし過去の経験に固執し従来までのやり方を頑なに順守する組織の二つです。いずれ何とかなるから問題ないという希望バイアスで過度に楽天的になったり、新型コロナウイルスへの過剰な恐怖に捉われて過度に悲観的になる組織がダメなのは言うまでもありません」と述べました。

f:id:shins2m:20210107110339j:plainいまこそサンレーの出番!

 

また、康弘社長は「コロナ危機は以前から明らかだった社会の変化をさらに加速する役割を果たしているだけであり、様々な課題を真摯に見直し、グレートリセットするという千載一遇のチャンスを与えてくれているのです。変化を恐れず、新しい時代に挑戦する勇気こそ、サンレーの発展の原動力であると確信しています。人類は100年前、スペイン風邪の危機を乗り越えてきた歴史があります。また、100年と言えば日本には『百年企業』が数多あり次世代に繋ぐ思想が脈々と続いています。新たな年の幕開けです。いまこそ『冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする』というミッションを掲げるサンレーの出番です。歴史に学びつつ、本年も明るい未来に向けて邁進していきましょう!」と述べました。

f:id:shins2m:20210107111427j:plain各種の表彰が行われました

f:id:shins2m:20210107111636j:plain
表彰者の記念撮影

続いて、各種の表彰式が行われました。最初に資格取得者表彰を行いました。まずは、康弘社長が「1級葬祭ディレクター合格者」表彰、続いて「優績者表彰」を行いました。

f:id:shins2m:20210107112001j:plainサンレーおもてなし賞」の表彰

f:id:shins2m:20210107112134j:plain表彰者との記念撮影

続けて、わたしが佐久間会長の代理として、4名の方に「サンレーおもてなし賞」を表彰いたしました。サービス業は人が宝ですので、この賞を受ける方々はまさに宝の中の宝です。おめでとうございます!

f:id:shins2m:20210107112325j:plain
新成人への記念品授与

f:id:shins2m:20210107112518j:plain
挨拶する随行

その後、新成人へ康弘社長が記念品を渡しました。
それから、わたしと一緒に沖縄に来た随行者の2人が紹介されました。北九州本部紫雲閣事業部の郡部長と、福岡営業所の武冨所長です。2人とも高身長なので、会場からどよめきが起こりました。2人はマイクを持って自己紹介しましたが、これがまた抜群に上手い! 2人とも北九州市の市会議員の選挙に出たら通ると思います。

f:id:shins2m:20210107113337j:plain決意表明のようす

f:id:shins2m:20210107113648j:plain
決意表明を読む小久保本部長

f:id:shins2m:20210107113745j:plain
決意を受け取る康弘社長

 

続いて、「部門別決意表明」です。営業推進部の瀬名波部長、八重山ブロックの前原ブロック長、冠婚営業部の崎山支配人、紫雲閣事業部の新城部長代理がそれぞれの決意を読み上げました。そして、最後に沖縄本部を代表して小久保本部長が決意書を 佐久間康弘社長に渡しました。

f:id:shins2m:20210107113937j:plain
最後は「和のこえ」で

f:id:shins2m:20210107113956j:plainこれが「和のこえwithコロナ」だ!

最後は、八重山ブロックの前原ブロック長の音頭による「和のこえ」で祝賀式典がめでたく終了。サンレー名物の「和のこえwithコロナ」で全員の心が1つになりました。コロナなんて、なんくるないさー!

f:id:shins2m:20210107165640j:plain

退場のようす

 

2021年1月7日 一条真也拝 

沖縄へ!

一条真也です。
国内で6日に報告された新型コロナウイルス感染者が6004人で、過去最多を更新しました。1日当たりの新規感染者が6000人台はおろか、5000人以上も初めてです。東京都内も1591人で過去最多。いよいよ医療体制が逼迫し、7日からは1都3県に緊急事態宣言が再出されます。非常時の首都圏を心配しつつ、わたしは6日の午後に沖縄へ飛びました!

f:id:shins2m:20210106144027j:plain
福岡空港にて

f:id:shins2m:20210106145733j:plain
ANAで那覇空港へ!
 

沖縄行きは、もちろん観光やレジャーではありません。仕事です。7日の午前中に開催されるサンレー沖縄の新年祝賀式典への参加と、冠婚葬祭施設の建設用地を視察するためです。わたしは、福岡空港からANA1209便に搭乗しました。

f:id:shins2m:20210106150937j:plain機内のようす

f:id:shins2m:20210106152724j:plain
不織布マスクに替えました

f:id:shins2m:20210105193028j:plain機内では読書しました

 

 

福岡空港は人が少なかったのですが、沖縄便はほとんど満席でした。機内では黒マスクから感染防止力の高い不織布マスクに替えました。それから、読書をしました。『悲しみとともにどう生きるか』柳田邦男&若松英輔星野智幸&東畑開人&平野啓一郎島薗進&入江杏著(集英社新書)という本です。上智大学グリーフケア研究所の島薗所長をはじめ、各界の著名人たちが「悲しみ」との付き合い方について語ったグリーフケアの本です。各人の発言に大いに共感しながら、一気に読了しました。

f:id:shins2m:20210106161447j:plain機内の窓から雲海が見えました

f:id:shins2m:20210106165848j:plain
沖縄本島が見えてきました!

f:id:shins2m:20210106171421j:plain
那覇空港のロビーで

f:id:shins2m:20210106171759j:plain
那覇空港の出口で

 

機内の窓からは雲海がよく見えました。那覇空港に着くと、暖かい空気が身体を包み込みました。福岡の気温は4度でしたが、那覇は18度もありました。
ふと、わたしは石田純一山田孝之新田真剣佑といった芸能人たちの顔が浮かんできて、いるはずもないのに彼らの姿を探してしまいました。(笑)
沖縄に来たのはじつに半年ぶりですが、サンレー沖縄の小久保本部長と横木課長が迎えに来てくれました。

f:id:shins2m:20210106171838j:plain謹賀新年!

f:id:shins2m:20210106191804j:plain
夜は、もとぶ牛の焼肉をいただきました!

 

2021年1月6日 一条真也

『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』

勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書

 

一条真也です。
吉本興業がお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦(38)、藤森慎吾(37)とのマネジメント契約を昨年12月31日をもって終了しました。今年から2人は独立して活動します。
その中田敦彦の著書『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』(SBクリエイティブ)を読みました。YouTuberとして大活躍の著者ですが、『鬼滅の刃』と「新選組」の解説動画が非常にわかりやすかったので、感銘を受けました。著者は、1982年生まれ。慶應義塾大学在学中に藤森慎吾とオリエンタルラジオを結成し、2004年にNSC(吉本総合芸能学院)へ。同年、リズムネタ「武勇伝」で『M-1グランプリ』準決勝に進出して話題となり、2005年に『エンタの神様』(日本テレビ系)などでブレイク。バラエティ番組を中心に活躍。2016年、音楽ユニットRADIO FISHによる楽曲『PERFECT  HUMAN』を大ヒットに導き、NHK紅白歌合戦にも出場。2018年には、自身のオンラインサロン「PROGRESS」を開設。アパレルブランド「幸福洗脳」を立ち上げ、経営者としての手腕も注目されている。2019年、YouTubeチャンネル「YouTube大学」を開設し、歴史や文学、政治経済などの授業動画の配信をスタート。開設からわずか4か月でチャンネル登録者数が120万人を突破するほどの爆発的な人気を得ています。現在の登録者は、なんと330万人以上です。  

f:id:shins2m:20201128185824j:plain
本書のカバー表紙の下部

 

本書のカバー表紙には著者の顔写真とともに、「中田敦彦式 勉強ノウハウ40を一挙公開!」「日本史」「世界史」「文学」「政治」「経済」「英語」「YouTubeチャンネル登録者数 最速で100万人突破」と書かれています。また、帯の裏には、「あなたは、勉強が楽しいですか? それとも、つまらないですか? 断言します。勉強はめちゃくちゃ面白い! ほんの少し『やり方』を変えると、勉強は“最高”のエンターテインメントに変わるのです」と書かれています。

f:id:shins2m:20201128185856j:plain
本書のカバー裏表紙の下部

 

さらに、カバー前そでには、「死ぬほど面白く学びながら、大人の教養を身に付けられる中田式独学勉強法6つのルールと、歴史、文学、政治、経済、英語などジャンル別40のコツを教えます!」とあります。

 

本書の「目次」は、以下の構成になっています。
序章 勉強の「面白さ」を伝えたい
1章 中田敦彦式、独学勉強法6つのルール
2章 「歴史」の独学勉強法19
【特別対談】「歴史」の勉強に革命を起こせ!!
      (中田敦彦×ムンディ先生)
3章 中田式「文学作品」の読み方 7
4章 「政治・経済」の独学勉強法 9
5章 「英語」の独学勉強法 5
【特別対談】「数学」の勉強に革命を起こせ!
      (中田敦彦×ヨビノリたくみ)
【巻末付録】中田敦彦の「大人の学び直し」
      オススメ本リスト



序章「勉強の『面白さ』を伝えたい」では、「僕が教育系YouTuberになった理由」として、著者は「2019年春、僕はYouTubeで教育系の動画配信をスタートしました。題して、『中田敦彦のYouTube大学』。チャンネルで扱っているテーマは、日本史、世界史、文学、現代社会などです。チャンネル登録者数は、開始5か月で100万人を突破。学び直しの大人だけでなく、高校生や大学生も視聴してくださっているようです」と述べています。



また、「『これまで誰も受けたことがない授業』を目指す!」として、著者は「学ぶことによって、人生が豊かになり、知識欲や好奇心を満たすことができる。そして、何より自分を成長させてくれる肥になる。このような勉強をしている瞬間は、僕にとって一種の“快楽”であり、エンターテインメントです」と述べます。この言葉は、つねづね「学びこそ楽しみ」と考えているわたしも大いに共感できました。



第1章「中田敦彦式 独学勉強法6つのルール」では、「これから、『独学』は必須スキルになる!」として、著者は「僕にとって教養は、『大人の必須アイテム』です。なぜ、必須かというと、教養は自分を『アップグレード』させるために欠かせないものだからです」と述べ、さらに「今、世界がこれまで人類が経験したことがないほどの大きな変化を迎えようとしています。そんな時代に、自分が持っている経験と知識だけで立ち向かおうとするのは、冷静に考えて、かなり無理があります。だから、『新時代を生き抜くための教養』が、大人が生きていく上での必須アイテムなのです」と述べます。


これまでの学びの手段は、「学校に通う」か「本を読む」くらいしかありませんでしたが、今はインターネットがあるとして、著者は「YouTubeが生まれ、教育系YouTuberが登場したことにより、好きな時間に、無料で、しかも質の高い講義が受け放題です。現在、『学びたい』という欲求さえあれば、いくらでも自分で学べる環境が揃っているのです。これからの時代、『独学ができる人』と『独学ができない人』の間にかなり大きな差が生まれる。僕はそう考えています」と述べるのでした。



中田式独学のルール2「情報収集は『1冊の本』を軸にする」では、ネット記事を読んだだけで満足してはダメだとして、著者は「ネットで入手できるのは、あくまでも『単発の情報』だからです。ネット記事は散文的で、テーマを立体的に理解するには不十分なのです。ネットの有料ニュースサイトなどで主要な記事をチェックした上で、情報を補完することが大切です。そこで有効なのが、読書。情報収集において、本は最も効率のよいツールです」と述べています。



著者の場合、読みやすそうな本を2~3冊まとめて購入し、その足で喫茶店に入り、読み比べるそうです。そのうち1冊を軸にして、残りは補完的に参考にするのだとか。著者は、「僕は同じ本を2回読みます。1回目はザっと読み、2回目で気になった箇所に線を引くのです。僕の読書のポイントは、本文を読む前に目次を読み込むことです。目次から内容を想像した上で本文を読むと、内容の理解がグンと深まるのでオススメです。そして、本を読んでいて気になったキーワードはネットで調べる。この流れが、情報収集法としては、現時点でベストです」と述べています。



著者の勉強法の神髄を知るために、「文学」のページを開いてみましょう。
第3章「『文学作品』の読み方」の6「『こころ』から読み解く日本人の精神の変化」では、夏目漱石の『こころ』には「明治の精神」が色濃く反映されているとして、著者は「そもそも明治維新以降、政府は国家を神道でまとめようとしました。神道を中心に国家をイチからつくり直そうと試みたわけです。『こころ』という作品で描かれる殉死は、国家神道を軸とする明治の考え方と、江戸時代以来の儒教の考え方の終着点を象徴しています」と述べています。



乃木希典は、国家と明治天皇を生きる支えとしていました。それが失われたから殉じるというのは、彼の中で理屈が通っているとして、著者は「しかし、乃木希典の殉死については、当時も賛否が分かれました。旧世代の新渡戸稲造森鴎外は賛意を表し、新世代の志賀直哉芥川龍之介は疑問を表明しています。忠義を重んじる『封建的道徳主義』と、それを無価値とする『西洋的個人主義』との間で人々が揺れていたことを示しています。つまり、夏目漱石は、明治時代を総括するという意思で『こころ』という作品に取り組んだことが推測できます」と述べます。



また、文学の読み方7「自分のアイデンティティを見直すきっかけにする」では、太宰治の『人間失格』を取り上げ、著者は「『人間失格』の最大のメッセージは『私たち日本人はいったい何を信じればいいのか?』という問いかけであり、「日本人には、もはや信じるものの軸がない」ということを提示している物語だと思うのです。日本人の多くが、初詣は神社に行き、お葬式はお寺で、結婚式は教会であげます。それにもかかわらず『あなたの宗教は何ですか?』と問われると、明確に答えることができません。そんな『信じるものがない』日本人の精神について、『人間失格』は僕たちに問いかけてきます」と述べます。



「おわりに」では、著者はこう述べています。
「今はM-1グランプリで優勝しても、必ずしもテレビで売れて活躍できるとは限りません。キングオブコントやR-1ぐらんぷりで優勝したにもかかわらず、生活に苦労している芸人さんもいるくらいです。僕は、2016年にダンス&ボーカルユニット・RADIO FISHとして紅白歌合戦に出場を果たしました。同じ事務所の先輩芸人である又吉直樹さんは、執筆した小説『火花』で芥川賞を受賞しています。ひと昔前なら、そういった実績を残した人は、当たり前のように冠番組を持ち、まったく食うに困らない生活をしていたはずです。でも、今は違います。紅白歌合戦に出場しても、芥川賞を獲っても、テレビに出られる保証はないのです」



なぜ、こんな状況になっているのかというと、著者いわく、明らかにテレビというメディアがスケールダウンしているからです。端的にいえば、視聴率が恐ろしい勢いで下がっているとして、著者は「要するに、今の自分はタイタニック号に乗っているのと同じ。タイタニックの乗員が同じ乗員と話し合ったところで、船の全貌が見えず、埒があかないのは明白です。僕は、違う船に乗っている人たちのところに話を聞きに行き、『どの船に乗るべきか?』を真剣に模索し始めました。ビジネスの世界で成功している経営者、教育者、若手のYouTuberなどと議論を繰り返し、自分の新しい船をつくる必要性を認識しました」と述べるのでした。

 

 

 

 わたしが感銘を受けたように、著者の「YouTube大学」は、本当にわかりやすくて面白いです。このような動画で学ぶことができる現代の子どもたち、いや大人たちも本当に恵まれていると思います。わたしも大学の教壇に立って講義をする身なので、動画での著者のレクチャーぶりはとても勉強になりました。拙著『「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)を書くときにも参考にさせていただきました。

 

勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書

勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書

 

 

2021年1月6日 一条真也

「ジョゼと虎と魚たち」

一条真也です。
1月4日、ブログ「新年祝賀式典」で紹介した会社行事を万全のコロナ対応のもとで行った日の夜、T・ジョイリバーウォーク北九州で今年初の映画鑑賞をしました。話題のアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」です。ネットでも高評価ですが、非常に感動しました。正月からボロ泣きです。今年最初に観た映画が、ハートフルな名作で本当に良かった!



ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「2003年に実写映画化された芥川賞作家・田辺聖子の青春恋愛小説を劇場アニメ化。車椅子生活をしていたジョゼが大学生と出会い、外の世界へ飛び出す。監督をアニメ「ノラガミ」シリーズなどのタムラコータロー、脚本を『ストロボ・エッジ』などの桑村さや香、キャラクターデザインと総作画監督を『たまゆら』シリーズなどの飯塚晴子が手掛ける」

f:id:shins2m:20210102125352j:plain

 

ヤフー映画の「あらすじ」は、「幼いころから車椅子生活で一日のほとんどを家の中で過ごしているジョゼは、ひょんなことから海洋生物学を専攻する大学生の鈴川恒夫と出会う。卒業後に留学すべくアルバイトに精を出す恒夫は、ジョゼの祖母からあるアルバイトを依頼される。自分の話し相手となった恒夫にジョゼは毒舌をふるうが、彼はひるむことなく率直に向き合い、やがて二人は心の距離を縮めていく」です。



ジョゼと虎と魚たち」は、本当に、せつなくて、哀しくて、美しい物語です。生まれつき足が不自由なジョゼと夢を実現するためにバイトに明け暮れる大学生の恒夫との関係を見ていると、こちらの方が胸が苦しくなります。障害を抱えているだけでなく両親も亡くし、さらには最愛の祖母さえも亡くしたジョセ。彼女に寄り添う恒夫も両親が離婚しており、寂しい少年時代を過ごした青年です。つまり、孤独なジョセの心を孤独な恒夫が救うという二重の「グリーフケア」の物語になっていました。それにしても、最近はどんな映画を観ても、グリーフケアの映画に思えてます。



ブログ「ジョゼと虎と魚たち」で紹介したように、田辺聖子の原作で、犬童一心が監督した2003年の作品です。足の悪い不思議な少女ジョゼと大学生の恒夫のはかないラブストーリーです。恒夫がジョゼの手料理をおいしそうに食べるシーンとか、「おさかなの館」という名の水族館みたいなラブホテルで二人が愛し合うシーンとか、本当に素晴らかった! 何度も観たくなる名作でした。



恒夫とジョゼは、あることをきっかけに別れてしまいます別れのとき、恒夫は淡々とジョゼの部屋を出て行きます。その後、道を歩いていると突然、どうしようもないほど大きな悲しみに襲われます。そして、恒夫は道にうずくまって泣きじゃくるのです。本当の悲しみとは、このように遅れてやってくるものなのだということを教えてくれたシーンでした。この「ジョゼと虎と魚たち」といい、長澤まさみと兄妹役で共演した「涙そうそう」(2006年)といい、妻夫木聡が別れの場面で泣く演技は最高でした。韓国の葬儀では「泣き女」という職業があるそうですが、妻夫木聡こそは日本一の「泣き男」だと思います。



さて、今回のアニメ版「ジョゼと虎と魚たち」は実写版とはまったく違う結末だったので、驚きました。ネタバレを覚悟で書くと、実写版のラストで見られた恒夫の悲しみの号泣はなく、アニメ版では代わりに感動の涙が見られました。もう、はっきりと書いてしまいますが、アニメ版ではとびっきりのハッピーエンドで終わっています。「こういう、ニッチもサッチもいかない、ドツボのような状況でハッピーエンドを迎えるとは!」と、一瞬呆気にとられました。思うに、これはタムラコータロー監督の「日本人よ、コロナでも絶望するな! 生きていれば、きっと良いこともある!」というメッセージではないでしょうか。


物語の中で、ジョゼと恒夫が海に行くシーンがあります。ジョゼは24歳なのですが、なんと生まれてから海に来たのはこれで2回目でした。最初は幼いときに亡き父親に連れてきてもらい、「海の味はどんな?」と問われたのですが、波が怖くて海に近づかなかったジョゼは答えられませんでした。その後、読書によって「海水が塩辛い」ことを知ったジョゼは、そのことをどうしても自分で確認したくて、バイト契約していた恒夫に「連れて行け。あたいを海まで連れて行け!」と命令するのでした。結果、海を体験して海水を「しょっぱい!」と感じたジョゼでしたが、物語の終盤で涙も「しょっぱい!」と感じます。わたしは、このシーンを見て、拙著『涙は世界で一番小さな海』(三五館)のメッセージそのもであると思いました。

涙は世界で一番小さな海』(三五館)

 

涙は世界で一番小さな海』では、5つの童話作品が重要な役割を果たしますが、その最初の作品がアンデルセンの『人魚姫』です。ディズニーの「リトル・マーメイド」、ジブリの「崖の上のポニョ」という日米の名作アニメの原作でもあります。この『人魚姫』がアニメ版「ジョゼと虎と魚たち」にも登場したので驚きました。それは、ジョゼが図書館で子どもたちに絵本『にんぎょひめ』を朗読するシーンと、自ら絵を描いたオリジナル紙芝居『にんぎょひめとかがやくつばさ』を朗読するシーンです。後者は恒夫に感動の涙を流させましたが、わたしも涙が止まりませんでした。


言うまでもなく、足のない人魚姫は足の不自由なジョゼを投影しています。また、水を「自由」のメタファーとして描いているところは、ブログ「シェイプ・オブ・ウォーター」で紹介したアカデミー作品賞を受賞したSF恋愛映画にも通じます。第90アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞したファンタジー映画で、米ソ冷戦下のアメリカを舞台に、声を出せない女性が不思議な生き物と心を通わせる物語です。政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダオクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃します。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになるのでした。この映画では「水」は徹底的に「自由」のメタファーとして描かれます。



「人魚姫」に話を戻しましょう。この童話のストーリーは、ディズニーが「リトル・マーメイド」としてアニメ映画化したこともあり、よく知られています。人魚の王様には6人の美しい姫がいました。末っ子の姫は15歳の誕生日に海の上に昇りますが、そこで船の上にいた人間の王子を目にします。その後、人魚姫は嵐のために難破した船から救い出した王子に恋をしてしまいます。王子と一緒にいたい一心で人間になることを望んだ人魚姫は、海の魔女の家を訪れます。そこで、自分の声と引きかえに人魚の尾びれを人間の二本足に変える飲み薬を貰います。魔女は、「もし王子が他の娘と結婚したとき、おまえは海の泡となって消えてしまう」と人魚姫に警告します。さらには、人間の足で歩くたびに、人魚姫はナイフでえぐられるような痛みを感じるという運命をも受け容れます。



こうして人魚姫は王子と一緒の御殿で暮らせるようにはなりましたが、声を失って話せないため、王子は人魚姫が命の恩人であることに気づきません。それどころか、隣国の姫を命の恩人と勘違いしてしまい、王子は彼女と結婚することになります。絶望した人魚姫の前に姉たちがあらわれ、髪と引きかえに魔女に貰った短剣を人魚姫に差し出します。そして、この短剣で王子を刺せば、流れた血によって再び人魚の姿に戻れることを伝えます。しかし、愛する王子を殺すことなど到底できない人魚姫は、王子の結婚を祝福し、自らは海に身を投げて泡に姿を変えます。そして、人魚姫は空気の精となって天国へ昇っていったのでした。

 

アンデルセン童話 にんぎょ姫

アンデルセン童話 にんぎょ姫

  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: Prime Video
 

 

「人魚姫」の悲しい結末には、アンデルセンの人生も反映しているといわれます。彼は185センチの長身でしたが、鼻が非常に大きく、ある意味で異様な風貌であり、初めて会った人はみな驚いたといいます。アンデルセン自身も自分の容姿には強いコンプレックスを抱いていたようですが、そのためか失恋を繰り返し、生涯を独身はもちろん、童貞のままで終えたという説もあります。そんなアンデルセンの深い孤独が「人魚姫」には投影されているというのです。たしかにそういった側面もあるかもしれませんが、わたしはさらに深く宗教の問題を見た場合、「人魚姫」という作品は興味深いと思えてなりません。



このように、「人魚姫」という童話には「愛」とともに「痛み」が描かれています。キリスト教において「愛」は無上の価値ですが、仏教においては「愛別離苦」という言葉もあるように苦悩のもとであると考えられました。「人魚姫」において「愛」と「痛み」がセットで描かれたことは、アンデルセンが宗教の枠を超えて普遍思想を求めるファンタジー作家であることを示しているようにも思えます。また、ジョゼのオリジナル紙芝居である「にんぎょひめとかがやくつばさ」には、自分のことではなく他者のために祈るという「利他」の行為の尊さが描かれています。



利他の物語といえば、ブログ『鬼滅の刃』で紹介した物語にも描かれています。『鬼滅の刃』の主人公である竈門炭治郎は、心根の優しい青年です。鬼狩りになったのも、鬼にされた妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を鬼から聞き出すためであり、もともと「利他」の精神に溢れています。なんだか、ジョゼの顔が禰豆子に見えてきました。他人を一切信頼するることができず、頑なに閉ざされていたジョゼの心は恒夫のケアと愛情によって開かれていきますが、ブログ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」で紹介した作品も、このアニメ版「ジョゼと虎と魚たち」も、ともに見事なグリーフケアの物語であると思いました。



ジョゼと虎と魚たち」という物語には、生まれつき歩けないという身体障がい者の悲しみが漂っています。ジョゼにとって、外の世界は猛獣である虎だらけのような世界なのです。映画の後半で、ジョゼが恒夫に向かって「健常者にはわからん!」と言い放つシーンがありますが、本当に健常者には障がい者の気持ちがわからないというのは事実でしょう。しかし、原作や実写版にもなかった設定で、恒夫はジョゼの心を理解することができるのでした。



話は変わりますが、わたしは昨日、非常に感動的な動画をYouTubeで見つけ、大いに泣きました。「家族が見守る中、アラン・シルヴァは世界へ羽ばたく! 」というAGT2020の動画ですが、生まれつきの障がいのために辛い目に遭い続けてきた男性が、家族の前で奇跡を起こす真実の物語です。今年の夏に開催予定の東京パラリンピックはおそらく中止になると思われますが、わたしは、物語の中で健気に生きるジョゼには、どうかアラン・シルヴァのような奇跡を起こしてほしいと心から願うのでした。障がい者から見た世界は、虎だらけの密林かもしれません。しかし、ジョゼにとっての恒夫のように「世界はそんなに悪くないし、人はもっと優しい」ということを教えてくれる人が現れる可能性を信じたいものですね。



ちなみに、「ジョゼ」という名前は本名ではありません。本名は久美子ですが、彼女の愛読しているフランソワーズ・サガンの小説のヒロインが「ジョゼ」なのです。彼女は図書館という新しい世界への窓を見つけるのですが、これから再び緊急事態宣言が発出されて、図書館が閉鎖されることが心配でなりません。それにしても、ブログ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」で紹介した作品といい、ブログ「ソウルフル・ワールド」で紹介した作品といい、この「ジョゼと虎と魚たち」といい、最近のアニメ映画は本当に素晴らしい! 「不死」のメディアである映画が進化して、「生」のメディアとしてのアニメーションの重要性を感じます。今年は、『死を乗り越えるアニメ』という本を書いてみたくなりました。いや、本当に。

 

2021年1月5日 一条真也

新年祝賀式典

一条真也です。
みなさん、良い正月を過ごされましたか?
4日、松柏園ホテルにおいて、サンレーの新年祝賀式典が万全のコロナ対応スタイルで行われました。

f:id:shins2m:20210104113825j:plain松柏園ホテルにて

f:id:shins2m:20210104095356j:plain
今日から55周年バッヂが登場!

f:id:shins2m:20210104101047j:plain新年神事のようす

f:id:shins2m:20210104100359j:plain
万全のコロナ対応スタイルで

f:id:shins2m:20210104101511j:plain
柏手を打つ佐久間会長

f:id:shins2m:20210104101559j:plainわたしも柏手を打ちました

 

式典に先立って、松柏園ホテルの顕斎殿で新年神事を行いました。コロナ後のニューノーマル仕様で、コロナ以前よりも人数を減らしてソーシャルディスタンスに配慮し、マスクを着用した上での神事です。わが社の守護神である皇産霊大神を奉祀する皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さいました。佐久間進会長に続き、わたしも玉串奉奠を行いました。

f:id:shins2m:20210104125356j:plain会長とともに第一会場に入場!

f:id:shins2m:20210104103324j:plain
勇壮な「ふれ太鼓」

f:id:shins2m:20210104103401j:plain
最初は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20210104124229j:plain第二会場でも一同礼!

f:id:shins2m:20210104103639j:plain
小声で社歌を斉唱♪

f:id:shins2m:20210104103931j:plain「経営理念」「S2M宣言」を小声で唱和

f:id:shins2m:20210104104141j:plain新年祝賀式典のようす

 

例年は500名を超える社員が参加しますが、今年は半数以下に制限して、「新年祝賀記念式典」が開催されました。また、新館ヴィラルーチェに第二会場も用意しました。最初に、佐久間会長とわたしが第一会場に入場しました。まず、北九州紫雲閣の緒方支配人による「ふれ太鼓」で幕を明け、総務部の國行部長による「開会の辞」に続いて全員でマスクを着けたまま小声で社歌を斉唱し、それから折尾営業所の大内田所長によって「経営理念」「S2M宣言」が読み上げられ、これも全員で小声で唱和しました。

f:id:shins2m:20210103111334j:plain
「年頭所感2021年 」の表紙

 

参加者全員に配られた年頭所感の表紙の写真は、わたしは撮影したものです。ブログ「太陽と月」で紹介した別府のホテルの客室から撮影した朝日の写真です。右下に小さく「撮影:佐久間庸和」というクレジットが入っています。

f:id:shins2m:20210103111407j:plain「年頭所感2021年 」の会長メッセージ

f:id:shins2m:20210104104421j:plain会長訓示のようす

 

それから、佐久間会長による「会長訓示」です。
参加者全員に配られた「2021年 年頭所感」にも詳しく書かれているように、佐久間会長は「コロナを超えて、互助共生社会を実現しよう」として、「昨年、世界を揺るがせた新型コロナウィルスによる感染症の蔓延と、これに起因する様々な社会変化ですが、当社も現在までその影響を少なからず受けております。このウィルスは想定外の速度で世界中を席巻し、一年前の私たちの生活からは想像も出来ない今日の状況をもたらしましています。しかし瞬く間に社会が変化したということを陽にとらえれば、現代社会があらゆる場所で繋がっているということであり、同時に、今回とは逆の『良いモノ・コト』を的確に発信すれば、すぐにでも世界中へと浸透させることが出来るということでもあります」と述べました。

f:id:shins2m:20210104104624j:plain縁の再生と構築に努めよう!

 

また、佐久間会長は「社会に対して責任を持つ私たち冠婚葬祭互助会は、ウィズコロナ・アフターコロナと呼ばれるこれからの社会に対しても、これまでと同じように適切な情報の発信と施策を続けていかなければなりません。その方法も、従来のものに加えてAI技術を活用するなど、今後の社会に適した手法を早々に実現する必要もあるでしょう。ですがその基本、すなわち当社の基本となる『社会のつながり』を創るという方針は不変です。冠婚葬祭互助会は人と人のつながりの上に成り立っています。人間同士の縁がなければ存在しえないということです。故に私たちは、今回の新型コロナウィルス以前から続く社会の無縁化を食い止め、縁の再生と構築に努めて参りましょう。本年も未だ『新しい社会』での模索の続く年になるとは思いますが、皆様、何卒よろしくお願い申し上げます」と述べました。

f:id:shins2m:20210103111439j:plain「年頭所感2021年 」の社長メッセージ 

f:id:shins2m:20210104105755j:plain
最初に新年の挨拶をしました

f:id:shins2m:20210104125249j:plain
第二会場のようす

f:id:shins2m:20210104105827j:plain
鬼滅マスクを外しました

 

そして、いよいよ「社長訓示」です。最初にみなさんと「あけまして、おめでとうございます」「今年もよろしくお願いいたします」と新年の挨拶をしてから、わたしは以下のような話をしました。令和3年、2021年の新しい年をみなさんと一緒に迎えることができ、たいへん嬉しく思います。昨年は、とにかく、新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の出来事に尽きる年でした。ニューノーマルの時代となっても、わたしたちは、人間の「こころ」を安定させる「かたち」としての儀式、冠婚葬祭を守っていかなければなりません。

f:id:shins2m:20210104105841j:plain
社長訓示のようす

 

コロナ禍の中で、わたしは冠婚葬祭業という礼業が社会に必要な仕事であり、時代がどんなに変化しようとも不滅の仕事であることを確信しました。感染症に関する書物を読むと、世界史を変えたパンデミックでは、遺体の扱われ方も凄惨でした。その反動で、感染が収まると葬儀というものが重要視されていきます。人々の後悔や悲しみ、罪悪感が高まっていったのだと推測されます。コロナ禍が収まれば、もう一度心ゆたかに儀式を行う時代が必ず来ます。

f:id:shins2m:20210104110157j:plain
鬼滅の刃』について


とにかく、昨年は新型コロナウイルスの猛威に振り回された1年でしたが、そんな中で社会現象と呼べる大ブームを巻き起こしたのが『鬼滅の刃』です。漫画も、アニメも、映画も、史上最大のヒットを記録するという信じられないような現象を巻き起こしています。「なぜ、『鬼滅の刃』はコロナ禍の中で大ヒットしたのか」という謎を解くために、わたしは『「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)という本を書き、新年早々に上梓しました。その話を少ししましょう。

f:id:shins2m:20210104110020j:plain
令和2年の夏は異常だった!

 

令和2年、改元の翌年にわたしたちが迎えた夏は極めて異常なものでした。新型コロナウイルスによってあらゆる行動が制限を受け、ビフォー・コロナどおりにはとれた行動をそのまま継続できた例はほとんどなく、さまざまなことが「密」を避けるために変化を求められました。これは夏に行われる祭事、すなわち夏祭りや盆踊りも例外ではありませんでした。全国の花火大会もコロナ禍を要因に中止されました。このような状況は、夏祭り・盆踊りにしても花火大会にしても、年が明けたからといって、来年から従来通りの姿を取り戻せる保障があるわけではありません。

f:id:shins2m:20210104110236j:plain
「祭り」とは何か?

 

民俗学者の畑中章宏氏は、「日本の人々がこれまで続けてきた祭りのほとんどは、祖霊を供養するためと、疫病除去の祈願のためだったといっても言い過ぎではない」と指摘しています。確かに、日本の祭礼の目的は(稲の豊作祈願を含めた)祖霊祭祀と病疫除去にあったと考えて間違いありません。そして、その中でもいわゆる夏祭りは、病疫退散が主たる目的といえるものが少なくありません。これは夏という季節が、暑さによる人間の生命力低下とともに、病魔が広がりやすくなる季節であることが理由として挙げられます。

f:id:shins2m:20210104111737j:plain
熱心に聴く人びと

 

コロナ禍における祭礼のあり方は、日本人の「こころ」を安定させるためにも今後早急に検討されなければなりません。しかし、現在の状況の中で一縷の望みがあるとすれば、それは「まつりのあるべき姿」や「先祖祭祀のありかた」を見直す声が出ていることでしょう。日本人の「こころ」は神道儒教・仏教の三本柱によって支えられています。そして、それらの三本柱には「先祖崇拝」という共通項があり、それが「かたち」として表されるのが儀式です。

f:id:shins2m:20210104111036j:plain儀式なくして人生なし!

 

冠婚葬祭、年中行事、そして祭礼は広く「儀式文化」としてとらえられます。それらは「かたち」の文化ですが、何のために存在するのかというと、人間の「こころ」を安定させるためです。コロナ禍では、卒業式も入学式も結婚式も自粛を求められ、通夜や葬式さえ危険と認識されました。しかしながら、儀式は人間が人間であるためにあるものです。儀式なくして人生はありません。まさに、新型コロナウイルスは「儀式を葬るウイルス」と言えるでしょう。そして、それはそのまま「人生を葬るウイルス」です。

f:id:shins2m:20210104125939j:plain

 

人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも、ころころ動いて不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要です。多くの儀式の中でも、人間にとって最も重要なものは「人生の卒業式」である葬儀でしょう。新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった方の葬儀が行うことができない状況が続きました。芸能界でも志村けんさん、岡江久美子さんがお亡くなりになられましたが、ご遺族はご遺体に一切会えず、荼毘に付されました。新型コロナウイルスによる死者は葬儀もできないのです。ご遺族は、二重の悲しみを味わうことになります。

f:id:shins2m:20210104110530j:plain
熱心に聴く人びと

 

コロナ禍の現状、ことごとく祭礼が中止されました。その中で生じる最大の問題は、夏祭りや盆踊りが担っていた祖霊祭祀と病疫除去という役割を、誰が担うのかというものです。その答えの1つが、「鬼滅の刃」という作品だったと思います。夏祭りは先祖供養であると同時に、疫病退散の祈りでした。それが中止になったことにより、日本人の無意識が自力ではいかんともしがたい存在である病の克服を願い、疫病すなわち鬼を討ち滅ぼす物語であり、さまざまな喪失を癒す物語でもある「鬼滅の刃」に向かった側面があるのではないか? わたしは、そう考えます。

f:id:shins2m:20210104111945j:plain鬼滅の刃」はコロナ禍の「祭り」だった!

f:id:shins2m:20210104130937j:plain
道歌を披露しました

f:id:shins2m:20210104130223j:plain
第二会場のようす

f:id:shins2m:20210104112049j:plain
スクリーンに映し出された道歌

 

鬼滅の刃」現象とは、コロナ禍の中の「祭り」であり、「祈り」だったのです。『鬼滅の刃』という物語は、わたしたちの仕事である冠婚葬祭業とも深い関わりがある、いわば「天下布礼」の物語であると言えます。そして、死者を供養し、先祖を祀るという「礼欲」という本能があるかぎり、冠婚葬祭や年中行事は不滅です。すなわち、わたしたちの礼業は永遠に不滅ということです。社会現象にまでなった『鬼滅の刃』という物語が、日本人における「礼」の精神の重要性と普遍性を説くものであったと知り、わたしは大変心強い思いがしました。最後は、「今年も力を合わせて、世のため人のために頑張りましょう!」と言ってから、「亡き人をしのび病を追い払ふ これぞ日の本 鬼滅の祭り」という道歌を披露しました。

f:id:shins2m:20210104130825j:plain決意表明のようす 

f:id:shins2m:20210104112851j:plain決意表明のようす

 

「社長訓示」の後は、「部門別決意表明」です。営業推進部の小谷部長代理、SMセンターの藤原マネージャー、冠婚事業部の井口総支配人、紫雲閣事業部の黒木取締役、企画開発部の石田執行役員経営管理部の槇ゼネラルマネージャー、財務部の久保田部長、総務部の國行部長、株式会社ハートピアの首藤支配人、株式会社クリーンサンジュウの増野支配人、株式会社オラシオンの柿本ゼネラルマネージャーの計10人がそれぞれの今年の決意を表明しました。

f:id:shins2m:20210104113024j:plain
北九州本部長の決意表明

f:id:shins2m:20210104131143j:plain
松田常務より決意を受け取る

f:id:shins2m:20210104113243j:plainがんばれ! 人は心が原動力だから!

 

最後は、「北九州本部長決意表明」として、新しく就任したばかりの松田常務がサンレー北九州全体の今年の決意を力強く表明しました。松田本部長から決意表明を受け取ったわたしは、「ただ今、みなさんから熱い想いを受け取りました。『鬼滅の刃』の主人公である竈門炭治郎のセリフに『俺はやれる! 絶対にやれる! 俺はやれる男だ!』『がんばれ! 人は心が原動力だから』というものがありますが、これをみなさんに贈りたい。みなさんはサムライですか? サムライとは武士のことです。武士は食わねど高楊枝・・・・・・そして、武士に二言はありません。どうか、いま言ったことは必ず実行して下さい。わたしは、みなさんを信じています」と述べました。

f:id:shins2m:20210104113432j:plain会長から新成人へ記念品が贈られました

f:id:shins2m:20210104113444j:plain
壇上で挨拶する新成人

f:id:shins2m:20210104133835j:plain
和のこえ」で締めました

f:id:shins2m:20210104133912j:plain
これが「和のこえwithコロナ」だ!

f:id:shins2m:20210104113754j:plain最後は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20210104113816j:plain会長とともに退場しました

 

それから、佐久間会長から新成人へのお祝いの品が渡された後、今春に入社予定のみなさんを紹介しました。もうすぐ新社会人となる若者たちの顔は緊張しながらも、キラキラと輝いていました。最後は、手をつながない「和のこえwithコロナ」を小谷部長代理が音頭を取って行い、新年祝賀式典がめでたく終了。全員の心が1つになりました。その後、一同礼をしてから、わたしは佐久間会長とともに退場しました。例年行われる各種表彰者との食事会も中止となりました。ということで、いよいよ新しい年がスタートしました。今年も、よろしくお願いいたします!

f:id:shins2m:20210104114031j:plain松柏園ホテルの正月飾りの前で

f:id:shins2m:20210104140427j:plain今年も、よろしくお願いいたします!

 

2021年1月4日 一条真也

人の道

f:id:shins2m:20201211235901j:plain

 

一条真也です。
わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は「人の道」という言葉を取り上げることにします。拙著『ハートフル・カンパニー』(三五館)において打ち出した言葉です。


ハートフル・カンパニー』(三五館)

  

わたしの本業である冠婚葬祭という営みの中核となるコンセプトは「礼」です。「礼」とは一般に考えられているようなマナーというよりも、むしろモラル、平たく言って「人の道」です。「礼」はもともと古代中国の宗教から社会規範、および社会システムにまで及ぶ巨大な取り決めの体系でした。「礼」は旧字体では「禮」と書かれますが、これは「履」の意味であり、人として履みおこなうべきみちを意味しました。

 

論語 (岩波文庫)

論語 (岩波文庫)

 

 

孔子が開いた儒教では、「仁義礼智忠信孝悌」のように徳目の1つとして、「礼」を礼儀とかマナーの意に落ち着かせようとしました。それも確かに「礼」の一部であり、後に日本に入って、小笠原流礼法として開花したことはよく知られています。
また儒教は、他者に対する思いやりとしての「仁」を最高の徳とし、「孝」の実践を最高義としました。朱子学では「仁」が徳の中心にあり、すべての徳を含む概念であるとさえしました。


礼を求めて』(三五館)

 

しかし、本来は「義智忠信孝悌」のほうが「礼」のなかに含まれていたものであり、決してその逆ではありません。「仁」は孔子が自らの理想の、新しい何かを表現しようとして採用した特別な言葉です。「仁」の概念こそ、もともとは「礼」の中にあったと言えるでしょう。さらには、倫理道徳、各種の祭祀、先祖供養、歴史、人間の集団における序列の意味などはすべて「礼」の中にあったのです!

f:id:shins2m:20190313235236j:plain決定版 冠婚葬祭入門』(PHP研究所)

 

わたしは、人の道つまりモラルとしての礼を「大礼」、礼儀作法つまりマナーとしての礼を「小礼」としています。そして、人の道のなかで最も重要な最優先すべきものは、親の葬礼であると孟子は断言しています。親の葬礼を行なうことこそは、すべての「礼」の中心となる行為であり、「人の道」を堂々と歩むことにほかならないのです。

f:id:shins2m:20210103111152j:plain

 

わが社のような冠婚葬祭互助会の商品とは、お客さまに僅かな掛け金で「人の道」を立派に歩んでいただくお手伝いです。人間が「人の道」を踏み外すことほど悲劇的で気の毒なことはありませんから、それを未然に防ぐことは「人助け」でもあるのです。

 

2021年1月3日 一条真也